今回は、先日久々に実施したピアノの調律の話題です。ギターや管楽器と違って、ピアノは定期的に調律師を呼んで音の調整やメンテナンスをしてもらう必要があるのですが、最近ちょっとサボっていたので怒られました…。
1音2音、少しの音の狂いであれば自前のチューニングハンマーで直してしまいますが、流石に最後の調律から1年も経つと、音程の狂いだけでは無い様々なトラブルが出てくるものです。今回の記事では、そんなピアノの調律について、音程の調整だけではない細かなメンテナンスや費用についてご紹介していこうと思います。
ハンマーの調整方法
グランドピアノの構造を知らない方も多いと思うので、その調整方法をここでちょこっとご紹介。ピアノはハンマーアクションによって弦を叩いて音を出す楽器ですが、今回の調律ではこのハンマーの先(弦を叩く接点)の調整を主に行いました。
ハンマーの先にはフェルトが巻かれているのですが、この堅さや材質はメーカーによっても様々。そのフェルトの堅さや構造によって音質が変わってくるのですが、堅い弦を長年叩いているとフェルトがカチカチになって、まろやかな音が出難くなります。ちょうど堅い石で金属を叩くと耳障りな音がするのと同じ事ですね。
そこで、フェルトの先に針を入れて少し毛羽立たせます。こうする事でクッションが生まれ、打弦の際に柔らかい音が出る様になるのです。但しやりすぎるとモコモコした迫力の無い音になってしまうので、そこは調律師の方と相談して音を確かめながら進めてゆきます。
コンサート会場と違って狭い室内なので、あまり堅い音質だと耳が疲れてしまうのですが、少しでもスタインウェイの様な軽やかな音を目指すとなると、どうしても堅めに調整しがち…。その塩梅が難しい~
ハンマーの交換コストは?
ハンマーの先に巻かれたフェルトは、当然ながら消耗品。けれどヴァイオリンの弓の様に頻繁に交換する様な事は無いのですが、弾き方によっては数年で交換する人や、中にはピアノ購入後わずか半年で交換した人もいるのだとか。私は学生の頃には弾きこんでいましたが、社会に出てからはサッパリ…。作・編曲で使用するとは言え、フェルトが削れるほど弾く事は稀ですから、購入してからこれまで一度も交換する事はありませんでした。
調律師の方に言わせると、そろそろ交換が必要との事(そりゃそうだ…)。ハンマーの交換は、通常フェルトの部分だけを交換する方法だと20~30万円で済むそうですが、最近ヤマハはハンマーの先のフェルトだけの交換を辞めてしまったらしく、ハンマーの根元の駆動部から一括まとめての交換しか応じなくなったそうで、それだと作業費含めて40~50万円くらいかかってしまうのだとか。
それならばと、ヤマハ製ではなく「スタインウェイ」のハンマーであればフェルトのみの交換が可能で、それだと10~20万円とヤマハの半額で済むそうです。丁度このピアノの音色に飽きてきた所ですし、スタインウェイの様な軽やかな音を望むなら尚更都合が良いですよね。
ハンマーのフェルトの交換作業にかかる時間は丸二日。作業にピアノを出す必要は無く、調律師が来てやってくれます。購入から十うん年弾き続けたピアノなだけに愛着はありますが、そろそろ生まれ変わって気持ち新たにしたいという思いもあります。
弦の張り替えは更に高額
このピアノの経年劣化は、ハンマーのみならず弦の方も進んでしまっています。弦が劣化して来ると音の波長が乱れて「ウヮンウヮン」といった唸りが聴こえたり、また「リンリン」という鈴の様な音や「キンキン」といった金属音が混じったりします。
これらの症状の改善には、基本的に弦を張り替えるしかないのですが、調律である程度カバーできる場合があります。ピアノは1つの音に対して3本の弦で鳴っていますが、その内1本の弦の劣化が著しい場合、その弦の波長とその隣の弦の波長を逆にする事で打ち消しあい、歪を抑える事が出来るのだとか。これはノイズキャンセリングヘッドフォンと同じ様な原理ですね。
しかしこれも暫定措置に過ぎず、やはり根本的な改善には弦の張替えが必要になりますが、88鍵盤全ての弦を張り替えるとなるとオーバーホールに近い様な作業になって、それこそ100万円近くするそう…。
調律師を呼ぶ頻度
今回の調律にかかった費用は2万円ほど。作業時間は4時間です。この様に見ていくと、ピアノって維持するのに金も手間もかかるものだなぁと思う方もいると思いますが、弦楽器などに比べるとまだまだ楽な方だと思います。それこそショパン国際ピアノコンクールに出るような演奏家であれば、頻繁に調律師を呼ぶ事もあるとは思いますが、作曲家にそこまでのメンテナンスは不要です。
今回、スタインウェイのハンマーへの交換費用が大体分かったので、なるべく近い内に検討したいと思います。そして将来には自動演奏機能も付けて…と色々夢が膨らむものです。
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