前回の記事で外観やホワイエの様子をお伝えしたオーストリア・ウィーンの国立オペラ座「STAATSORER-シュターツオーパー」。今回は、私がこれまで幾つかの席で観た主観を元に、ステージが見えやすくて音の良い席を検証していきたいと思います。
目次
講堂は意外と質素?
ウィーンと言えば、社交界に代表される様な格式高い高級なイメージを持っていましたが、シュターツオーパーの講堂(観客席・ステージを含めたホール)は意外にも質素な印象を受けました。
装飾のアクセントに金色の縁取りがあしらわれていますが、パリの様な派手さはありませんね。しかし洗練されていて落ち着きのある佇まいです。この時は和風チックな緞帳もあって、風情な感じすら漂っていました。
ただ、この様な円形の客席はいつ見ても魅せられますね。シュターツオーパーのバルコニー席は5層。ロンドンの「ロイヤルオペラハウス」やプラハの「国民劇場」の4層よりも多いですが、その分一つ一つの天井高が低く感じられます。しかし実際に入ってみると、それほど閉塞感を感じる事はありませんでした。では先ず、この正面に見える2階席の眺望から見ていこうと思います。
正面2階席Mittelloge
来賓の方が案内される事の多い“玉座”です。当然このMittellogeエリアは全席1stカテゴリとなっています。その為、ステージを正面に見れて眺望は良いですが、後列へ行くと天井および側壁が視界に入り、臨場感に欠けます。
加えて天井高の低い閉鎖されたエリアにあってか、講堂に響いたオーケストラピットの音がここまで入って来ません…。私が訪れた時は先頭列で鑑賞しましたが、それでも音が全然飛んで来ないので眠くなりました。最高級1stカテゴリのコスパとしては、あまりおススメ出来ません。
右側ボックス最下層Parterre-rechts3
ステージに向かって右側のボックス席。最下層(Parterre)のステージから3番目に近いrechts3の眺望です。ここはステージの他オーケストラピットの様子もよく見えるので、私の様に音楽もしっかりと聴きたいという人には良いかもしれません。距離が近いため、音楽の微妙なニュアンスも判断できるほどよく聴こえます。
眺望に関しては、最前列であれば問題ありません。ただ、これは全てのボックス席に言える事ですが、ボックス席の2列目、3列目になると、ステージが殆ど見えません。私がこの最前列で鑑賞している時、後ろの席の人は椅子に座らずに立って覗き込む様に鑑賞していました。
座席のランクが1列目と2列目とでは2ランクくらい違う事からも、後列がいかに見え難いかが分かります。ボックス席を指定の場合は、少しくらい料金が高くても最前列を指定する事を強くおススメします。
右側ボックス最下層Parterre-rechts8
変わって、今度は同じ右側ボックス席のrechts8。3と比べてステージから大分離れますが、その分正面を向く様になるので眺望は良くなります。
ここならば2列目でもステージが見えなくなる事はありませんが、音の届き方はイマイチ。それでも先ほどのMittellogeに比べれば臨場感は格段に上がりますので、同じ1stカテゴリならば迷い無くこちらを選択すべきかと思います。尚、シュターツオーパーにはこの様に全席(立ち見席も含めて)に翻訳が流れるモニターが設置されています。ドイツ語、英語など幾つかの言語がボタンで切り替えられますが、残念ながら日本語はありません。
平土間前列Parkett 6列目11番
これまで見てきたボックス席は、円形の歌劇場ならではの高揚感に浸れる特別な空間である事は間違いありませんが、眺望・音響いずれも高い満足を得る事は出来ませんでした。そんな中、やはり王道は“平土間”であると感じたのがParkettです。
残念ながら写真がこれしか残っていませんが、音響は抜群!私はここで「ロミジュリ」を鑑賞しましたが、あの有名な≪騎士たちの踊り≫の臨場感極まる音響には感動しました。低音の迫力と言い、音響バランスと言い、非の付け所が無いほど。
眺望は、前に座る人の座高によって善し悪しは変わりますが、ステージ装飾が端から端まで見渡せる他、ダンサーの視線を感じる事が出来るのもGood!平土間の前列(Parkett)は後ろ半分が2ndカテゴリなので、この中で良席を探すのが一番コスパが良いのかもしれません。
立見席
楽友協会ホールもそうですが、ウィーンのホールには低廉な価格で鑑賞を楽しめる立見席がある点が最大の魅力ですよね。私はここでの鑑賞経験はありませんが、開演前に立ち寄って眺望を確かめて来ました。
ステージを正面に見る形になるので意外と眺望は良く、下手をすると1stカテゴリのMittellogeと遜色無い様にさえ感じました。椅子はありませんが、もしここの最前列をGetする事が出来れば、最高のコスパを叩き出せるのではないかと思っています。
ただ席取合戦はかなり激しい様で、開演の2時間以上前から並ぶ必要があるのだそう。そして席を確保した暁には、記しとしてこの様に自分のスカーフを巻きつけておくのだとか。
諸外国と比べても格段に正装率の高いシュターツオーパーですが、このエリアだけはカジュアルなファッションに身を包んだ若者も多く、逆に煌びやかな装飾品を身にまとうと浮いてしまいそうです。それだけ手軽に訪れる事ができるのも、立見席の魅力の一つなのかもしれません。
まとめ
と言う訳で、シュターツオーパーの座席について見てきましたが、やはり王道「平土間」に勝る席は見つかりませんでした。「ボックス席から顔を覗く体験がしたい」などの様な要望が無ければ、多少金額が上がっても平土間の席を選ばれる事をおススメしたいと思います。
尚、公演プログラムはロビーの各所で係員が販売しています。私が訪れた時は5€でした。ドイツ語版と英語版が用意されていて良心的!フランス語しか無いパリとは違います。
しかも“あらすじ”には日本語での表記もあります。この点からも、近年までいかに多くの日本人がウィーンを訪れていたのかが分かりますね。場内アナウンスの日本語もそうですが、これらが中国語にとって変わる日も近い?ウィーンにはここ2年ほど行けていないので、少しでも機会を作ってまた訪れたいと思います。以上ウィーン国立オペラ座「シュターツオーパー」の座席諏訪をお伝えしました。【ウィーン国立オペラ座STAATSORERの魅力!チケット購入は日本語対応のHPから可能!】の記事も併せてご覧頂ければと思います。
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