北海道・余市「ニッカウヰスキー」工場見学で試飲したウイスキーの感想

昨年の春、友人と北海道・札幌を訪れた際、せっかくなので「余市」まで足を運んで「ニッカウヰスキー」の工場見学に行って来ました。

普段、ジャパニーズ・ウイスキーは「サントリー」派の私ですが、ここでの試飲が美味しければニッカに乗り換えるのもアリかな、と期待を胸に訪れた次第です。同行したのが酒好きの人間だったものですから、空港ラウンジからランチ、ディナーに至るまで、行く先々で呑んだくれるという、正に不良の極みの様な旅行になってしまいました。

札幌からバスで余市へ

「余市」があるのは、札幌市から北西へ45キロの所で、小樽よりも更に西へ行った所にある小さな港町です。ここまでのアクセスについて、電車だと乗り換えがあって不便な為、札幌駅前バスターミナルから「高速よいち号」に乗って行く事にしました。

ニッカウヰスキー工場 (1)

道中の車窓は、寒空と荒波で“The 日本海”といった感じです。所要時間は1時間45分。普通の4列シートのバスですが、トイレも付いていて安心です。

ニッカウヰスキー工場 (2)

バスは午前中30分に一本出ているので、電車よりも便数が多くて便利かと思います。

ニッカウヰスキー工場 (3)

余市駅の時刻表を覗いてみましたがこの通り…ちょっと辛いものがありますよね。

ニッカウヰスキー工場 (12)

でも余市駅の駅舎はしっかりしていて、お土産コーナーまで設置されていました。駅前も綺麗に整備されていますし、やはりウイスキーでの観光産業が潤っている証拠なのでしょう。 余市駅前から工場までは、徒歩5分もかかりませんでした。

ウイスキー工場の見学ツアー

ニッカウヰスキー工場 (11)

所要時間50分の工場見学ツアーは事前の予約制の為、Webサイトから予約を入れておきました。かの「マッサン」ブームもあって、サントリーの「山崎蒸溜所」の見学ツアー等は常に満席でなかなか予約が取れない状況が続いている為、ここ余市でも心配していたのですが、この先の予約状況を見ると殆どが「空き」状態でした。

ニッカウヰスキー工場 (5)

それでも、私達が参加した時間帯は30名程の参列者がいましたから、ニッカは受け入れ人数自体が多いのかもしれません。参列者には、年配の方が多く見られました。

ニッカウヰスキー工場 (7)ニッカウヰスキー工場 (8)

ニッカウヰスキーのベストラインナップが陳列されています。

これはニッカに限らずですが、モンドセレクションの最高金賞受賞だとか、そういった商品を口にして本当に旨いと思った事が、私はこれまで一度もありません。受賞暦があるからといって“美味しい”とは限らない、という事を三山経験しましたから、今回も自分の舌でしっかり確かめようと思います。

ニッカウヰスキー工場 (9)

ツアーでは、赤い服を着たお姉さんが製造工程を丁寧に説明してくれます。この様に樽での熟成期間によって味が変わる訳ですが、そもそも10年や15年以上も寝かせる必要があるから原酒が足らなくなる訳で、現代技術を使ってこの熟成期間を短縮させる方法は無いものなのでしょうか…?

一応「Whiskey Elements」という“なんちゃって熟成棒”がある様ですが、レビューなんかを見ていると、熟成というよりは“香料”が付加されただけの印象が強い様で、なかなかこれを試す勇気はありません。やはりスタンダードに長期熟成が必要となると、いずれは世界中で原酒が枯渇し、ウイスキーの争奪戦が繰り広げられる事を覚悟しなければならないでしょうね。

余市10年の味は・・・

さて、見学ツアーの最後には、お待ちかね“試飲”の時間が用意されます。

銘柄は

  • 余市10年
  • 鶴17年
  • アップルワイン

の3種。今となっては販売終了した「余市10年」も、この当時はまだ試飲としてあったんですね。一人3杯までという事で、1種類ずつ頂きます。

ニッカウヰスキー工場 (10)

「余市10年」は…う~ん、はっきり言って“不味い”と思いました。若さによる臭みがモロに出ていて、とても10年物とは思えない程。スコッチ・ウイスキーの「グレンモーレンジ・オリジナル10年」とは雲泥の差があります。

次に「鶴17年」。余市より遥かにマシで、程よく長い余韻を感じる事が出来ました。しかし“スモーキー”とは異なるクセがあって、やはり好きにはなれません。これがボトル2万円に迫る程の市場価格なのかと、疑いの念を持ってしまします。

最後に「アップルワイン」。特に甘ったるさも無くスイスイ飲めますが、アップルのリキュールとウイスキーが喧嘩をしている様で、どっちつかずの腑に落ちない印象を持ちました。

ニッカウヰスキー工場 (6)

う~ん…以前、居酒屋で飲んだ「竹鶴17年」がさっぱりした風味で美味しかった記憶があるので、今回その味にめぐり合う事が出来なかったのは残念です。試飲会場での保存状態も疑いましたが、自宅に土産として持ち帰ったアップルワインは試飲の時と同じ味でしたから、それもあまり考えられません。

ニッカさんには申し訳ないですが、私はこれからもサントリー派でい続けようと思います。
皆さんも、ニッカの味を是非ご自身の舌で確かめてみて頂ければと思います。

※今後の社会情勢によって見学ルートや内容に変更が生じる可能性があるので、訪問の際はニッカウィスキーHPで確認する事をおススメします。