JALのマイルを貯めて、ファーストクラスやビジネスクラスでアメリカやヨーロッパへの渡航を検討されている方もいらっしゃるかと思います。しかし特典航空券に必要なマイル数は、ファーストクラスとビジネスクラスとで数万マイルの差があり、どちらを選ぶべきか迷う場合も出てくるでしょう。
2013年に登場したビジネスクラスシートSKY-SUITE(Ⅰ)は、全席通路アクセスに加え隣席との干渉を“ゼロ”にした画期的なシートで、登場から数年経った今でも多くの支持を得ていますよね。
ただ、その反面ファーストクラスシートJAL-SUITEとの差が縮まる事にも繋がり、結果としてビジネスクラスよりも多くマイルを消費してファーストクラスを選択する意義が薄れてしまっているのが現状だと思います。
目次
JAL-SUITEは座りにくい?
ファーストクラスのJAL-SUITEですが、私が羽田→ロンドンで利用した際に、この席で4時間ほどPCで作業をしていたのですが、肩がこってしまいました。
原因はその座席幅。肘掛の間が60cmくらいある為、日本人の平均身長である私でも広すぎて肩幅に合いませんでした。加えて角ばった構造のシートは体にフィットしない為、若干ではありますが腰痛も出てきてしまいました。5年ほど前に「成田⇔伊丹」で旧ファーストクラスシート「スカイスリーパーソロ」を体験した時には、尻を包み込む様な極上の座り心地に感動した覚えがあります。しかしJAL-SUITEは必ずしも椅子としての用途に特化したものではないのかもしれません。
一方、ビジネスクラスのSKY-SUITEで長時間PC作業をした際は、その様な体の苦痛を感じる事は一切ありませんでした。程よい座席幅のシートは、自然に腕を下ろした所に肘掛があって、座り心地は良いと感じました。
寝心地の差はシート幅のみ
シートをベッドにした時の寝心地に関しては、ファーストクラスのJAL-SUITEに軍配が上がると思います。
やはりシート幅が広いというのは大きな強みで、仰向けに寝た時に両腕が自由になるくらい余裕があります。自然な寝返りも可能ですし、小柄な人であれば“大の字”に寝る事も可能でしょう。
一方SKY-SUITEでは、自然に仰向けで寝る事は可能であっても、両腕を体の横に置く事は多少困難です。また寝返りを打つ際も、「よっこいしょ」と体を一度浮かせてからでないと体勢を変える事は難しいです。
しかし“個室感”というものを求めるのであれば、SKY-SUITEの窓側がピカイチでしょう。隣席とのパーティションを上げてしまえば、通路を歩くCAさんと目が合う事すら無くなります。横を向いてまるまって寝る人であれば、JAL-SUITEの広大なベッド幅よりも個室感の高いSKY-SUITEを選ぶ方が良いかもしれません。
機内食はファーストクラスの方が美味いとは限らない
ロンドン行きのファーストクラスでは、キャビアや和牛といった高級食材を使った機内食が振舞われましたが、“特段”美味しいという感想を持つ事はありませんでした。
寧ろビジネスクラスでも注文出来る狐野扶実子氏監修の料理「フミコの洋食・和食」が一番美味しかったです。
ビジネスクラスの機内食に関しても、その監修シェフや食材によっては大きな満足感を得る事もありましたので、やはりファーストクラスだからと言って必ずしも極上の料理に出会えるという訳ではないと思います。
ただしワインやシャンパン、焼酎などのアルコールの質には大差があり、普段は決して飲めない様な高級で美味い酒を存分に楽しめる点は、ファーストクラスの醍醐味でしょう。6万円のSALONに2.6万円の極上森伊蔵。これらを飲むだけでコスパは格段に上がります。※シャンパンの銘柄は随時変更されます。
トイレの数には大きな差
快適なフライトには、常に不自由しないトイレ事情というのも大切な要素の一つだと考えます。
ファーストクラスJAL-SUITE全8席に宛がわれたトイレの数は2つ。羽田→ロンドンのフライトでは、昼行便とはいえトイレが満室になる事はありませんでした。それと比べてビジネスクラスでは、そのトイレの数に対して利用対象人数が大幅に増加します。
関連記事:JAL787-8型機のトイレは少ない?深夜便への懸念
同じロンドン行きのビジネスクラスでは4つのトイレに対して49人。それでもエコノミークラスに比べれば格段に恵まれているのですが、最悪なのが787-8機材のビジネスクラスSKY-SUITE。
私は成田への復路便でこの787-8のSKY-SUITEを利用しましたが、2つしかないトイレに対して38席ものビジネスクラスを有している為、特にトイレ利用のピーク時間帯となる着陸2時間前から後は、常に誰かがトイレの空きを待っている状態でした。
私はこれを見越して水分量を調整したので問題ありませんでしたが、エコノミークラスと違って行動に制限の無いビジネスクラスでは、自然と飲食の量も増える事から、トイレ利用についても高い需要が見込まれますので、この点は早急な改善を望んでいます。
次世代のファーストクラスは「搭乗」から「宿泊」へ
パーティションやスタッカート仕様による個室“感覚”というものがビジネスクラスのスタンダードになりつつある昨今、その上を行くファーストクラスは完全な個室にしない限り、利用者の心を掴むことは難しいと思います。エティハド航空やエミレーツ航空のファーストクラスに見る、開閉式の扉がついた“部屋”というものが、これからのファーストクラスのスタンダードになってゆくのではないでしょうか。
“搭乗”から“宿泊”へ!ホテルの様な空間とサービスは、プライベートジェットの様な小型機では実現の難しい超富裕層に対しても有効でしょうし、JALの次のファーストクラスシートにも期待したいと思います。
JALファーストクラスの優位性
以上を鑑みて、私の感じたJALファーストクラスの優位性は
- 寝心地の良さ
- 高級シャンパン等のアルコール類
- 常に空きのあるトイレ
この3点です。
ビジネスクラスとの必要マイル数の差は、ヨーロッパ往復で5万マイル。4万数千マイルあればシドニー往復のプレミアムエコノミーに乗れてしまう事を考えると、ビジネスとの差だけで5万というのは余りにも勿体無いですよね。
という訳で、特別飲みたいお酒があるという訳でない限りはSKY-SUITEのビジネスクラスで十分、というのが私の結論です。
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