昨日に引き続き、シンガポール交響楽団観賞記をお伝えします。今回は、Esplanade Concert Hall(エスプラネード・コンサートホール)のロビーや客席などを詳しくご紹介します。尚、チケット手配および会場アクセスについては「シンガポール交響楽団」公演チケットとEsplanade Concert Hallアクセス に記載しています。
チケットチェックを済ませた後は、ホワイエ→客席へと進んで行きますが、斬新な外観に然り、内装も諸外国のコンサートホールに引けを取らない立派なホールでした。その他、社交場の雰囲気や客層、服装なども見ていきたいと思います。
目次
白を基調としたホワイエ
チケットコントロールの先にあるホワイエは客席の後方に位置しますが、白を基調とした床と天井が、その縁に沿う形で緩やかなカーブを描いています。
広さとしては一般的な大ホールと同程度、しかし天井が低いせいか、ややせせこましく感じます。ここにはBarカウンターがあるので、休憩時間には社交場として賑わいを見せるでしょう(その模様は後述します)。
ロビーの天井は低いですが、外壁付近は吹き抜けになっていて上階が見渡せます。なかなかダイナミックな光景です。
ここから客席の方へと入って行きますが、初めの開場時にはこの客席入口にも担当者が立っていて、チケットのチェックを行っていました。保有するチケットの該当する扉からでないと、客席に入れない様です。開演までまだ時間があるのでホール内を色々と探検しようと思いましたが、今はちょっと難しそう…。探検は休憩時間に行いたいと思います。
斬新なデザインの講堂
エスプラネード・コンサートホールの客席は、Stalls(平土間)と3つのCircle(上階席)を持つ4階層の構造。今回は平土間の前の方の席を購入しました。
講堂の中へ入って行くと、真新しい木面の床と、落ち着きのある緑を基調とした色合いの座席。内壁もそれに合わせた緑色をしていて、ちょっと個性的ながらも強い印象を受けます。
特に驚いたのは天井のデザイン!円形状の板面に多数のスポットライトが付いている斬新なもの。中心付近は間接照明になっているんですね。
はじめ、カタツムリの様に渦巻状なのかと思いましたが、近寄って見てみると線対称に複数の板を貼り合わせた形になっていました。こんな斬新な天板を見たのは初めてです!
ステージ背面もなかなかカッコイイですね。パイプオルガンがこれほど正板と一体化したステージは、これまで見た事がありません。
上階を見上げた感じもステキです!こうして見ると、この講堂がヨーロッパのオペラ座に見られる“馬蹄形”をしているのが分かります。
Cat 2(F列30番)からの眺望
今回私が確保したのは、前から6列目の右端。上から2番目のカテゴリーで、価格は$62(≠4,960円)でした。
シートの座り心地は上々。シート幅は標準的ですが、背もたれの形状が立派でクッション性も良し。長時間座っていても尻や腰が痛くなりません。
この席から見たステージの眺望は、やや見上げる形になりますが、首が痛くなる程ではありません。ただ、大柄の人が前に来たら少し難があるかも…。今回は運が良かったのか、私の前の席は空席でした。
また、この席は一番右端ではあるものの、平土間の4列目以降は絞り込まれる形になっているので、ステージから見た位置ではそれほど端の方ではありません。通路側なので席の出入りも便利ですし、このホールの平土間においては、両端の通路側は良い選択だと思います。
音響に関しては、ステージよりも低い位置にあたる為か若干こもる感じはあるものの、音の聴こえは良いです。コントラバスが近いせいもあって低音が目だって聴こえましたが、1st Vn.も問題なく聴こえます。
シンガポール交響楽団の印象
さて、肝心のシンガポール・シンフォニーの演奏ですが、今回聴いた感じでは実力はまずまずの様。ただ、オケ全体としてのまとまりは良いものの、特に管楽器に関しては音の出だしがプスって合わない事がしばしば。ハーモニーやバランスは問題ありませんでしたから、単なる集中力不足かと?
