先日、オーケストラ業界の人の飲み会に久しぶりに参加したのですが、飛び交う業界用語や略語になかなか付いてゆけずにタジタジでした…。今回は、音楽業界ならではの略語について、オーケストラ名およびお金の数え方について、お伝えします。
オーケストラ名の略語がややこしい
東京には著名なオーケストラが数多く存在していますが、音楽業界の人達はこれらオーケストラの名前を呼ぶ時、多くの場合次のような略語を使います。
- NHK交響楽団 → エヌキョウ
- 読売日本交響楽団 → ヨミキョウ
- 東京都交響楽団 → トキョウ
- 東京交響楽団 → トウキョウ
- 東京フィルハーモニー交響楽団 → トウフィル
- 日本フィルハーモニー交響楽団 → ニチフィル or ニッフィル
- 新日本フィルハーモニー交響楽団 → シンニチ
- 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 → シティフィル
- 東京ニューシティ管弦楽団 → ニューシティ
会話の中で「トウキョウの○○さんがね~」なんて言われても、まず“トウキョウ”というのがどこの何の組織なのか、初めの内はピンと来ません。流石に何年もいると慣れましたが、それでもお酒の席で酔っていると思考回路が繋がるまでに数秒かかります。
因みに、東京交響楽団の「トウキョウ」は、英語のTOKYOと同じように右肩下がりのイントネーションで発音します。
お金の数え方もややこしい
飲み会の清算をする時に、千円や二千円を「ツェーセン」とか「デーセン」の様に数える言い方を耳にする事もあるかと思いますが、これは音階(ド・レ・ミ)のドイツ語読み(C・D・E)から来ている事もあって、音楽業界の飲み会では必ずと言って良い程使われます。
- 千円…ツェーセン
- 二千円…デーセン
- 三千円…エーセン
- 四千円…エフセン
- 五千円…ゲーセン
- 六千円…アーセン
- 七千円…ハーセン
でもこれだと1から7までしか数えられませんよね。聞くところによると、8は「オクターブ」と言う場合もある様ですが、私はこれまで聞いた事がありません。というのも、一般的に飲み会の割り勘などでは、5~6,000円を超える事は稀ですので、呼び方も7までで事足りているのではないでしょうか。
また一人3,800円や3,900円になってしまった場合でも、集めるお札の数が増えてしまうのを嫌って4,000円に切り上げたり、逆に3,500円に切り下げたりするので、結果的に8や9を使用せずに済んでいるのだと思います。
しかしながらこの呼び方、特に1から5まで全て「e」の母音で始まるため、すごく聞き取り難いのです。特に2,000円と3,000円と5,000円が分かり難く、千円札3枚を持っていったら足らずに怒られた事が何度かありました…。
しかもみんな泥酔しきった飲み会の最後に、こんな微妙なニュアンスを聞き取らなくてはならない仕来りが、一般の業界にまで広まっているというのが不思議です。耳の良い音楽家だからこそこの呼び方が発祥し、広まったのではないでしょうか?オブラートに包む役割の業界用語
楽しく和気藹々とした飲み会の席で汚いお金の話をするのは、誰もが避けたいと思いますよね。それをオブラートに包んでユーモアたっぷりに表現する事で、最後まで場の雰囲気を壊さない様にする方法としては、とても効果的なのだと思います。
オーケストラの略名もそうですが、これらの用語を自在に操れてこそ業界人なんだなぁと、つくづく実感させられた飲み会となりました。
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