今回はワルシャワの象徴とも言うべき人物“ショパン”の博物館「Fryderyk Chopin Museum」の潜入レポートをお伝えします。
ショパン国際ピアノコンクール2015開催期間中、連日悪天候続きのワルシャワでの観光は、専ら美術館や博物館ばかりとなってしまいました。「国立博物館」や「軍事博物館」など、テーマとしてはそれ程特別なものではないものの、展示物の量はどれも多く、とても見ごたえのある内容となっていました。
事前予約とチケットオフィス
ショパン博物館は、基本的に時間ごとの入場制限を行っており、予約優先となる為、私は事前に博物館のHPに記載のメールアドレス宛に申し込みをしておきました。
「I want to book ticket for“1/Oct. 1:00pm~”1 parson.」という様に、簡単な文章で構いません。翌日には「We have made Your booking In 1.10.2015 at 1pm.」という返信が送られてきます。従来はHPの予約システムからそのまま予約が出来た様ですが、システム改修中との事でメールでの申し込みとなりました。
※現在はHPで時間指定のチケットが購入出来る様になっています。
博物館の入口は2階ですが、予約していた場合でも先ずは1階のチケットオフィスに立ち寄って、料金の支払いと、チケットの代わりとなるICカードを受け取る必要があります。私は受付で予約済みである旨を伝えましたが、氏名を尋ねられる事も無く受付完了となりました。どうやらこの時間帯は予約無しでも入場可能だった様です。
ちょっと洒落たデザインの内装
実際に入場してみると、館内はとても空いていました。ショパンコンクール開催中の繁忙期で予約必須と思いきや、拍子抜けしてしまいました。やはりショパンコンクールは一部の音楽ファンに限られたイベントであって、たかがフィルハーモニーに訪れる数百名程度の観光客では、観光地を埋める様な人数にならないのでしょう。10月は基本的に閑散期ですからね。
肝心の楽譜展示については、一部で直筆のものをガラスゲージでそのまま展示している所もある一方、出版譜の多くはデジタル投影によって閲覧する形が取られています。
譜めくりの反応が遅く、何だか電波の悪いスマートフォンを扱っている様で、ややストレスを感じてしまいました。また、付属のヘッドフォンから聴こえてくる演奏は、どれも古い録音の為か、442で調律された平均律の音から掛け離れた音程である場合が多く、念入りに聴いていられるものではありませんでした。
こちらは、白い円の上に乗ると音が鳴り、数人で合奏出来るアトラクションとなっている様です。こういった“音遊び”の要素も、各所に見られます。この様に、ショパン博物館では普通に展示されたものは少なく、ICカードをかざす事で曲が流れるなど、遊び心を取り入れた演出によって、万人受けを狙った展示が主流となっていました。
コアなファンには物足りないか…
ショパン博物館の展示は面白いと言えば面白いですが、デジタル投影による楽譜は見難くいですし、それならば普通の展示にしてくれた方が見やすくて良いでしょう。洒落た演出によって万人受けを狙うのも良いですが、コアなクラシックファンとしては、もっとショパンの息遣いを肌身で感じられる様な「生」の空気を吸える空間であれば嬉しかったのですが…。
最新技術を用いた改装を施すならば、デジタル技術の温床ではなく、ショパンの筆圧を間近で感じ取れる様な楽譜展示に力を注いで欲しかった、というのが正直な感想です。
以上、ワルシャワにあるショパン博物館の潜入レポートでした。
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