昨日引き続きANAサービス体験会の模様です。ANAファーストクラスのシート体験に続き、同じボーイング777-300ERのビジネスクラスシート体験をレポートします。
航空各社ともしのぎを削ってサービス向上に力を入れているビジネスクラスのシート。JALビジネスクラスのSky-SuiteⅠはプライベート感満載のシートで快適なフライトでしたが、ANA全日空のシートは果たしてどれほどのものなのでしょうか?
※この記事は2017年に行われた体験会の様子です。
ANA BUSINESS STAGGERED のシート
11月13日(本日)まで開催されている「ANAサービス体験会」。ファーストクラスのブースは行列必至でしたが、ビジネスクラスは展示されている座席数も多く、全く並ばずに体験する事が出来ました。
このANA BUSINESS STAGGEREDは、全日空の長距離路線(ロンドンやニューヨーク行き)で採用されているスタッガードシート。“スタッガード”とは、座席を互い違いに配置する事によって機内の限られたスペースを有効活用する配列方法ですが、採算性が優れているのか世界でも多くの航空会社で採用されていますよね。座り心地は…普通。上級クラスに相応しい“玉座”の様な貫禄は無く、尻や腰のホールド感もあまり望めない印象・・・。座席部分の容積率をあまり高められないのは、限られたスペースで構築されるスタッガード式の宿命なので仕方ありませんね。
シート幅は49.3cm。でも見た目以上に余裕があります。逆にこれ以上広いと肩がこってしまうので、丁度良いのかもしれません。こればかりは実際に機上で長時間座ってみないと分からないものです。
足元はちょっと狭め。荷物が置けるという台が邪魔になって、足を思う様に延ばせません。飛行機の中なんてどうせ地べたに荷物を置くものですから、こんなグレーの台なんて無くても構わないと思うのですが…。
安っぽさが否めないサイドテーブル
続いて座席周りを見てみましょう。ほぼ正方形のサイドテーブルはスタッガード式特有のもの。仕事や食事の際にちょっとした物置として重宝しますね。
テーブルの端には、この様にしっかりとしたパーティションがついているので、隣の席の人に間違って使われる心配がありません。同じスタッガード式のJAL-Sky SuiteⅡにはこのパーティションが無いので、これはJALより優れている点でしょう。
サイドテーブルには小物入れが付いていますが、これが物凄くチープ!安っぽいプラスチックの容器は、上級クラスとしての質感は全く感じられません。
加えてその隣にあるドリンクホルダーも子供だまし。ちょっとした衝撃で折れてしまいそうです。
言うなれば、このサイドテーブル自体、安っぽい質感は否めません。水の弾け易さなど機能性を重視したものなのかもしれませんが、せめて化粧板でコーティングするくらいの演出があっても良いのではないでしょうか。
ベッドポジションにして分かる窮屈さ
次に、ベッドポジションを試してみます。シートが180度倒れてフルフラットベッドとなりますが、足元が狭いのが難点。
加えて枕元もかなり狭いです。これもスタッガード式の宿命なので仕方有りませんね。
一応、肘掛を上げる事でその分のスペースが確保できる様にはなっています。これによって肩幅の分のスペースが確保されますが、寝返りはかなり難しいです。
このマットレスは、昨日ご紹介したファーストクラスと同様「東京西川」製ですが、ファーストクラスと比べると大分薄いものです。裏地は滑り止めで、JALの様なリバーシブル仕様ではありませんでした。
実際に寝転がってみましたが、寝心地云々より居住空間としてちょっとリラックス出来そうにありません。良質な睡眠は身体的なことよりも精神的な安らぎが求められますから、これはかなりのマイナスポイントです。
軍配はJAL-Sky SuiteⅠ。しかしⅡよりは上か
このANA BUSINESS STAGGEREDを同じ長距離路線のビジネスクラスシートであるJALのSky SuiteⅠと比較すると、明らかにJALに軍配が上がります。
スタッガードシートは互い違いに配列する事によってスペースを生み出しているのですが、人間の肩幅は変えられないので、結局は前後合わせた人数分のスペースが必要になります。つまりこのスタッガードシートは、1-2-1の配列ながら結局2-4-2の配列と殆ど同じ横幅しか無い事になり、これは2-3-2のJAL-Sky SuiteⅠと比べると明らかに狭い訳です。
JALのSky SuiteⅠは、サイドテーブルこそ無いものの肩周りには十分なスペースがありましたし、個室感も圧倒的に上です。加えて化粧板で質感も保たれていますし、どれを取って見てもANAが勝る点は見つかりません。
やはりスタッガードシートはスペースの有効活用という意味では非常に有意義な配置だとは思いますが、利用者にとっては必ずしもそうではないのかもしれませんね。実際にこれで12時間飛んでみないと分からない部分も多いとは思いますが、この内容ならば、個室感が無くとも近距離向けのビジネスクラスシートに採用されている重厚感のある椅子の方が、よっぽどリラックス出来るのかもしれません。
採算性と快適性を天秤に掛けたビジネスクラスのシート。長距離路線向けはJALの圧勝でした!次回は近距離向けの新型ビジネスクラスA320の座席をレポートします。実際のANAビジネスクラス体験レポートはコチラ→ANAビジネスクラス搭乗レポ!B787-9シートとアメニティ/ANA【B787-10】ビジネスクラス搭乗記!NH801 成田~シンガポール
♪こちらも合わせてどうぞ↓