連日、感動の演奏が続いているショパン国際ピアノコンクール2015ですが、昨日(2次予選3日目)は客席でも気になった出来事がありました。
先ず、暫く姿の見えなかった審査員のYundi Li氏が戻ってきた事。1次予選の2日目辺りまでは姿が確認出来たのですが、その後は彼の席が空席となり、2次予選初日は座席すら確保されていなかったのですが、無事(?)に戻って来られた様です。
そして、高円宮妃久子さまがご臨席されている様子が映されていました。小野田有紗さんの演奏後に一度ご退席されるお姿があったので、恐らくその後出演者に面会されたのだと思われます。今月初めに六本木ヒルズにて「ポーランド祭」が催される等、日本とポーランドとの国際交流は盛んですから、今後ますます発展していく事を願いたいですね。
昨夜の演奏は特に凄かった!
ハイレベルな演奏が続く2次予選ですが、特に昨夜のSecond sessionはどの奏者も甲乙付け難いものばかりで感動しました。その中でも第一奏者でカナダ出身のCharles Richard-Hamelinさんの演奏は、その神業な音に涙しました!
ワルツを聴くと、無駄なパフォーマンスが無く、“踊りの曲”としてショパンをよく理解されている様に思えます。そして圧巻なのがRondo Es-dur。旋律の美しさもさることながら、洗練された技術、音のコントロールが頂点に達しています。
全ての音に意味があって、それが絶妙な曲線で結ばれている、まさにハーモニーとはこういうものだと、良い意味でのカルチャーショックを受けました。勿論のこと拍手がなかなか鳴り止みません。彼の演奏は1次予選の時にも好評で、同様に拍手が鳴り止みませんでしたが、私はその前奏者(Kausikan Rajeshkumarさん)の見事なパフォーマンスに呑まれたのか、高評価でありながら特別な感動はありませんでした。しかし今回は“涙”です!万が一、彼に良い評価が与えられなかったとしても、私は今後ともファンでありつづけるでしょう。
日本人出場者の秀逸な演奏
昨日は、2次予選では最多となる3名の日本人出場者が演奏し、日本の職人技を聴かせてくれました。
中川真耶加さんは透明感のある美しい響きと好感の持てる歌、小野田有紗さんはやや安定感に欠ける部分があったものの≪Andante Spianato and Grande Polonaise Brillante≫の表現力と旋律の美しさは格別、両者とも“ピアノの詩人”の見事な再現に感動しました。須藤梨菜さんもやや焦りが見え隠れした部分もありながら、次第に落ち着いて安定感のある良い音を聴かせてくれたと思いますし、この3名の演奏がどの様に評価されるのか、注目したいと思います。
昨日は、ショパンの演奏とは如何なるものであるべきか、とても考えさせられた一日でした。音楽家として大変勉強になります。
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