「京都迎賓館」見学ツアーが営業再開!高級仕様の日本建築が美しい!

「京都迎賓館」と言えば、京都御所の中にある海外からの要人を持て成す為の施設ですが、一般にも公開されていて誰でも有料で見学する事が出来ます。

日本の伝統建築や高級素材をおり混ぜた美しく特別な空間は外国人観光客にも高い人気を誇るそうですが、新型コロナの影響で一時的に閉鎖。しかしこれが5月の末に営業再開、その再開直後に見学ツアーに訪れましたが、他の客が殆どおらずにほぼ独占!美しい日本建築を存分に堪能する事が出来ました!

京都御苑の中にある「迎賓館」

京都迎賓館の場所はこちら。京都市上京区にある京都御苑の中にあります。鉄道でアクセスする場合は市営地下鉄の今出川駅が最寄ですが、今回は京阪線の終点 出町柳駅から向かって徒歩20分弱ほどで着きました。

京都御所の門

京都御苑と言えば、格式高い京都御所を抱える所で国が管轄する国民公園の一つですが、公園内は開放されていて自由に出入りする事が出来ます。東西南北に計9つの門の他、5箇所ある勝手口からも入場可能。

京都御所

中は特に関所も無く自由に歩き回る事が出来ますが、時折巡回する警察車両を見かける事もあるので、あまり粗相は出来ないかも(笑)。でも逆に言えば治安は良いですし、公衆トイレも各所に設置されているので安心です。

見学はガイドツアーのみ。検温・消毒・マスク着用必須

京都迎賓館/検温と消毒

迎賓館の入口は、同敷地の南西側にある「西門」。現在はコロナ対策として入口横のテントで検温とアルコール消毒、また館内はマスクの着用が求められます。

京都迎賓館/ツアー時間

また、以前は自由見学も出来たそうですが、現在はガイドツアーのみ。内覧には事前に公式HPからの予約が必要ですが、空きがあれば当日でも申込可能です。

ただ、ツアー人数が各回とも20名に制限されているので、夏の繁忙期などは早めに予約しておいた方が良いかもしれません。

京都迎賓館/地下入口

検温等を済ませて中へ入ると、先ず初めに地下へ案内されて、そこでチケット購入(¥2,000)やガイドツアーの手続き等が行われます。物販所もありますが、地下のエリアは撮影禁止なので写真はありません。

格式のある正面エントランスから中へ

京都迎賓館/靴箱

さてさて、それではいよいよツアーの開始!コンダクターに案内されて、正面エントランスから入場します。エントランス両脇にある鍵付のロッカーに靴を預け、スリッパに履き換えてから建物の中へ。

京都迎賓館/エントランス

この京都迎賓館、日本の伝統的な建築を踏襲した数奇屋造りの外観ですが、構造自体は鉄筋コンクリートなんだそう。樹齢700年の欅の一枚板から造られたという正面玄関の扉は、引き戸になっています。

京都迎賓館/ツアコン

今回は11:50の回に参加しましたが、ツアー客はなんと私を含めて2人のみ!殆ど独占で観覧する事が出来ました!内覧再開された直後とあってまだ来訪客は少なく、この日は常時5名前後との事。

高級素材を贅沢に使った内装

京都迎賓館/廊下

建物内部は、RC構造とは思えないほど木のぬくもりを感じる内装。檜の真新しい香りが心地良いです!館内には大小幾つかの広間や広い池のある中庭があって、2名の係員と共におよそ50分掛けて巡っていきます。

京都迎賓館/床

見学導線には傷防止の為の絨毯が敷かれているのですが、この廊下の床は特殊加工が施された檜で出来ていて、ハイヒールで歩いても傷が付き難いのだそう。実際に海外の要人を持て成す時は、この絨毯は外されそうです。

京都迎賓館/行灯

京都迎賓館/壁

また、国指定重要無形文化財に指定された“本美濃紙”で作られた行灯や、少し触れるだけでも傷が付いてしまうという繊細な造りの壁など、館内は希少な高級素材に覆われています。

普段見慣れた和の空間も、これだけ高級だと有り難味が違ってきますね~。

複数の広間と池を渡す廊橋

京都迎賓館/見学順路

館内には、エントランスを含めて計6つの見学場所があるのですが、見学順はツアーのグループによってまちまち。今回は、一番奥にある「桐の間」から見学する事になりました。

「桐の間」

京都迎賓館/桐の間

桐の間は、主に京料理などの和食で要人を持て成す為の部屋。縁側からは美しい中庭が一望出来、まさに完璧な構図の和室です!

京都迎賓館/畳

京都迎賓館/漆のテーブル

この部屋の畳は“中継ぎ表”と言って、井草の良い部分だけを使った伝統技法で作られているとの事。また、部屋の中央には貴重な一枚板から造られた20mもの巨大な漆塗りのテーブルが設置されています。

京都迎賓館/次の間

桐の間の横には“次の間”という小部屋が隣接していて、ここは食事中に楽器の演奏や踊りによって要人を持て成す為のステージになるのだそう。天井にはスポットライトも設置されています。

最も広い宴会場「藤の間」

京都迎賓館/藤の間

一方こちらは洋食での晩餐に使用する「藤の間」。京都芸賓館で最も大きな部屋で、収容人数は最大120名、ここにも舞や雅楽を披露する為のステージが設けられています。

京都迎賓館/折り紙天井

京都迎賓館/釘隠し

ここもシンプルなインテリアの部屋ですが、天井の照明には先ほどの行灯と同じ本美濃紙が使われていたり、また金の釘隠しを使用するなど細かい所まで高級仕様で埋め尽くされています。

京都迎賓館/麗花

壁には、大阪出身の日本画家である鹿見喜陌氏の「麗花」という名の壁面装飾。絵画ではなく丹念に織り込まれた織物で、日本で見られる39種類の草花が描かれているのだそう。

京都迎賓館/藤の間の縁側

この藤の間と縁側との境にあるこの柱の一切無い大きな間口も大変珍しいものだそうで、これは天井を支える為に中に鉄骨を入れて上から吊るす形にする事で、この様に広い間口を実現しているのだとか。

窓側に沿って斜めになった天井も含めて、中庭をいかに美しく見せる為の技法だそうです。

「廊橋」

京都迎賓館/廊橋

京都迎賓館/バッタ

京都迎賓館/鈴虫

幾つかの広間の他、ツアーの間に何度か行き来するのがこちらの「廊橋」という名の橋。船を逆さにした様な「船底天井」が特徴で、橋の両端には計4つの昆虫を模した彫刻(バッタ・蝶・鈴虫・トンボ)が彫られています。

京都迎賓館/池

この廊橋から眺める池の景観も美しく、静かにしていると錦鯉が作る波紋の音や風の音、鳥の鳴き声も聞こえてきます。この池、橋の両側で深さが異なっていて、浅い方には水田を模してネビキグサが植えられています。

京都迎賓館/舟遊び

また、橋の傍らには「和舟」という木造の舟が用意されていて、これはこの池で“舟遊び”をする為のもの。以前ブータン国王がこの迎賓館を訪れた際は、同夫妻がこれに乗って遊覧を楽しまれたそうです。

ぜひ空いている今の内に訪れたい!

京都迎賓館/営業

と言う訳で、一般公開が再開された京都迎賓館。入場料金はちょっと高いですが、日本建築の“高級”を知るには良い所だと思います。

ピーク時には外国人観光客も大勢押し寄せていたそうですが、今なら人の映り込まない写真も撮り放題!機会のある方は是非訪れてみて下さい!