今回は、ショパン国際ピアノコンクールの会場でもある「ワルシャワフィルハーモニー」の座席について、私が鑑賞した1階席の眺望や音の善し悪しについて触れていきたいと思います。
3箇所の座席で調査
今回、眺望や音響を調査したのは以下の3つの座席。1階平土間の前方右側および左側、そして後方のやや中央寄りでそれぞれピアノコンクールを鑑賞。同じホールでも、眺望や音響に大きな差がありました。
○前方左側
ピアノに対する眺望は問題なく、指の動きや足の動きが良く見える他、ピアニストとの距離も近い為、臨場感が伝わって来ます。また、ステージの高さが観客の頭よりも高い為、前方の客が邪魔になる事はありません。
但し、気になるのは2階バルコニー席の張り出しです。ワルシャワ・フィルハーモニーでは、客席の両サイドおよび後方の2階席が、かなり低い位置にある為か、その2階席の天井に覆われた部分の座席では、すごい圧迫感を感じます。
位置としては、両サイドは端から4席分、後方は後ろから5~6席分、それぞれ2階席の天井に覆われています。これによって、会場の天井に抜ける残響が2階席の張り出しに阻まれて、耳に届く音が制限されてしまうでしょう。
幸いにも○印の席では、この張り出しがギリギリ頭に被らない位置にある為、上に抜ける残響を聴く事は適いますが、出来ればもう少し中央寄りに座りたいところ。眺望には関係ありませんが、残響を遮断する障害物は出来る限り少ない方が望ましいと思います。
○前方右側
奏者の顔は上半分だけしか見えませんが、ステージに近い事もあって息遣いやうなり声が良く聴こえます。また、奏者の足(ペダルの動き)もハッキリと見えますが、座高の高い人が斜め前に座ると隠れてしまいます。
音に関しては、ピアノの反響板からダイレクトに音が聴こえてきますが、ここも前述同様に2階席バルコニーの張り出しが近くにまで迫っている為、天井へ抜ける残響の一部がカットされる事は覚悟しなければならないでしょう。
○後方中央寄り
多くのコンサートホールでは、座席に傾斜がかかっており、後方へ行くに従って高さが増していくのが一般的ですが、ここフィルハーモニーホールでは傾斜が殆ど(全く?)無い為、後方席の眺望は人の頭で埋め尽くされてしまいます。
しかし、1列ごとに上手い具合に互い違いになっている他、シートピッチも広めに取られている為、意外にも前方の客の頭が邪魔になる事は少ないでしょう。ただ、ステージから聴こえて来る音は小さく、臨場感はおろか、遥か遠くで鳴っている印象すら覚えます。これは、前述した2階席の張り出しが頭上を覆っている為で、会場全体に響き渡る音を捕らえる事が出来ません。また、この張り出しが圧迫感にも繋がり、ステージが尚更遠く感じてしまう原因となっています。
ショパンコンクールでは、この辺りの座席は当日券の「自由席」として開放(事前の指定者がいない為)されている場合が多く、不人気を物語っています。
動くカメラは気になる?
ショパンコンクールでは、衛星生中継によって世界中に映像が配信されていましたが、その為のカメラの一つが最前列中央にあります。
この為か、最前列の13番、および12番は事前購入での指定が出来ずにブロックされていました(当日は座っている人が居たので、当日券用として開放されているのでしょうか…?)。
このカメラ、演奏中も忙しなく動いていましたが、○の席からは特に気になる事はありませんでした。しかしすぐ後ろとなる2列目、3列目の中央付近では、かなり視界に入ってしまうかもしれません。
余裕のあるシートピッチ
音響に関して、制限のある座席が多いワルシャワ・フィルハーモニーホールですが、個々の座席の広さに関しては、他のホールと比べても群を抜いていると思います。
座席幅には余裕があり、日本人男性標準体型である私が肩を普通に下ろすと、肘が肘掛に掛かりません。その為か、周りを見渡しても肘掛を使用している人は少なく、両隣との干渉への心配はほぼ無いと言って良いでしょう。
ただし、座席に深く座ると、座面が折りたたまれて後ろの方へ倒れてしまう為、体格や座り方によってはバランスを取る必要があるかもしれません。そういう意味では座り心地が良いとは言い難いですが、私は特に力を入れて座っていた訳ではありませんので、それほど心配する必要は無いかと思います。
まとめ
- 2階席張り出しのある両サイド4席、および後方5列は避けるべき
- シートピッチ、座席幅には余裕がある
- 中央のカメラは余程側近でなければ気にならない
以上、ワルシャワ・フィルハーモニーホールの座席諏訪をお贈りしました。
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