カプースチンのピアノ楽譜が絶版続出?「24のプレリュード」を初版と比較して、新たなる校正版に期待

Jazzテイストのピアノ作品に定評のあるNikolai Kapustinの作品には、≪8つの演奏会用エチュード≫や≪24のプレリュード≫などがあって、いずれも世界的に人気を博していますね。

私もそのファンの一人なのですが、最近どういう訳か、彼の作品のピアノ楽譜が手に入り難くなっている様です。

カプースチン ピアノ楽譜 (1)

近年、日本語の解説つきで出版された「PRHYHEM」版には、≪24のプレリュード≫の他に、≪Andante≫等が収録されている「ピアノ作品集」もあり、更に税込3,000円程度で買える事もあって、多くの愛好家が手にするスタンダードになっている事と思います。しかし、これが昨年辺りから徐々に姿を消し始め、最近では楽天やAmazonでも10,000円を超えるプレミアが付いてしまっています。

カプースチン 24のプレリュード 作品53
ニコライ カプースチン
プリズム
2009-02-25

考えてみれば、このPRHYHEM版が出る以前は、カプースチンの楽譜と言えば一部の輸入版しか無く、手に入り難い上に、価格もなかなか手ごろに買えるものではありませんでした。私の学生の頃はそれが特に顕著で、更にカプースチンが日本でブームになって間もない事もあって、CDは発売されているのに楽譜が手に入らない、という状況が何年も続いていました。

カプースチン ピアノ楽譜 (2)

やっと日本で発売されたトライエム版の「8つの演奏会エチュード」が出された時はとにかく嬉しくて、夢中でさらった記憶があります。価格は5,500円と学生の身にとっては大きな出費でしたが、とにかく弾きたい一心で購入したものです。

※追記:2017年2月に新たな校正版が出ました!詳細は下記へ↓

新たなる校正版が出るのか?

≪8つの演奏会用エチュード≫や≪24のプレリュード≫など、カプースチンの有名な作品は、いずれも1980年代の作曲であるものが多く、日本でPRHYHEM版が発売された頃には、既に“改訂版”となっていて、初版とは楽譜の仕様が少し異なっていました。

カプースチン「24のプレリュード」23番

例えば≪24のプレリュード≫の内、大人気の23番の2小節目を見てみると、左手の部分が初版では一声部だったのに対し、改訂版は完全に2声に分かれています。しかも2拍目のバス音(F)が四分音符となって、その裏拍まで音が延ばされる形になっています。

カプースチンの自作自演CDの音源を聴いてみると、ここは明らかに音が伸びておらず、初版に忠実な演奏となっていますから、私個人的には初版の仕様を支持したい考えです。

カプースチン「24のプレリュード」23番 2

また、同曲の26小節目にもバスの改良が加えられており、改訂版のオシアにも記載がある通り、初版ではバスのOctがアルペッジョを弾く形になっています。ここに関しても、個人的には初版の通りアルペッジョで弾いた方が躍動感があって良いと思います。Octでベタっと弾いてしまうと、音楽の流れが滞ってしまうのではないかと思うのですが、これも作曲者の監修のもと改定されたものですから、何とも意見し難いところではありますが…。

いずれにしても、作曲者が自身の作品を改定して出版する事は珍しくないですよね。私自身も自らの曲を1年2年後に手を加えたくなる事はよくあるので気持ちが分かるのですが、彼の様な一流作曲家でも月日が経つと考えが変わってくるものなんですね。

相次ぐPRHYHEM版の絶版について、内部事情は知る由もありませんが、もしかしたら近い内に新たなる校正版が出されるのかもしれません。初版から大きく変わっていない事を願うばかりですが、改定による作曲者の軌跡を辿るのも、作品を理解する上での重要なプロセスになるものだと思っています。

ショット・ミュージック版の発売

2017年に入り、SCHOTT版の楽譜が日本でも買える様になりました。価格はちょっとお高めですが、以前あった全音出版社からの廉価版などは既に手に入りませんので、現時点ではこれを手に入れるしかない様です。

カプースチン/24のプレリュードの中では、No.19、No.23が特におススメ!演奏時間が短いので「ちょっと何か弾いて~」需要にピッタリです。私は最近めっきり弾かなくなったので、またさらいなおさないと…。