ここ最近、私が飛行機の国内線を利用する際は、その殆どが満席便の普通席利用を強いられています。狙っている訳ではないのですが、どうも時期と時間帯が悪い様です。
満席便は、知人との利用で無い限り、その狭い空間に多くの人がイライラします。それは特に、到着時のベルト着用サイン消灯時に一斉に立ち上がって荷物を降ろす、あの瞬間に如実に表われてきます。
狭い通路は立ち上がった人で埋まってスペースが残されていないにもかかわらず、そこへ無理やりスーツケースを押し込もうとする輩、当然前後の人にその固いキャスターが当たる等、トラブルの火種にもなり兼ねない状況で、平静を装った顔つきで平然と行うビジネスマン、どうせ前方が詰まって早く行くにも行けない状況が分かっているにも関わらず窓側から無理やり出て行こうとする初老の男性など…。
周りへの気遣いが出来なくなるのは、それまで座っていた座席で受けた数々のストレスにも原因があるのではないでしょうか?そんなストレスを少しでも軽減できないかと、今更ながら考えてみました。
最大のストレスは隣との干渉
座席の狭さはそれほど気になるものではありません。特に前後のシートピッチは、前の座席に自分の膝が干渉さえしなければ、別に足が組めなくとも短時間のフライトであれば苦になる事は殆ど無いでしょう。
問題は隣の席との干渉です。同じ運賃を支払っている者同士、その占有面積も「平等」でなければならないと、それを死守するストレスが常にかかり続けます。特に「肩」「肘」「膝」の3箇所は、普通に過ごしていると隣とのボーダーラインを超える事は常で、特別気をつけていないと自分も罪を犯し兼ねない状況になります。これがもし隣席との間にパーティションがあれば、どんなに楽な事かと…。喧嘩の原因になりうる“肘掛”なんか設けずに、「壁」を作って上記3点の干渉を物理的にブロックする仕様にして欲しいと、常日頃感じています。頑丈な国境の壁、そして明確な境界線は、ストレス軽減に大きく役立ってくれる事と思うのですが…。
Yクラスシートは成人の肩幅に合っていない
経産省が公開している人体寸法平均によれば、成人男性の肩幅の平均を45~46cmとしています。しかし外側の上腕三頭筋の厚みや、自然に腕を下ろした場合の遊び、また洋服の弛み(特に半そでシャツは数センチのオーバー)を考えると、50cmは軽く超えるでしょう。これでは44~47cmのエコノミークラスシートに収まりきるはずはありません。JAL国際線(787)の「Sky Wider Ⅱ」ですら48cmですから、飛行機の座席は隣席との干渉を前提とした作りになっているとしか考えられません。勿論、米国や欧州国内線のそれに比べれば、小柄な日本人の多いJALやANAはマシなのかもしれませんが、上記の「壁」の様に、狭い空間なりにも「可能」な方法があるのであれば、何故実行しないのか理解に苦しみます。
「壁」を設けない理由
恐らく、パーティションを設けない理由のひとつに、緊急時の脱出の妨げにならない様にする為であると考えられます。肘掛の様な「棒状」のものとは違い、多面を要する「壁」は収納力および認知性に劣ります。
それならば、ゴムの様な柔らかい素材で構わないと思います。不動の壁とはならずとも、境界線を明確にするという目的が果たされ、ストレスの大きな軽減に繋がる事でしょう。また、肩・肘・膝の周辺のみをサポートする形状で、尚且つ手動で座席下へと可動する様にすれば、認知性にも問題は無いのではないでしょうか?
まさか「肘掛に比べてコストがかかるから」というのがその理由ではあるまい…。
肘掛を共有する方法
とやかく言っても、現状はすぐに変わるはずは有りませんから、自分で対策を打つしかありません。一般的に、座席の溝に合わせて真っ直ぐ座ると、肩幅は必然的に肘掛のセンターラインよりも外側にはみ出てしまいます。
そこで、自分の体を少し斜めに向けて座わります。隣の人が肘掛の前方を使用している時は、自分の体を少し隣の方に傾けて座り、逆に隣が肘掛の後方を使用している時は、その逆に体を向けて座ります。そうする事で、肘掛を前後で共有する事が出来、干渉が減ります。本来はお互いに肘掛を使用しない事が望ましいのですが、それを隣人に提案する事によるトラブルのリスクよりも、“お互い様”として使用し合う方が平和に過ごせるでしょう。また、シートベルトサイン消灯後は、シートを倒して前後の差をつけるのも一つの方法です。後の席への配慮が必要なので、新たなストレスの要因とも成り得るのですが、国際線の様な長距離フライトでは、シートを倒す事も一般的となっていますから、問題無いでしょう。
これならば、正面を向いた状態であっても、肘掛を2名で共有出来ます。
上級会員はJGC席を避けるべし
各航空会社とも上級会員向けにのみ開放された座席の設定があり、JALではグローバルクラブ会員向けの席で「JGC席」とも呼ばれたりします。
JGC席は、その隣もグローバルクラブ等のステータス保持者が座ります。こういった飛行機の多頻度利用者は、中堅以上の企業マンおよび多頻度な旅行に費用を掛けられる層が多い為、その比較的高い生活水準からか、しっかりとした体つきの者が多く、JGC席に座ると、その隣には高い確率でガタイの良い中肉男性が座ってきます。
また、優先搭乗で先を越される可能性もあり、機内へ搭乗して早い段階からストレスを強いられてしまいます。これは非常口座席のみに限らず、その他の事前に指定出来る座席も点在していますので、上級会員ホルダーで事前に座席指定の際には、Web予約の際に一度ログアウトをして、JGCに開放された座席を指定してしまっていないかどうか、確認すると良いでしょう。もし空席が無い場合は、JAL国内線であれば前日5:00AM、国際線であれば72時間前Webチェックインでの開放席を狙うのが良いと思います。
公共の交通機関を利用する側として、ある程度の覚悟は必要ですが、社会全体に余裕が無くなり“譲り合い”とか“思いやり”といった本来あるべきマナーが守れなくなってきているのも事実でしょうから、それを相手に求めるよりも、自分から相手に“触れない”“関わらない”という心がけを持つ方が、ストレス軽減に繋がって良いのかもしれませんね。
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