片道€9~という大変お得な運賃で利用できるオーストリア連邦鉄道(ÖBB)の特急列車「レイルジェット」。今回ご紹介するグラーツ~ウィーンは、最上級クラスシート「ビジネスクラス」でも€34と大変お得な運賃で利用する事が出来たのですが、最安値となる2等車(€9)との価格差は3倍以上!そのコスパはどれ程か、検証してみたいと思います。
目次
1stよりも上のビジネスクラス
ÖBBのレイルジェットは、2等→1等→ビジネスの3クラスに分かれており、それぞれシート配列は以下の通り。
- 2nd class…2+2
- 1st class…2+1
- Business class…1+1
一般的に飛行機のビジネスクラスはファーストクラスよりも格下ですが、レイルジェットのビジネスクラスは最上級クラスとなります。ユーロスターの「Business premium」もそうですが、欧州の鉄道では“Business”の文字が付くと、最上級である場合が多いですよね。
シートマップを見てみると、車両の先端に設けられた6つの座席がビジネスクラス。この車両は1車両しか無いので、ビジネスクラスは1編成につき6席のみとなります。
進行方向へ向いた席は3つ、その内2つは対面式のお見合いシートとなってしまうので、予約の際は要注意!
グラーツ中央駅から乗車
さて、今回はグラーツ中央駅から13:26発のRJウィーン国際空港行き(ウィーン中央駅経由)に乗車します。グラーツ中央駅は1~9番線まであるのですが、一番手前の1番線からの発車だったので、橋を渡らずに済んで便利!尚、ビジネスクラス利用者は、ÖBBラウンジの利用が可能です→ÖBBラウンジ潜入レポート!グラーツ中央駅の様子
ただ、ビジネスクラスの車両がホームの一番奥だったので、メチャクチャ歩かされました!昨日ご紹介したÖBBラウンジからの導線が長く、これでは折角の上級クラスである意義が薄れてしまいますよね。
この導線の長さは、降車駅のウィーン中央駅でも顕著でしたが、それについてはまた後ほど。
ビジネスクラスのお見合いシート
こちらが今回乗車するビジネスクラス。スペースを贅沢に使った1+1のシート配列は、座席と人で埋めつくされた2ndクラスとは別世界!
すぐ側には1stクラスがあるのですが、クラスを隔てるパーティション等は無く、一続きの空間になっています。この方が閉塞感が無くて良いという意見も聞こえてきそうですが、特別感が薄れてしまう感じも否めませんね。
今回は、チケット発売開始となる4ヶ月前ちょうどに座席を購入。席は選びたい放題だったので、ビジネスクラスで唯一の独立席をGet!…したはずだったのですが、どういう訳か意図した席とは違うシートが選択されてしまい、しかもこれが進行方向とは逆向きのお見合い席という、まさに最悪の席!
Thank you for your inquiry.
I´m sorry that you didn´t got the seats that you wanted.
According to our system you did indeed specify the seats for the direction “Wien – Graz”
Unfortunately thats not true for the backward direction from “Graz – Wien” there wasn´t any specified seat selection.
Have a nice day.
With kind regards.
