世界遺産「軍艦島」はこんな所!3つのクルーズ運航会社と観光ルート

近年、日本の「世界遺産」が急激にその数を増やしていますが、長崎県にある端島(軍艦島)も遂に今年世界文化遺産に登録されました。この様な他に類を見ない近代建築の廃墟は“一見の価値アリ”と、世界遺産決定を機に訪問者が急増しています。

軍艦島クルーズ運行会社

実はこの軍艦島、観光地としての歴史はまだ浅く、一般公開が始まったのは2009年だそうです。私は、いずれ世界遺産に指定されて予約が取り難くなる事を見越して、3年ほど前に訪れておいて正解でした。軍艦島へ行くためには、下記の様な“上陸ツアー”に参加する必要があり、各社とも4000円前後のツアー料金となっています。

各社とも、最近の盛況を見越してからか、ツアー運賃は年々値上げされています。

軍艦島(長崎県) (1)

私が利用したのは「やまさ海運」で、訪れたのは5月。波穏やかな晴天に恵まれて、快適なクルーズとなりました。

軍艦島(長崎県) (4)

船は出発して暫くの間は、工業地帯を通っていきます。クルーズ船以外にも、様々な貨物船舶が見られて面白かったです。尚、クルーズ船の座席は自由席ですが、進行方向の右側に座るのがおススメです。軍艦島に近づく際、また軍艦島を離れる際には船の右側を軸にして島の周りを一周する為、往路も復路も右側に座った方が島を良く観察できるでしょう。

軍艦島(長崎県) (7)

さぁ、いよいよ上陸です!

廃墟の中の遊歩道を歩く

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絵で見た様な廃墟が間近まで迫ってきます。島内は当然ながら静かで、鳥も殆ど見かけなかった気がします。

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上陸後、自由行動は出来ず、合計3箇所のポイントで係員から解説を受けながら、団体行動で進んでいきます。

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島内の観光順路には、この様に遊歩道が整備されており、これ以外に立ち入る事はできません。

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上陸してすぐの所は、ただ廃材が並べてあるだけの光景が殆どでしたが、先に進むにつれて“廃墟”がより間近になっていきます。

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近代建築の自然による“風化”が鮮明に分かります。趣がありますね。

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上陸の後は、島の周りを1週クルーズして長崎港へ戻ります。先ほども書きましたが、船の右側を軸にして周る為、右側の座席に座る事をおススメします。

上陸できる確率は8割程度

クルーズに乗る事が出来たからと言って、必ずしも島に上陸出来るとは限りません。当日の波の高さや天候によって、島に上陸出来ずに周遊クルーズのみとなる場合があり、また荒天の場合はクルーズ自体運休となってしまうそうです。

上陸できる確率は、年間を通して7~8割程度と言われていますから、運悪き時は諦める他ありません。特に例年7月は台風の影響を受けた高波によって、上陸出来ない場合が多い様です。

観光エリアは今後増えるか

現在、一般に公開されているのは、島の南部のごく一部に限られていて、そこには事務所や工場跡の一部があるだけで、学校や居住棟ははるか遠くに臨むほど離れています。これでは、実際に当時の島民の暮らしを肌で感じ取る事は、到底出来ないでしょう。

立ち入り禁止区域に入る為には、長崎市からの特別な許可が必要で、一般の観光ではまず入る事は出来ません。稀に、ヘルメットを被った取材陣が居住棟の内部にまで潜入している写真を見る事がありますが、本来ならばあの様な“探検”がしたかったというのが本望です。おそらくそれを一般に公開するとなると、相当な改修工事が必要となりますから、実現する可能性はかなり低いと考えます。

しかし、世界遺産に指定され世界中からますます注目される中、莫大な費用を掛けてでも、せめて島内の半分だけでも自由に歩き回れる程に改修して頂きたいものです。恐らく、既に何らかの検討がなされている事と思いますが、長崎県単独での費用捻出が困難であれば、こんな時にこそ“国”が率先して進めて行って欲しいものです。老朽化した建物は、既に一部で崩落が進んでいるとの事ですから、早く手を打たなければ、大きなチャンスを逃す事にもなりますね。

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最後になりますが、「軍艦島」は見所がごく一部に限られているものの、一見の価値アリですので、まだ訪れた事の無い方は是非足を運んで頂きたいと思います。

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