今回のプログラムはご覧の通り。テンポ感のある演奏で、曲間は殆どアタッカです。ソリストのJIN TA氏はなかなかのテクニシャンで、超絶技巧の旋律を難なく吹いていましたが、音量は少し小さめで迫力に欠けます。今回、最後のアンコールはありませんでしたが、コンチェルト後のソリストのアンコールでは、J.S.バッハ「無伴奏チェロ組曲 第1番」プレリュードのアレンジを楽団員のCbとPer.の3名とでJazzセッション!クラシック演奏だけではない多彩な才能を魅せてくれました。
指揮者は中国出身のYU LONG氏。上海交響楽団などの音楽監督を務める傍ら、こうして世界各国の客員指揮者として活躍されている、世界的に名声を得た人物です。スピード感のある演奏は高揚感が沸き、長時間聴いていても眠くなりませんでした。
休憩時間の社交場、客層と服装
休憩時間になったので、ロビーの様子を見に行ってみましょう。客層を見ると、ここが東南アジアの一国とは思えないほど西洋人の多さに驚きます。シンガポールへ移住した西洋人たちが、こうして数少ない音楽会に足を運んで社交を楽しんでいるのでしょう。
服装も、西洋人は襟付きのシャツや綺麗めな格好の人が多いです。しかしアジア人は皆それ程でもなく、半そでにジーンズ姿も多く見かけました。清潔感さえあれば、街歩きの服装でそのまま訪れても問題ないでしょう。
尚、ロビーからはシンガポールの夜景‐ラッフェルズプレイス方面の高層ビル群を一望できます。都会的な雰囲気があって良いですね。
Barのメニューをチェック!
Barカウンターは、このフロアには2箇所。西洋のオペラ座ほどではありませんが、結構な行列が出来ていました。
ドリンクメニューはハードリカーが中心。シャンパン$20、赤白ワインが$12、ビールが$10など、ロンドンやパリのオペラ座と遜色無い価格が並びます。ソフトドリンクは$4前後が中心、サンドイッチ等の軽食は用意されていない様です。※価格は社会情勢により随時変動します。
銘柄を見てみると、シャンパンは市場価格¥4,500程のTAITTINGER(テタンジェ)、赤白ワインはMCGUIGAN(マクギガン)でお値段¥2,000弱です。ビールはなんとアサヒスーパードライ!日本のビール会社もこんな所にまで営業しているんですね。
上階のロビーと客席
次に、階段を上って上階の方へと行ってみましょう。
1階のロビーと比べて人は少なく、静かで落ち着いた雰囲気です。ただしソファーなどは少なめな印象。1階にはあったカクテルテーブルも見当たりませんが、Barカウンターは2階にもあって、同じメニューが置かれていました。1階に比べて行列が少ないので、こっちの方がおススメかも。
客席を覗くとこんな感じ。2階のバルコニー席とは言え、ステージからの距離はそれほど遠くないので眺望は悪く無いですね。ステージ全体が難なく見渡せて、1階席よりこちらの方を好む方もいると思います。2階席と言えども、中央の先頭席は1stカテゴリーですから、良い席なのは当然でしょうか。
尚、ここにも担当者が立っていましたが、開場時の様なチケットチェックはありませんでした。
常夏の国のクラシックコンサート
以上、2回に渡ってシンガポール交響楽団のコンサート、およびエスプラネード・コンサートホールの模様をお伝えしましたが、如何でしたでしょうか?初めの内は東南アジアのコンサートホールなんて大した事ないだろう、などと思っていましたが、そんな思いを見事に裏切ってくれました。この様なシンガポールの斬新なコンサートホールは、一見の価値ありだと思います。チケット価格も西洋と比べると安く(ロンドンは除く)、1stカテゴリーでも$100程度と1万円を切る価格で観賞できる点は良心的ですね。オケの実力もまずまずですし、初めての方も常夏の国で味わうクラシックコンサート鑑賞を是非味わってみては如何でしょうか?
チケット手配等については、昨日の記事をご覧下さい→「シンガポール交響楽団」公演チケットとEsplanade Concert Hallアクセス
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