遂にファーストクラス休止へ…JAL成田発着ヨーロッパ線の動向を見る

JALの2016年度路線計画が発表されています。777-200ERのスカイスイート(SS)化や787-9の路線拡大など、利用者にとって嬉しいニュースがある一方、プレスリリースに記載されない変更点も見えて来ました。

※この記事は2016年執筆のものです。2020年からはアメリカ路線からもファーストクラス設定機材が無くなり、遂にJALファーストクラスは姿を消す事となりました。詳しくはコチラ成田空港からJALファーストクラスが消える日…羽田発着枠拡大による影響とは?

フランクフルト便の機材変更

以前【2016年JAL夏ダイヤ「フランクフルト線」Fクラス廃止か?】の記事で述べていましたが、JAL国際線の特典航空券予約受付状況を見ると、「成田⇔フランクフルト」線の2016年夏ダイヤにおいて、ファーストクラスに一切空きが無い状態が続いていました。それでも有償航空券の普通運賃では、通常通り予約可能な状態だった為、単に特典枠に向けて解放されていないだけかと思っていたのですが…

フランクフルト ファーストクラス廃止

その2016夏ダイヤが固まった今、改めてフランクフルト線の特典航空券予約受付状況を見ると、ファーストクラス設定の無い「成田⇔ヘルシンキ」線と同様「-」の表記に変わっていました。

フランクフルト787-9

同期間の使用機材を見ると、やはりファーストクラス設定の無い787-9に変更されています。これまでフランクフルト線は、航空需要の多い夏ダイヤでは大型機の777-300erが使用され、「成田⇔ヨーロッパ」では唯一ファーストクラスが設定されていました。しかし今回の措置により、成田空港発着のヨーロッパ路線からは、ファーストクラスが姿を消す事になります。

シドニーにファーストクラス設定

一方、これまでフランクフルト線と機材をシェアする形で冬ダイヤのみファーストクラス設定(777-300er)だった「成田⇔シドニー」を見ると、今年2016では夏ダイヤでも777-300erが宛がわれ、現在の冬ダイヤにおけるファーストクラスサービスが、夏ダイヤにも続く形となっています。

気になるのは、ゴールデンウイークとなる5/1~5/7のみ、フランクフルト線にもファーストクラス設定が残っている点です。これは何を意味するのか、その他の観点から紐解いてみます。

777-200er改修における一時的な措置か?

プレスリリースでは、これまで未改修だった777-200erが、スカイスイート仕様に改修される旨が書かれています。これの関係か否か定かではありませんが、9/1~9/30まで「羽田⇔香港」が777-200ER→777-300ER(SS7)に変更となっている事から、これを777-200のSS化改修の為の一時的な措置として捉えると、フランクフルト線のファーストクラス廃止も、一時的な機材運用の都合によるものなのかもしれませんね。

ただ現在のところ、夏ダイヤが終わる10月までの間、フランクフルト線へのファーストクラス設定便はゴールデンウイークを除いて見当たりませんから、早くても来年2017年の夏ダイヤからという事になり、1年以上の間、成田空港では欧州便ファーストクラスが見られない事になります。

唯一の救いは成田⇔パリのダイヤ変更

私はこれまで、都心のラッシュで混雑する羽田空港利用を嫌い、国際線は成田空港利用を贔屓にしてきましたから、今夏からのフランクフルト線機材運用に関しては残念でなりません。しかしそんな成田信者への唯一の救いが、パリ線の復活およびダイヤ改変です。

パリ線が2014年に羽田空港発着へ変更されてから、成田空港に残ったパリ線は、特に往路は成田を14時~15時に出発してパリに19時台着というダイヤの為、パリでの乗り継ぎが出来ずに使い難く、ビジネスクラスの特典航空券でも空席が目立ちました。しかし、この度「成田空港」を午前に出発して、きちんとパリで乗り継ぎが出来るダイヤに戻りました。

ロンドンやパリの基幹路線が羽田空港へ移った上、フランクフルトはLCCであるエアベルリンへの乗り継ぎが強いられる事から、成田発着の欧州乗り継ぎは「ヘルシンキ」線に頼らざるを得ない状況が続いていましたので、このパリ線のダイヤ改変は、成田空港利用者にとって朗報になるのだと思います。

羽田に集約するならばサービスの向上を

以前にも述べましたが、羽田空港のJALファーストクラス向けサービスは、諸外国のそれと比較しても、決して一流のものではなく、私の様な庶民の特典利用者には問題ないものの、大企業の重鎮を迎えるにあたっては、とても貧弱なものであると言わざるを得ないでしょう。

中東諸国のハブ空港なんかでは、チェックインから機内搭乗まで一括導線で、徹底したVIPサービスが振舞われますし、それ以外の国でも“ファーストクラス”に向けたサービスは、他と一線を画している所は多く見られます。

羽田空港の貧弱なチェックインカウンターに関しては、独立したエリアを持つ成田空港の比ではありませんし、そのまま混雑したプライオリティ保安検査場へ押し込まれるのは、決してファーストクラスへの扱いでは無いと考えています。しかし最近、他の方のブログ等を拝見していますと、機内への優先搭乗に関しては、ファーストクラス利用者のみを他のダイヤモンド会員等よりも先に案内する措置が取られているそうですから、サービス改善への第一歩と考えて良いかも知れませんね。今後の動向に注目したいと思います。

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