このページでは“個人旅行”で行く「シベリア鉄道」の旅について、チケット手配の方法や列車内の設備など、これまでの記事を元にまとめています。バス・トイレ付きの豪華な特等車をはじめ、一人旅でも安心の2人部屋を一人で独占する方法など、私が実践した優雅でお得な情報を集めました!
旅行業者への依頼は一切必要なし!全て個人で手配可能です。※2024年1月現在、社会情勢の悪化によりロシアへの観光目的での渡航は大変難しくなっています。外務省HP等でよくご確認下さい。
目次
チケットはロシア連邦鉄道HPから購入
シベリア鉄道のチケットは、ロシア連邦鉄道の公式HPから購入出来ます。システムも安定していて使い易く、クレジットカード決済対応!詳しい購入の仕方については、次の記事をご覧下さい。
旅行業者に依頼すると定価の2倍近くかかってしまう場合もありますが、個人で手配すればその心配は一切なし!安くて確実に入手できる唯一の方法です。
シベリア鉄道の主要路線
シベリア鉄道と言えば、極東ロシアのウラジオストクからモスクワまで全長9289kmの世界一長い距離を走る鉄道ですが、ひとえにシベリア鉄道と言っても様々な列車が存在します。日本人観光客が乗る機会の多い主要な寝台列車は下記の図のとおり。
シベリア鉄道には必ず3桁の列車番号が付いている他、主要列車には「ロシア号」等の愛称が付けられています。
この中で最も有名なのが、ウラジオストクからモスクワまで6泊7日掛けて走破する「ロシア号(001/002)」、そしてシベリア鉄道の“お試し版”として人気なのが、ウラジオストクからハバロフスクまで1泊2日で走る「オケアン号(005/006)」。
また、ロシア号の他099/100号も極東からモスクワまで走破、007/008号は極東からノヴォシビルスクまでの区間運行列車です。この他にも様々な支線に直通する列車や、中国やモンゴルからの直通列車等もあって、数えただけでも60~70種類の長距離列車が運行されています。
座席クラス
シベリア鉄道の座席クラスは、主に次の4種類。区間によっては3等よりも割安なクラスもありますが、それはベッドでは無い座席のみのシートなので、ここでは割愛します。
特等車(Люкс)
露:Люкс(リュークス)英:Deluxe sleeping
シベリア鉄道で最も格上のクラスがこのリュークス。バス・トイレ付きの豪華な個室タイプの席で、最大定員は2名。1編成につき1車両のみで、部屋数は6ないし4。他の乗客と一切相部屋になる事は無いので一人旅には最適ですが、残念な事にリュークスが連結されている列車の運行区間はごく僅か。
私が確認した限りでは、極東を走る「オケアン号」と、モスクワ⇔カザン間の「プレミアム号」、それにモスクワ⇔サンクトペテルブルク間を走る3つの寝台列車(Express号など)にしか連結されていません。
話によると、リュークスはシャワー等で大量に水を消費する為、貯水タンクの容量の都合上、長距離路線には導入できないのだとか。技術的な問題なので、将来的に解決してロシア号等にも連結される事を願うばかりです…。
オケアン号、およびExpress号のリュークスについては、以下の記事で詳しくレポートしています。
1等車(СВ)
露:СВ(エスヴェー)英:1st class sleeping compt.
特等の次に位置するのが1等車。2人用の個室で、こちらも特等と同様に1編成1車両である場合が殆どです。一人旅で1席を予約すると必ず他人と相部屋になってしまいますが、2席分予約すれば1人で一部屋を貸しきる事も可能。
私もこの方法で優雅に一人旅を楽しみました!詳しくは以下の記事をご覧下さい。
2等車(Купе)
露:Купе(クペー)英:2nd class sleeping compt.
