昨日、JAL日本航空のプレスリリース「2015年度路線便数計画の一部変更」において、10/25~の冬ダイヤにおける国際線の機材変更が発表されています。その中で、昨年787-8(SS8)機材であった「成田⇔フランクフルト」線が、今冬は最新の787-9(SS9)に大型化されていました。
これは、利用者にとって大歓迎な事ではないでしょうか?なぜならSS8→SS9への変更は、単なる大型化に留まらず、長距離フライト特有の懸念「トイレの心配」を大幅に改善してくれるからです。
目次
SS化(Sky Suite化)により減らされた787-8のトイレ
今やJALの代名詞ともなった「Sky Suite」は、個室感覚のビジネスクラスや世界最大級の座席幅を誇るエコノミークラス等、利用者の快適性を追及した機材で大好評となっています。しかし座席の大型化によるスペースの圧縮で、SS化前にくらべてトイレの数が減らされてしまった機材が目立ちます。
その分、総座席数も減っているのですが、それでも1つのトイレに対応する利用者数の割合が大幅に増えてしまい、特に深夜便の満席フライトにおける到着前のトイレラッシュは、大きな悩みの種となっています。
この様にまとめてみると、787-8(SS8)のエコノミークラス、ビジネスクラス共に、旧式に比べ1トイレに対する利用対象人数が増えている事が分かります。特にSS8ビジネスクラスの「2つ」という数字は、単に「19人に1つ」というだけの問題ではない、深夜便のフライトにおいては深刻な数字だと認識しています。
到着90分前に集中するトイレラッシュ
深夜便では、主に到着の約2時間前に朝食が提供されます。これが同時に「起床時刻」となり、乗客が一斉に“朝の身支度”を開始します。どの家庭でも朝のトイレが混雑する様に、決して「我慢」の出来ない“朝の勤め”で、機内に順番待ちの行列が発生します。これがエコノミークラスならば、ある程度「覚悟」がありますので、まだ許容範囲なのかもしれませんが、ビジネスクラスの美食や美酒に酔いしれた787-8(SS8)型機の乗客は、僅か2つしかないトイレに懸念を抱く事でしょう。
90分間の利用枠を検証
トイレ利用が集中する90分間に1人平均5分利用と過程すると、トイレ1つにつき18名の利用が可能という事になります。これが、
- 787-8(SS8)ビジネス…38名に対して36枠
という事になり、計算上満席のSS8ビジネスクラスでは、ラスト90分間に全員がトイレに行けない、という事になります。なお、その他の機材では
- 787-8(旧式)ビジネス…42名に対して54枠
- 787-9(SS9)ビジネス…44名に対して54枠
- 777-300(SS7)ビジネス…49名に対して72枠
- 767-300(SS6)ビジネス…24名に対して36枠
- 777-200(PY付)ビジネス…56名に対して54枠
これを鑑みますと、フランクフルト線の「SS8→SS9」がいかに安心材料と成り得るか、お分かり頂けるのではないかと思います。SS8の深夜便では、座席の快適性とは裏腹に、こうした懸念材料がある事を頭に入れておく必要があります。
「2つ」という数の問題
上記の通り、“朝の勤め”は通常より時間を要する事が多いと思います。つまりSS8のビジネスクラスでは、時間を要する人が同時に2名いるだけで、たちまちトイレ機能が麻痺してしまいます。また「次の方が待っているので早く出なければ」という焦りも増し、快適性の低下に拍車がかかるのは言うまでもありません。これが、対象人数がほぼ同じ割合にも関わらず3つのトイレを持ち合わせる777-200との大きな差です。
配置の問題
銀行ATMの順番待ちの様に、行列が1列に纏まっていると、対象のうち1箇所が長時間埋まっていたとしても、その他の空いた所へすぐに入る事が出来、列が次々と流れてゆきます。767-300(SS6)ビジネスのトイレは2つと少ないですが、その2つが1箇所に纏まっている為、1つの行列で2つのトイレへと振り分けが可能です。
SS8では行列が2箇所出来る為、効率が悪い上に不公平さも重なってきます。
切に願うSS8トイレ増備
787-8は中・長距離路線に適した機材との事ですが、例えシンガポールやホーチミン等の中距離路線であっても、深夜便のトイレラッシュには変わりありませんので、是非ともトイレ増備の改修を望むところです。素人の考えではありますが、Cクラス中央ブロック最後列2席を減らし、代わりにPYの中央ブロック最前列に新たにPY3席を加えても、Cクラス7列目中央ブロックの前には今よりスペースが出来るので、それを利用したトイレ増設は可能ではないのかと、勝手に妄想しています。私の様な音楽家は神経質が故、腹を下す事が多い為、トイレへの心配は常に付きまといますから、せめてビジネスクラス利用時くらいは安心・快適に過ごしたいものです。日本航空関係各位へこの願いが届く事を祈りつつ、今日のところは筆を置きます。
関連記事: