ポーランド・ワルシャワにある「聖十字架教会」では、ショパンの命日となる10月17日に、毎年恒例ショパン追悼のためのコンサート《モーツァルト・レクイエム》が行われました。ショパン国際ピアノコンクール2015開催期間と重なるため、私の様な観光客も多く、ステージが見えない程に観客でごった返していました。
聖十字架教会の場所
会場となる「聖十字架教会」は、ワルシャワ大学の近くにあります。開演は20:00。事前リサーチで、入場無料であるが故に、2時間前には到着して並ばないと入れない可能性有り、との情報を掴んでいたのですが、諸事情により(地下鉄の降りる駅を間違える等で…)19:30頃到着しました。
すると、大行列はおろか、教会周辺は人もまばら…。本当にこの場所で良いのか?と疑いながらも、中へ入って行きました。
すると、そこには人で埋め尽くされた光景が広がっていました。座席はおろか、通路にも人が溢れかえっており、演奏のステージがどこにあるのかさえ判らない程でした。それでも私と同時期に来場した人々が、通路にいる立ち見客を掻き分けながら、少しでも前の方へと進んでいる光景を目にしたので、私も負けじと少しでも密度の低い所まで入って行きます。すると、一見通路もギュウギュウに詰められている様に見えましたが、特に入口から遠い所には、まだまだ何人も入れるほどスペースが残されていました。
そして、なんとか最前列から数メートルの位置にまで詰め寄る事が出来ました。奇しくもここはショパンの心臓が埋められている柱の目の前で、妖艶な光に包まれた柱の袂に、多くの花が手向けられているのを間近で見る事が出来ました。
立見の眺望と演奏の質
開演後、演奏が始まるかと思いきや、私のいる中央の通路が突然「十戒」の海が裂けるシーンの様に両サイドに分かれたかと思うと、そこにお花を持った紳士がゆっくりと現れ、この柱に向かって行きます。どうやら、演奏前にショパンの心臓へ顕花が行われるセレモニーの様です。
そして、遂に演奏が始まりました。しかしこれが私の視界…、遅刻の代償は小さくありません。モーツァルト《レクイエムK.626》の演奏時間は、およそ1時間ありますから、足を常に動かしていないと疲労が溜まって耐えられません。
演奏は、天井の高い教会の響きを生かした音作りで、心地よく聴く事が出来ました。残響時間はある程度長いものの、それらが交錯せずに和音の構成がしっかりと判別できる音で、演奏レベルの高さを物語っています。豊かな残響が耳の奥までしっかり届き、有意義な時間を過ごす事ができました(足の疲労さえ無ければ…)。
ステージの様子
演奏修了後、ステージとなっている所を見に行ってみました。
オケの編成は8型くらいでしょうか?合唱団も40名くらいなので、教会の広さを考えると丁度良いのかもしれません。その割には低音も良く響いていたと思います。また、録音用でしょうか?各所にマイクスタンドが配置されていました。
まぶしい程の豪華さはありませんが、金・赤・黒の配色と白熱照明が成す、何とも言えない厳かな雰囲気は、レクイエムのバックステージにピッタリでしょう。いつか機会があれば、もっと早く来場して演奏風景を間近で見てみたいものです。
人が多い上に出入り口も小さな扉であるが故、退場にも時間がかかります。着席していた人達の多くは、立ち見客が捌けるまでの間座席に座ったまま耽っていました。
教会の祭壇とショパンの心臓
尚、これは後日教会に訪れた際、今回の観賞した所とほぼ同じ場所から写したものです。
祭壇はあからさまにキリスト感満載のものではなく、厳かで品があり、静かに輝きを放っている印象です。
F.Chopin氏に感謝の念と、今後の精進を誓いました。
煌びやかな装飾が無い為か、アットホームな雰囲気のある教会だと思います。心落ち着かせて祈りを捧げるには最適ではないでしょうか。無料で鑑賞できるレクイエムコンサートは、やはり2時間前には到着して座席の確保が必須なのだと感じました。ですが、私の様に遅刻したとしても、教会の響きの中で質の高い演奏を無料で聴く事ができるので、10月17日にワルシャワに滞在した際には是非とも足を運んで頂きたいと思います。
以上、聖十字架教会でのレクイエムコンサートの模様をお伝えしました!ショパンコンクールに関する全ての記事一覧はこちら。
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