10月2日より行われていたショパン国際コンクール2021の結果が先ほど発表されたので、先ずは速報でお伝えします!
- 1位 Bruce (Xiaoyu) Liu(カナダ)
- 2位 Kyohei Sorita(日本)/Alexander Gadjiev(イタリア・スロベニア)
- 3位 Martin Garcia Garcia(スペイン)
- 4位 Aimi Kobayashi(日本)/Jakub Kuszlik(ポーランド)
- 5位 Leonora Armellini(イタリア)
- 6位 J J Jun Li Bui(カナダ)
- マズルカ賞 Jakub Kuszlik(ポーランド)
- コンチェルト賞 Martin Garcia Garcia(スペイン)
- ソナタ賞 Alexander Gadjiev(イタリア・スロベニア)
優勝はカナダのBruce (Xiaoyu) Liu。やはり来ましたね!彼は2次予選や3次予選から圧倒的なパフォーマンスだったので納得の結果です。日本人2名も大健闘、まずはお疲れ様でした!
この記事では1位を獲得したBruce Liuさん、そして日本人出場者で入賞を果たした反田恭平さん、小林愛実さん、以上3名の勝因や演奏の内容について、動画を交えて解説しています。
圧倒的なパフォーマンスを魅せたBruce Liu
見事1位に輝いたカナダのBruce Liu。1次予選から圧巻の演奏でしたね!私もそうですが、決勝へ進む前から彼の優勝を確信していた方も多いのではないでしょうか?
その圧倒的なパフォーマンスが最もよく分かるのが2次予選での演奏。特にRondoとAndante Spianatoは表現の幅の広さはもとい、その精度の高さ・正確さは正に職人技!いやぁここまで引き付けられる演奏に出会えたのは久々ですよ!
ただ、彼の演奏を聴いていると大げさまでに激しいデュナーミクや奇抜な表現が所々に見受けられるので、“ショパンの音楽”というものを熟知する人にとっては、やや首を傾げたくなる様な演奏だったかもしれません。
決勝の協奏曲も、ちょっとやりすぎ感のある大げさなタッチやフレージングもあって、まるで彼独自のリサイタルでも開いているかの様な感覚。
評価されてナンボのコンクールで弾く演奏では決して無い様な気もしましたが、まぁショパンコンクールは決勝の演奏が審査に響きにくいという事を、彼自身も熟知しての事なのでしょう。前回のチョ・ソンジンがそうであった様に…。
音で魅せた反田恭平さん
2位を受賞した反田恭平さん。同率とはいえ、日本人では歴代トップの輝かしい成績です。
順位は2位ですが、あの洗練された音の質の高さは間違いなく最高位!3次の演奏を聴いていて感じましたが、チェンバロを思わせる様なタッチのマズルカから感じる民族性は本当にお見事!ショパンらしさで言えば右に出る者はいないでしょう。
マズルカ以外も、音の運びや間合いの取り方が上手いのか、どれを聴いていても非常に引き付けられる演奏でした。前大会で同じく2位だったカナダのリシャール・アムランを思い起こさせる様な、そんな演奏だったと個人的には思います。
戦略的だった小林愛実さん
前大会の入賞者として早くから注目されていたのが、同じく日本人出場者の小林愛実さん。4位という結果は前回よりも好成績とは言え、彼女自身かなり不本意だったのではないかと推測します。
彼女の演奏を聴いていて感じたのは、とにかく“戦略的”であったという事。様子見の1次、攻めの2次、守りの3次、それが功を奏して問題なく決勝まで勝ち進んだのは良いですが、3次はちょっと守り過ぎな印象を受けました。
24のプレリュードをあそこまで保守的に弾いてしまうのは、コンクールとしては流石にどうかなと。マズルカもかなり奥手な演奏で、せっかくの彼女の魅力も伝わらないまま終わってしまった様な気がします。
確実に決勝へ行く為の戦略だったとは思いますが、優勝に必要な“カリスマ性”まで失われてしまったのかもしれません。
来年はヴァン・クライバーン、そしてチャイコフスキー
と言う訳で、1年遅れで開催されたショパン国際コンクール。せっかく2次予選のチケットを手に入れたのにワルシャワへ行って聴けなかったのは非常に残念ですが、秀逸な演奏に出会えたのは良かったです!
次の大きな国際ピアノコンクールは、来年のヴァン・クライバーン、そして2023年のチャイコフスキー。アメリカはちょっと微妙ですが、モスクワはまた行きたいなと思っています。
まぁそれまでにコロナ騒動が終わっていればの話ですが…