昨日の記事では、ANA新型機材A320neoの超うすっぺらいエコノミークラスシートと比較して、2010年頃に搭載されていた快適なエコノミークラスシートを見ていきましたが、この時登場したプレミアムエコノミーのシートも今とは比べ物にならないほど広く、快適なシートでした。
2017年に東京ミッドタウンで行われたANAサービス体験会では、現行のプレミアムエコノミークラスシートも展示されていたので、それと比較してみたいと思います。
現行のANAプレミアムエコノミー
プレミアムエコノミーはビジネスクラスとエコノミークラスとの中間クラスとして位置づけられていますが、そのシート幅や機能は航空会社によって様々ですよね。中にはビジネスクラスに近い様な快適シートもありますが、エコノミークラスに毛が生えたか生えないかくらいのレベルのものも見受けられます。
このANAのプレエコは、座ってみると自然な座り心地で悪くありません。およそ47cmのシート幅は決して広いものではありませんが、自然に肩を下ろした所に肘掛が来るような感じです。
しかしその肘掛は非常に細く、昨日の記事で見たエコノミークラスのものを彷彿とさせる程です。隣り合った2名が共に肘を置くと、間違いなく干渉は避けられないでしょう。
カクテルテーブル付近の質感のチープさは否めませんが、サイドテーブルが付いているのは良いですね。隣に人が居る場合は、自然とこのサイドテーブルを使用する事になると思います。
メインのテーブルは、やや不安定ながらも意外としっかりした造りになっています(A320neoエコノミークラスが酷すぎる…)。このプレエコのシートが開発されてから何年も経ちますが、当時はまだ現在ほどコストカットがされていなかったので、これだけしっかりした素材が使われているのかもしれません。リラックスポジションの座り心地はイマイチ…。リクライニングは浅めですし、フットレストは前の座席に付いていてレッグレストから出すタイプでは無いので、自由な体勢作りが難しいです。
このプレミアムエコノミーシートは、奴隷船仕様のエコノミーに比べたらマシですが、およそ20万円も出して乗るような代物ではないですね。
※最新のプレミアムエコノミーシートについては、こちらの記事でもレポートしています→ANA【B787-10】ビジネスクラス搭乗記!NH801 成田~シンガポール
以前のプレエコはビジネスクラス並み!
2010年頃、ファーストからエコノミーに至るまでANAの全クラスの座席が一新された時期がありました。JALのSky Suiteもそうですが、機内全体の座席数を減らしてその分シート幅やピッチを増やすという画期的な改革です。その時ANAのプレミアムエコノミーは、ビジネスクラスを思わせる様な斬新なシートが開発されていました。
コンセプト当時の写真が残っていましたが、今では考えられない様な造りですよね。見ているだけでも“座ってみたい”と思わせる様な未来的な感じがします。実際どこまで導入が進んだかは分かりませんが、実物の写真も存在します。
大型のパーティションに加え、カクテルテーブルもセパレート。隣との境界線をハッキリさせている点は、現行の短距離ビジネスクラスシートにも勝る仕様です。また可変式フットレスト付きのレッグレストに加え、リクライニングをしても後ろの席に影響が出ませんから、思いっきり寛ぐ事が出来るでしょうね。
ANAは“詰め込み式”へ方針転換
しかしこの2010年に刷新されたシートが今に残っているのはファーストとビジネスのみ。プレミアムエコノミーは冒頭でご紹介した通りですし、エコノミークラスは昨日の記事の通り…、以前よりも増して奴隷船仕様となってしまいました。
ANA全日空は羽田空港の国際線発着枠でJALよりも相当有利になりましたから、調子に乗っているのでしょうか?恐らく8.10ペーパー期限となる今年度末以降に始まると予想されるJALの巻き返しの前に、少しでも利益を出しておきたいというのが狙いなのでしょうが、あまりコスト削減し過ぎると本当に選ばれなくなってしまいますよ、きっと。
とは言え、JALも国際線こそSKY WIDERの広いシートが提供されていますが、国内線の新型シートSKY NEXTは超薄型のコストカットシートですし、特に777機材の10列シートを中心に以前より詰め込み型になっていますから、ANAだけの事ではないのかもしれませんね。
六本木の東京ミッドタウンで行われた「ANAサービス体験会」では、良い所も悪い所も含めてANAのサービスの現状が少し分かった様な気がします。
結論を言うと、私はこのままJAL派で揺ぎ無いとは思いますが、上級会員へのプレミアムエコノミー無料開放や就航路線の多さなど、ANAならではの良さもあるので、一概にJALを推すわけにはゆきません…。外資系も含めて、贔屓の航空会社を選びなおす事も、視野に入れて置こうと思っています。体験会で体験したその他のシートに関するレポートも合わせてご覧頂ければと思います。