昨日に引き続き、スペイン・マドリード「ラス・ベンタス闘牛場」の観賞レポート!今回は、闘牛の流れや見所などを中心にお伝えします。
スペインの国技として伝統のある闘牛。闘牛士達がヒラリとマントを交わす姿はなかなかのものですが、大量に流れる牛たちの血を見る事になる点も覚悟しなければなりません。
尚、チケットの購入等については、昨日の記事をご覧下さい→「ラスベンタス闘牛場」はこんな所!チケット購入、席の選び方など
♪こちらも合わせてどうぞ→「マドリード」記事一覧と旅行ガイド
目次
闘牛のキーワード
それではレポートをする前に、先ずは闘牛に関する主なキーワードの名称から!複数のガイドブック等からまとめています。
- マタドール:主役の闘牛士。最後に牛を仕留める役目
- ピカドール:馬に乗って槍を持った闘牛士
- バンデリリェーロ:カポーテを持った助手の闘牛士
- カポーテ:ピンク色のマント
- ムレータ:マタドールが持つ赤色のマント
- ラバ隊:仕留められた牛を運んでいく牛
闘牛はチームで行われ、1チームの編成はマタドール1名、ピカドール2名、バンデリリェーロ3名の計6名。1日の公演には3チームが出演し順番に演技、それぞれのチームが計2回牛と闘う事になります。
牛は1回の闘いに1頭ずつ。つまり、人間6:牛1の戦いを合計6回戦観賞するという事になります。
闘牛の一連の流れ
それでは闘牛のスタート!この日は19時の開演です。先ずは選手入場、音楽隊のラッパの音に合わせて入場してきます。
先頭には「アルグアシル」という先導の騎馬が2体、その後ろからマタドール→バンデリリェーロ→ピカドールの順に3チームが並んで行進。ガイドブックで見たまんまの光景です。
行進が終わると、いよいよ最初の闘牛がスタート!番号の書かれたプレートを持った人がグランドの中央に現われますが、なんだかスーパーの値札みたい(笑)!
仕留められた牛は一応“食用”として扱われるそうですが、まさにそれを彷彿する様な光景です。
1、助手によるカポーテを使った演技
間もなくして、最初の牛が登場!これから殺される事を知ってか知らずか、ルンルンとのんきな感じで入って来ました。
先ず初めは助手(バンデリリェーロ)の演技から。カポーテと呼ばれるピンク色のマントをふって牛を威嚇。この演技は、牛の性質を詳しく見抜く為でもあるのだとか。
助手とは言え、結構な腕捌き!目を凝らして見ると、かなり若い人がやっていました。
時たま、牛に追いやられて「ブルラデーロ」という柵に逃げ込む場面も。この時はまだ牛がダメージを受けておらずパワー全開で襲ってくるので、結構きわどい場面もありました。
2、ピカドールの演技と、銛を使った演技
助手による煽りが終わると、続いて登場するのがピカドール。ガチガチの鎧に身を包んだ馬に跨って登場します。この槍を持った闘牛士が「クルス」と呼ばれる牛の肩甲骨にある突起部分を突いて、牛を弱らせます。
この槍には特殊な加工がしてあって、この一撃で牛を殺してしまわない様に工夫されているのだとか。
牛がこのピカドールに向かって突進!ドスッという鈍い音と共に、ピカドールの槍がグサリ。この闘牛全体の中では、ある意味ここが一番迫力がある所かもしれません。
ピカドールの他にも、助手が数回に渡って牛に銛(もり)をブッさします。この一連の行為によって牛はかなりのダメージを受け、中にはヨロヨロになる牛も。
生かさず殺さず…、ほんと人間って残酷ですよねぇ。
3、マタドールの演技、そして仕留め!
最後はいよいよ主役の登場!マタドールが現われて、一人で牛と闘います。赤いマント(ムレータ)を操って牛を威嚇、これを連続でキメると、観客から歓声があがります。
この時、マタドールが危険に晒された時は、3人の助手が出てきて手助けする事も。
そして遂に最期の時!短剣を持ったマタドールが牛に目掛けて…
グサリ!…
The End!この行為は「真実の瞬間」を呼ばれているらしい。
後述しますが、この一発で仕留められる事は稀で、中には4回目でやっと息絶えた強い牛もいましたが、スマートに1発で仕留められるのが良いとされているそうです。
4、馬が死体を引いて行く
牛が仕留められると、観客がスタンディングオベーションで健闘を称えます。牛の仕留め方によって歓声の大きさが異なるのもポイントの一つ。
息絶えた牛は、ラバ隊によって引きずられて退場。このまま解体所まで運ばれて、食用の肉になるのだとか。もうこの時点で、早くも食材の香りが…!
牛が去った後は、係員が血の処理をします。まぁ何とも生々しい瞬間ですよね。
観賞のポイントは?
この一連の流れを見て見所だと感じたのは、先ずはマタドールの所作。この腰を曲げて顎を引く独特のポーズは、本当に独特!何だかとってもエラソーですよね!
このポーズを保ったまま牛を威嚇し、ムレータを操る姿は、カッコイイ…と言うより滑稽にも思えてきます。
また、牛は回を重ねるごとに強く(意気が良く)なっていく様で、闘いも次第に激しくなってきます。闘牛士の体力を考えると、後半は本当にしんどいんじゃないかと。
加えて、今回は6回戦に留まらず8回(多分…)もありましたが、7回戦の時に新展開!闘牛士たちが闘いの途中で突然退場し、その後沢山の牛が出てきて闘牛を退場させる場面がありました。恐らくテクニカル的な理由があって競技を続けられない事態になったのだと類推しますが、牛にとっては命拾い?この時、観客が一斉に緑のタオルを回して歓声を上げていました。
全ての闘牛が終わったのは21時半過ぎ…、流石にここまで長いと疲れてきますよね。
牛の死に方がエグイ…
それにしても、今回この闘牛を観戦して一番印象に残ったのは、牛の死に方。先述した通り、マタドールの一撃によって一発で死んでくれれば問題ありませんが、一発で即死したのは今回観戦した中で1度だけ。
他の牛達は、徐々に弱っていく課程で何度も刺されたり、また苦しくて暴れたり、中には刺された瞬間に血を大量に吐いて倒れる牛もいました。
日ごろ血を見るのは慣れていないので(当たり前ですが…)、あまりこういう光景を見るのは気持ち良いものでは無いですよね。伝統ある国技とは言え、やっぱり色々と考えさせられてしまうものです。
それこそ、子供達の「牛さん可愛そう~」という声が聞こえてきそうな…。同じスペインでも、バルセロナでは2011年を最期に闘牛が禁止されたそうで、ここマドリードでもこの先永遠と続くかは疑問です。
と言う訳で「ラス・ベンタス闘牛場」での観賞についてレポートしましたが、“迫力”という観点で見ればイマイチ。もっと高いチケットを買って間近で見れば違った感想になるのかもしれませんが、同じ行程を6回も7回も見せられると、流石にダレてきます…。まぁスペインの伝統に触れられたというのは良い事!これから訪れる予定のある方は、以上を鑑みた上で観賞に臨んで頂ければと思います。この闘牛場のチケット購入、座席の選び方についてはコチラ→「ラスベンタス闘牛場」はこんな所!チケット購入、席の選び方など
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