HP予約システムのエラーなのかと思ってÖBBにメールで問い合わせをしたのですが、「私共のシステムでは、あなたからの指示通りの指定となっております」とつれない回答…。泣き寝入りするしかありません。
このお見合い席、想像以上に前の人との距離が近いです。シートが若干左右にずれているとは言え、少しでも足を伸ばすと相手の足に触れてしまいそうになります。また常に視線を感じてストレスですし、これが本当に最上級クラスの座席なのかと…。これならば、隣が空席の2ndクラスシートの方が断然快適です。
シートを細かく見る
そんなババを引いてしまったビジネスクラスですが、シート自体はキングサイズ。1stクラスよりも更に大きなシートですが、派手さは無く1stクラスシートをそのまま少し大きくしたという感じの印象です。
ヘッドレストは可動式。大柄な人にしか対応しない2ndクラスシートとは違い、小柄な日本人でも使いやすいでしょう。
足回りは乏しく、フットレストが無くてレッグレストのみ。ただ、大型のレッグレストなので、これだけでも少しは寛げます。
フル・リクライニングするとこんな感じ。座面後方がやや沈み込む仕様になっているので、座り心地はまぁまともな方かと。角度自体はそれほど深くはありません。
ウェルカムドリンクと菓子
さて、グラーツ中央駅から列車に乗り込むと、間もなくして専属の車掌がやってきてウェルカムドリンクの希望を聞いてきました。メニュー表を見せられるのではなく口頭で言われるだけなのでハッキリ聞き取れませんでしたが、赤白ワインとビールがあった事は確か。
スパークリングは無いかと尋ねたところ、シャンパンがあると言うので頂く事に。持って来られたのは「Schlumberger Brut(シュルンベルガー・ブリュット」という銘柄。
調べてみると、これはオーストリア産スパークリングワインで、フルボトルの市場価格3千円台程度。“シャンパン”と言っておきながら出された廉価版スパークリングの味は大した事ありませんが、まずまずの及第点かなと。
ただ、ワインと一緒に提供された茶菓子がなかなかイケる味!これは「カントゥチーニ」というアーモンド風味のビスケットで、イタリア・トスカーナ地方発祥のお菓子なんだとか。これと同じ物が、グラーツ中央駅のÖBBラウンジにもありましたよね(参考→ÖBBラウンジ潜入レポート!グラーツ中央駅の様子)
お土産に買って帰れないかと思って、この後ウィーン中央駅のスーパーで探した所、メーカーは異なりますが同じカントゥチーニを発見!これについてはまたの機会にお伝えします。
尚、ワインをテーブルに置いてゆっくり飲んでいたのですが、列車がカーブで傾くとグラスがマジで落ちそうになります。テーブルには落下防止のゴムが付いているのですが、肝心の左右には付いておらず、カーブの傾き時には殆ど機能しません…。置きっ放しで眠るとヤバイです。
軽食サービスは無し
ビジネスクラスシートの窓際には、この様に軽食のメニュー表が置いてあるのですが、これは隣の車両のレストラン(食堂車)にある物と全く同じ。ユーロスターの1等車などでは軽食のサービスもありましたが、このレイルジェットのビジネスクラスでは軽食サービスは提供されていない模様。
つまり食事がしたい場合は、このメニュー表から選んで別途料金を支払って注文する事になるのですが、いつまで経っても誰もオーダーを取りに来る事は無く、漸く尋ねて来たのはウィーン到着の20分前、「May I help you ?」ってもうおせーよ!お腹が減ったら、自ら隣の車両のレストランへ行った方が良さそうです(参考:ÖBBレイルジェットの食堂車(Restaurant)で飲めるコーヒーの味!)
出口に遠い所に降ろされる…
列車は定刻にウィーン中央駅へ到着。それは良いのですが、降ろされた所はなんと屋根の無いホームの一番端!ここから出口や乗換えのエスカレーターがある所まで100m以上歩く羽目になってしまいました。
グラーツ中央駅での乗車時の導線も長かったですし、何だか上級クラスへの扱いってこんなもんなのかと、ちょっと幻滅…。列車の方向によっても変わるものなのかもしれませんが、もうちょっと考えてもらわないと折角の“ビジネス”の名が泣きますよ~。
ビジネスクラスのまとめ
今回乗車したレイルジェットのビジネスクラス、そのサービスをまとめると次の通りになります。
- シートは1+1の限定6席
- ウェルカムドリンク
- 軽食サービスは無し(有料のオーダー制)
- 主要駅でのラウンジサービス
- 駅での導線が長い
正直言って、コスパは良く無いです。2ndクラスの3倍以上の運賃を支払う意義は、今回の乗車では見出せませんでした。諸外国の上級クラスシートと比べても格段にお得な運賃だからこそ、この程度のサービスなのかもしれませんね。
そう考えると、2ndクラスにプラス€10~€20程度で乗れる1stクラスが最もコスパの良いシートなのかもしれません。2ndクラスであっても、ガラ空きの往路では非常に快適でしたし、満席時は別としてビジネスクラスは“ただの贅沢”に過ぎない、そんな感想を持ちました。尚、編成によっては個室感覚の快適シートもあります。詳しくはこちらをご覧下さい→まるで個室!レイルジェットRJビジネスクラスのシートが快適!
以上、レイルジェットの座席選びの参考になれば幸いです。RJに関しては、以下の記事も合わせてご覧下さい。
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