Winner’s Concertを聴いて(ショパン国際ピアノコンクール2015)

ショパン国際ピアノコンクール2015の日程は、本日の3rd Winner’s Concertをもって終了します。

10/21~23の日程で開催されるWinner’s Concertの演奏プログラムは、基本的に3日間とも同じです(アンコールは各奏者に委ねられています)。

  1. Dmitry Shishkin, Russia – 6th Prize/Scherzo in B flat minor Op. 31
  2. Yike (Yony) Yang, Canada – 5th Prize/Impromptu in F sharp major Op. 36,
    Barcarolle in F sharp major Op. 60
  3. Eric Lu, United States – 4th Prize/4 Preludes from Op. 28 (No. 4 in E minor,
    No. 13 in F sharp major, No. 15 in D flat major, No. 24 in D minor)
  4. Kate Liu, United States – 3rd Prize/3 Mazurkas Op. 56 (No. 1 in B major, No. 2
    in C major, No. 3 in C minor)
  5. Charles Richard-Hamelin, Canada – 2nd Prize/Nocturne in B major Op. 62 No. 1, Ballade in A flat major Op. 47
  6. Seong-Jin Cho, South Korea – 1st Prize/Piano Concerto in E minor Op. 11

初日のみ、演奏前にセレモニーが行われました。私は昨夜の2nd Winner’sを鑑賞して参りました。

 chopin competition 2015 winners (3)

各奏者とも、疲れた表情など見せず、聴衆を魅了していました。しかし、その多くはコンクールの時の様な一糸乱れぬ演奏ではなく、許容範囲の広い、比較的自由な体裁での演奏だった様に感じました。

そんな中でも、4位のEric Luさんがアンコールで弾いたワルツは、チェンバロを思わせる様な軽いタッチで情緒あふれる世界を表現してくれましたし、2位のCharles Richard-Hamelinさんの演奏は、曲ごとに異なるカラーを音色の違いで見事に表現されていました。各氏とも真の実力者である事は言うまでもありません。

「第1位」の名に相応しい演奏かどうか

1位のSeong-Jin Choさんの演目だけは、ソロではなく協奏曲(第1番)となっています(散々聴いたので出来ればソロを沢山聴きたかったのですが…)。この日の演奏は、確かに優勝者に相応しい演奏であったと思います。少なくともFinaleの時より断然良い演奏でした。音の響きが飛んでいて、オーケストラともマッチしている、左手の表現も豊潤で、見事な支えとなっていました。

chopin competition 2015 winners (4)

私は、彼が第1位であるという事の先入観を可能な限り捨てて、演奏だけに聴き入る様に努めましたが、それでもこの演奏ならば文句は無いと感じました。
特にアンコールで演奏された「英雄ポロネーズ」は、再現部から終曲に向かって高揚していく曲想が見事に表現され、圧巻でした。

しかし彼は、他の奏者(2位~6位)とは違い、第1位という緊張感を持っている事で、Finaleまでのモチベーションをコンクール終了後の今に至るまで維持し続けているという事、そして協奏曲の演奏が既に3回目を数え慣れてきた事、そして何より「評価」という柵から開放された事、これらの条件によって、Winner’s Concertでの洗練された演奏が実現したのではないでしょうか。

chopin competition 2015 winners (6)

ともあれ、実力あっての事ですから、彼の才能を見抜いた審査員の力量は凄いと思います。ただ、彼の経歴(浜松国際優勝など)を知っての評価でもありますから、もし顔を隠してのコンテストであれば、異なる評価になっていたかも分かりませんね。

ごあいさつ

これまで当ブログは、特にショパンコンクール期間中は日々2000を超えるご訪問者様に恵まれた事を感謝しております。この場をもって、厚く御礼申し上げます。

これからも“一音楽家”の一人として音楽業界の率直な所管を、また“旅行好き”な一人として少しでも有益な情報の記事を書くことが出来ればと思っておりますので、今後とも何卒宜しくお願い致します。

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