2等車は4人用個室。部屋のサイズは1等と変りませんが、それぞれが2段ベッドになっています。比較的安価で個室が手に入るので、家族で利用するには最適かもしれません。
上段と下段、それぞれにメリット・デメリットがありますが、車窓が見えて荷物の管理もし易い下段の方が人気がある模様。しかし睡眠時以外は上段の人が下段のベッドをソファーとして使用する為、万年床という訳にはいかない様です。
尚、この2等車も1等車同様に、4席購入すれば一人で独占して使用出来ます。
3等車(Плацкартный)
露:Плацкартный(プラッツカルト)英:3rd class open sleeping
個室ではないオープンタイプの配置となる3等車。廊下の反対側にも2段ベッドが配置される為、一人当たりの占有面積は2等よりも更に狭くなります。
地元の人が好んで利用すると言われるこのクラス、バックパッカーの間では人気の様で、一生に一度の出会いを求めて乗車する人も多い様です。
列車内での「食事」事情
シベリア鉄道の車内で食事をする方法は、次の4通り。
- チケット購入時に予約する
- 食堂車へ行く
- 途中駅のホーム売店で購入する
- 缶詰やインスタント食品を事前に買って持ち込む
事前予約の食事
食事の予約は、ロシア連邦鉄道HPでチケットを購入する際にオプションで選択(詳しくはチケット手配の記事を参照)。これで予約すると、1日最大3食、自分の席まで食事が運ばれてきます。
大雑把な盛り付けの簡単なメニューばかりですが、素材の質が良いのか意外と美味しい料理も幾つかありました。1食1,000円以下で食べられてお得ですが、メニューと時間は自由に選べません。詳しくは次の記事をご覧下さい。
食堂車での食事
それに引き換え、自由な時間に気軽に食事ができるのが食堂車。ワインやビール等のアルコールも一緒に飲めるのも利点ですが、値段が割高な上に味はかなり残念な場合も多く、他の人の口コミを見てもまず“美味しかった”という書き込みを見た事がありません。
利用するなら、アルコールをメインに考えておいた方が良いかもしれません。詳しくは以下の記事をご覧下さい。
途中駅ホームの売店
長距離区間を運行するシベリア鉄道では、列車の整備・点検・物資の搬入の為、1日に何回か長時間(30分程度)停車する駅があります。その様な駅のホームには必ず売店があって、水や食料の調達が可能。
町中と比べると値段は割高ですが、重たい水を事前に大量に持ち込むのは困難な為、私も何度か利用しました。どんな物が売られているのか等、詳しくは以下の記事に記載しています。
缶詰やインスタント食品を持ち込む
1日~2日間程度の利用であれば、缶詰などを事前に買って日本から持って行くのも手。またロシアはパンが安いので、出発駅のスーパー等で調達しておけば、保存も利くので数日持ちます。
私はウラジオストクの市場で手に入れた美味しいハチミツも一緒に持ちこんで、極上のスイーツタイムを堪能しました!
ロシア号などの長距離列車には、各車両に給湯器が設置されているので、カップめんやインスタントコーヒーも手軽に作れますし、カップめん等は車掌から購入する事も可能です。
また日本から持ち込む缶詰であれば、私個人的にお勧めなのが“高級缶詰”。一つ500円位しますが、本格的な味の缶詰も多いです。逆に100円程度で買える缶詰は、生臭くて不味いものばかりなのでおススメしません。
車内の設備
トイレ事情
以前のシベリア鉄道のトイレは、垂れ流し式で衛生状態も悪く、またセキュリティ上の都合から主要駅が近づくと1時間以上使えなくなったりする事もあったそうですが、現在では「バイオトイレ」が採用されているので、24時間使えて清潔。ニオイも殆ど無く、快適に使う事が出来ました!
但し、路線によっては未だ古いタイプのトイレ車両も存在するそうなので、チケット予約時にバイオトイレのマークがある事を確認する事をおススメします。
シャワーは使えるか?
