前回に続き、スペイン・バルセロナにあるカタルーニャ音楽堂の鑑賞記!今回は、美しい客席の様子に加え、各階からの眺望を比較。シートマップを交えながらレポートしていきたいと思います。
尚、チケット購入については前回の記事をご覧下さい→カタルーニャ音楽堂/チケット購入と座席の選び方!誰でも入れる美しい社交場へ
目次
客席へ通じる美しい階段
開演のちょうど30分前、館内に大きなブザーが鳴り響いて開場時刻の合図、入場開始となりました!階段の所でチケットチェックがあり、階段を上って客席の方へと向かいます。
エントランスホールから客席へのアプローチは、大理石の美しい大階段!パリのオペラ座(ガルニエ)の様に広くは無いですが、なかなか見応えありますね!
直線的なデザインの中にも天井や窓枠がアーチ状の形をしていますが、これはイスラム文化からの影響もあるのだとか。天井部分は白を基調とした細かなタイルが埋め込まれていて、ちょっと離れて見るとバンコクで見たタイの寺院の壁面の様にも見えてきます。
カタルーニャ音楽堂の座席表
さて、このカタルーニャ音楽堂の座席ですが、キャパシティはおよそ2,200。シートマップを見ると、平土間に加えて2階層の上階席がある構造ですが、最上階の後方席の多さが目立ちますね。まるで野球スタジアムの外野席の様です。また、客席の至る所に柱の位置を示す黒い●がありますが、場所によっては眺望を損なう恐れもあるので、座席選びの時は留意しておく必要があるでしょう。
実際に行って見てみると、良くも悪くも立派な柱です(笑)。存在感があるだけに、これが視界に入るとステージの方に集中できなくなりそうですが、殆どの場合座席の背面にあるので、それほど気にする必要は無いと思います。
美しいホールの全景を見る!
それではいよいよ、コンサートホールの内部へ!人の数がとにかく多いので、会場の内覧は開場直後が勝負です!
先ずは1階平土間へ来てみましたが、まぁなんとも素晴らしい景観!天井から壁面、ステージの反響板に至るまで、あらゆる面に装飾が施されています。
天井のステンドグラスがこれまた凄い!太陽を表現したというこのステンドグラスですが、中央部が歪曲して盛り上がっているのが分かりますね。
後で上階へ行って近くで見てみると、この通り!出ベソの様な乳首の様な(すみません)出っ張りの中には照明器具も入っている様で、夜になると微弱ではありますが電気が点く様になっています。
豪華なシャンデリアを配置するよりも、この方が自然光が入ってずっと明るいですね。
ステージの景観も素晴らしい!緞帳の様な大理石の彫刻に囲まれた間口、ギュっとパイプが凝縮された様な特徴的なデザインのパイプオルガンに、自然光の入るステンドグラスが設置されています。
これまで数多くのコンサートホールを見て来ましたが、ここまで特徴的な景観は初めて!
尚、2,200ものキャパを誇るカタルーニャ音楽堂ですが、平土間やステージのサイズはかなり小ぶりな印象。今回はオーケストラの公演ですが、張り出し舞台にしてもVnがギリギリの所まで来てしまいます。
また、舞台上に彫刻等の装飾がある関係で舞台セットが組めず、オペラやバレエなど演劇には向かないのだとか。観客との距離も近いですし、そういう意味では室内楽向きのホールなのかもしれませんね。
平土間(1階席)からの眺望
続いて、各階の客席からの眺望をチェック!先ずは1階平土間席ですが、こちらは中央に通路のある配置、前後の席の高低差があまり無いので、大柄の人が前に座るとちょっと見え難いかもしれません。
客席両サイドは、この様なバルコニー仕様の席になっています。他のオペラ座同様、自由に動かせる椅子になっています。
平土間の後方は、上階部分が大きく張り出しているので、かなり閉塞感があります。ステージ上の音はホールの天井へ抜けるものなので、これだけ上階が頭上に迫っていると音はかなり聴こえ難いと思います。
シートは各階共通の仕様ですが、座ってみるとなかなか狭く、シート幅は目方で45cmほど。満席の中に埋もれると、かなり圧迫感を感じてしまいます。
2階席からの眺望
続いて、一つ上の2階席へ。このフロアは全席が上階(3階席)の下に位置するので開放感は無いですし、ホール天井のステンドグラスも見え難いので、眺望は最も良く無いかもしれません。
