1月1日オーストリア・ウィーンで行われた《ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート》は、1/11午前0時40分よりBSプレミアムにて再放送されます。私は1/1の生放送を観ましたが、有名な≪美しく青きドナウ≫の演奏シーンでは、雄大なドナウ川の空撮の映像が流れており、豊かな緑に赤い屋根の家々が映える、なんとも美しい景色に見とれていました。
しかし、その一方で肝心のドナウ川に視点を移すと、緑ががったマットな色合い、おおよそ東京の荒川や隅田川を見ている様で、決して綺麗とは言い難い水質の川が映っていました。ちょっと調べてみると、近代になって相次ぐダム建設などにより水質が悪化したのだとか。
シュトラウスが≪美しく青きドナウ≫を書いた頃には、本当に青くて美しい川だったのでしょう。産業発展が齎した負の遺産という意味では、ちょうど日本の「♪春のうららの隅田川~」と同じですね。
ドナウ川のほとりへ行ってみた
そう言えば、私が以前ウィーンを訪れた際に、実際にドナウ川を訪ねていました。場所はウィーン市街地から北方面、地下鉄U4の終点より更に1キロ程北へ行った所で、トラムDの終点ひとつ手前で降りた所になります。
川辺は自然公園の様な感じです。この日は気持ち良く晴れていた為か、ジョギングする人を見かけました。
川の水は、青空に照らされている為か青く見えますが、日光の反射によって水質をハッキリと確かめるには至りませんでした。美しい紅葉とのどかな雰囲気に呑まれて、川の水も美しく見えてきます。ちなみに遠くに霞んで見えるのはKaisermühlen VIC駅周辺のビル群で、ここは情緒溢れる西洋建築ではない近代的な街並みとなっていました。
ダムの側で見た川の水質は…
さて、ここへ行き着く為に「橋」を渡って来ました。立派な柱に緑の鉄骨と、日本ではあまり見かけない造りです。
「シェマール橋」と読むそうです。夜になると灯篭に火が灯るのでしょうか?
Googleの衛星写真で見るとココ、橋の横にダムの様なものが写っているのが分かります。ちなみにこの衛星写真で写っているドナウ川も、決して良い色をしている訳ではないですね。このダムの脇には幹線道路が走っており、その高架下にわき道があったので行ってみました。するとこんな景色が…。
あぁ、、、やはり水質は予想通り。残念ながら、ニューイヤーコンサートの空撮映像に映っていたドナウ川の色と全く同じ、黄緑色の濁った水が勢い良く流れていました。美しい緑に囲まれてフィルターが架かっていたのか、映像ではそれほど気になるものではありませんでしたが、こうしてダムの水として見てみると、相当汚れていますね。
尚、地図を見ても判る様に、このダムから先はドナウ川の支流になっていて、これがウィーン市内中心部まで流れてゆきます。
流れ行く位置としては、旧市街リンクの北側。こちらはSchwedenplatz駅付近、暗くて判り難いですが、ここには船着場があって、「ツイン・シティーライナー」という高速船で隣国スロヴァキアの首都ブラチスラヴァまで行く事ができます。
ちなみに、これはウィーンより遙か西の上流に位置するザルツブルグへ訪れた時の写真ですが、ここを流れるイン川はドナウ川へと合流します。その美しい街並みとは裏腹に、私はザルツブルグの駅を降りた瞬間からドブ臭い匂いに苛まれ、その根源がこのイン川からの悪臭である事を悟りました(関連:ミラベル宮殿の紅葉が美しい!秋のザルツブルグを散策)
道のりにして300キロも離れた上流域でこの水質ですから、ウィーンのドナウ川が綺麗なはずありませんね。何とも残念な話です。話によると、ウィーンの先ブダペスト(ハンガリー)に行き着くころには、更に水質が悪化しているそうです。日本も他国の事を言えた物ではないですが、美しい街並みを守る為にも、水質改善には力を入れて頂きたいものですね。
次回は、同じハイリゲンシュタットの「ベートーヴェンの散歩道」をお伝えします。
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