シャワー設備ですが、特等車(リュークス)は部屋にあるので問題なし。ロシア号などの長距離路線においては、列車によっては車両の端にシャワールームが設置されている場合があり、車掌に申し出ると有料で使わせてもらえます(詳しくは上記の記事を参照)。
シャワーの有無はトイレと同様、チケット購入時にアイコンで確認出来ます。
タバコ事情
タバコに関しては、車内は全面禁煙。喫煙ルームもありません。吸いたい場合は、停車駅で外に出て吸う必要があります。多くの人がこの方法で喫煙する為、駅ホームや線路上にはタバコの吸殻が散々…、携帯灰皿は必ず持参しましょう。
Wifi、ネット環境
今回私が乗車した限り、Wifiが使えたのはオケアン号とExpress号のリュークスのみで、007号の1等車には無し。Wifi設備の有無はロシア鉄道HPからチケット購入の際に列車一覧に表示されるアイコンで判明するので、事前に確認しておいた方が良いでしょう。
また、Simカードを使う場合であっても、人里離れたシベリアの大地では駅の周辺以外殆ど電波が繋がらない為、ネットが使えるのは駅に停車中のみです。まぁこういう時にこそネットから離れて、読書をしたり景色を見てボーっと過ごすのが一番かもしれません。
どんな車窓が楽しめるか?
車窓に広がる景色もまた列車旅の楽しみの一つですが、私が乗車したウラジオストク~イルクーツク間に限って言えば、その殆どが荒野の中を走るので、あまり景色は楽しめませんでした。
ただ、途中のザバイカリエ地方を通過した時は美しい湿地帯が広がっていて、たまに動物の姿も発見!
その先には海の様に広大なバイカル湖も見られました!しかし進行方向右側にあるので、廊下に出ないと見られないのは若干辛い所…。
列車遅延の可能性は?
シベリア鉄道は思いのほか過密ダイヤなので、走行中は貨物列車とのすれ違いも頻繁にあります。また途中一部に単線区間があって、列車の待ち合わせを行う場合もありますが、それが原因で列車が遅延する事も。
私が乗車した007号は、途中最大で2時間程度遅れたので、到着後のスケジュールには余裕を持っておく事をおススメします。
車掌のサービス、英語の通用度
車掌は各車両に常務していて、24時間サービス対応。時間帯によってシフトが組まれている様で、数日間乗っていると2~3名の車掌に顔を覚えられます。
どの車掌も淡白でドライな対応ですが、気さくな人も多く、またこちらのリクエストにはきちんと応えてくれたり、降車駅が近づいたら知らせてくれる等、サービスはしっかりしているので安心です!
車内清掃も小まめに行われているので、廊下やトイレはいつも清潔!たまに突然部屋に入って来て掃除機がかけられる事もあるのでビックリしますが(笑)。
尚、どの車掌も英語は全くと言って良いほど通じないので、Google翻訳は必須!予めロシア語をオフラインで読み込んでおけば、電波が通じなくても使えるので安心です。
“モスクワ時間”では無くなった?
シベリア鉄道に乗車する上で注意しなければならないのが時刻の表示方法。
これまでシベリア鉄道では、例え極東を走る列車であっても“モスクワ時間”を中心に表示していましたが、私がこの2019年に利用した際はチケットの表示から駅の電光掲示板まで全て“現地時刻”での表示。それこそ、モスクワ時間を意識する機会は全くありませんでした。
飛行機等と同じなのでこの方がずっと分かり易いですが、“シベリア鉄道=モスクワ時間”という固定観念があるので、逆に戸惑ってしまう事もしばしば。
また主要駅ではないローカル駅から乗車の際は、未だモスクワ時刻での表記である場合もあるかもしれないので、その都度よく注意しておいた方が良いと思います。
あれば役立つ便利グッズ
最後に、シベリア鉄道に乗車する際の持ち物について、今回私が持って行って役に立った物と、あれば良かったと感じた物をリストアップします。
持って来て役に立ったもの
- 除菌ティッシュ…部屋での食事に必須
- BOSEのヘッドフォン…静かに集中したい時に重宝
- エコバッグ…何でも投げ込めて便利!
- Simカード…これが無いとネットが使えません
あれば良いと思ったもの
- 紙皿と割り箸…缶詰等を部屋で食べる時にあると便利
- うちわ・扇子…空調が弱いので夏場は欲しい
- ゴミ袋(沢山)…身の回りのゴミの処理に欲しい
以上、シベリア鉄道の旅の参考になれば幸いです。尚、ロシアへの渡航には観光ビザ取得が必須ですので、その準備もお忘れなく!ロシア観光ビザ取得については「ロシア【観光ビザ】の取り方/個人旅行も可能!バウチャー取得~申請書類の書き方まで」の記事をご覧下さい。
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