サイドのバルコニー席からの眺望がコチラ。今回私はこちらの席を指定しましたが、前の人の頭でステージの半分以上が隠れてしまいます(涙)。でも音は意外と飛んで来るので、音楽を聴く分にはそれほど悪い席では無いです。
ただ、同じ2階席でも中央の先頭席は会場全体が見渡せて眺望が良いです。2階の中央はVIP席になるホールも多いですから、これはある意味当然の事。その分、チケット代は平土間と同じ1stカテゴリーである事が多い様です。
景観の良い最上階
次に、最上階の席へ。シートマップを見ての通り、中央の席は24列もの大きなスタンド席になっています。
その最上階中央からの眺めがコチラ!座るとステージの前方は多少見え難くなりますが、それでもパイプオルガンから天井、壁面の装飾に至るまで全ての景観が視界に入ってきます。
両サイドのバルコニーも良い感じ!美しい回廊があって、ホール天井のステンドグラスも間近に見られます。後ろの席だとステージが殆ど見えなくなりますが、その分チケット代も安い事が多い様です。
この最上階は絶好の撮影スポットになっている様で、休憩時間に行ってみると凄い人の数!それだけ、ホールの景観を楽しむには一番良いフロアかもしれませんね。
ベルリンフィルの演奏は…?
さて今回の公演は、世界的に有名な指揮者サイモン・ラトル氏率いる、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団の出張演奏です。プログラムは、前半にJörg Widmannという現代作曲家、およびWitold Lutosławskiというポーランドの作曲家の作品があって、後半はブラームスの交響曲第1番。※プログラムは無料で配布されています。
ベルリンフィルと言えば、世界的に見ても高い実力を誇るドイツのオーケストラなのですが、何だか今回の演奏はあまり洗練せれていないというか、音がガンガン鳴っているだけでコントロールが利いておらず、全然良い演奏ではありませんでした。
聴く位置が悪いだけかとも思ったのですが、演奏者同士のタイミングがずれる事も多いですし、コンマスのソロも微妙…。集中力が無く、指揮者に従ってただ弾いているだけという印象も否めません。恐らく土地柄もあって観光客向けに適当な演奏をしているのかもしれませんが、ちょっとこれじゃぁベルリンフィルの名が泣きますよ…。
とても手狭なBar
最後に、休憩時間中の社交場の様子をチェック!上階のホワイエにはBarのある部屋があって、アルコールを中心としたドリンクやピンチョス等が有料で提供されています。
元々小さな小部屋に設けられたBarなので、休憩時間中は混雑でカオス状態に!ここだけは紳士淑女も多いですが、まぁよくこんな所でお喋りするなぁと。
軽食はピンチョスが中心。生ハムの乗ったメニューもあって、いかにもスペインらしいですよね。
定番の“泡”ですが、置かれたボトルを見てみると“GRAMONA IMPERIAL”の文字が見えました!こちらはスペイン定番のスパークリング。
市場価格を見てみると、日本ではおよそ4千円台から6千円台。ヴィンテージによっても異差がある様ですが、シャンパンではないスパークリングのランクとしては結構高めですね。
美しいホールは観光客向け
カタルーニャ音楽堂でのオーケストラ公演を終えての感想ですが、ホールは完全に眺望重視。残響も少ないですし、音響重視の設計では無い様に感じました。
観光目的で鑑賞するには良いですが、音楽家として“音楽”を聴きたい者にとっては、かなり不完全燃焼…。
そういう意味でも、今回の様な2階席の奥まった所だと満足度はかなり下がってしまいますね。多少高いチケット代を払っても、平土間でステージのパイプオルガンを見上げながら鑑賞に臨むのが一番だと思います。
と言う訳で、カタルーニャ音楽堂でのコンサート鑑賞レポートでした!チケット手配やホール概要に関しては、前回の記事をご覧下さい→カタルーニャ音楽堂/チケット購入と座席の選び方!誰でも入れる美しい社交場へ
スペイン・バルセロナに関する情報、観光スポットについては「スペイン・バルセロナの観光ガイドと“一人旅”体験レポート!」も併せてご覧下さい。
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