トランジットで訪れたヘルシンキには、世界でここにしかない“岩盤”で出来たコンサートホールがあるという事を聞き、それを一目見たくて訪れてみました。それは、ガイドブックにも載っている「テンペリアウキオ教会」の事を差す様で、教会ならではの残響と斬新なデザインで有名な所です。
私も音楽家の端くれとして、ここの音響はぜひ確かめておきたいと思っていました。
場所はヘルシンキ中央駅から北西方面へ、道のりで1kmほど行った所にあります。トラムの駅からそんなに離れている訳ではありませんが、住宅街の中にあって意外と見つけ難い所でした。
岩肌に囲まれたコンサートホール
「教会?」を思わせる様な建造物は無く、ただゴツゴツとした岩山があって、入口の所だけポッカリと穴が空いている、そんな印象を受けました。コンサートチラシが掲示されているので、ここで頻繁にコンサートが行われるものと思います。
中へ入ると、おぉ~!岩盤むき出しの内壁と、そこから円形の天井に向かって放射線状に伸びた柱が均一に並んでいて、何だか不思議な感じです。
この天井を支える柱の部分は、ガラス面によって自然光が入り込む様になっているので、とても明るいです。羽田空港の国際線Tも少しは見習ってもらいたいものですね…
パイプオルガンが響き渡る客席
そしてこれがパイプオルガン。サントリーホールにある様な大規模なものではありませんが、下から見ると迫力あります!
音大生時代、バロック音楽研究か何かの講義で大学内のパイプオルガンを弾いた事がありますが、発音帯と鍵盤があまりにも距離が離れている為、弾いていて違和感を覚えた記憶があります。出来ればこのパイプオルガンの本気の音を聴いてみたかったです。こちらはステージ側から見た様子。2階席も含めてフラットな分、天井に開けた空間が目に飛び込んで来る感じです。歌手にとっては、演奏する際に残響のイメージを掴み易くて良いのではないでしょうか。
2階席から全景を見渡す
最後に2階席から眺めてみました。斬新なホールの全景が良く見えるので、2階の方がおススメです!
館内には常にBGMが鳴っていて、恐らく正面のスピーカー(?)辺りから音が出ているものと思いますが、それがどこから音が鳴っているか分からないほど、教会内に均一に音が響き渡っている印象を受けました。特に中低音がクリアで、スピーカーから出た音と言えども臨場感が感じられました。「岩盤」という自然の素材を用いて、ここまで整った音響設備を造り出すとは、凄い事ですよね。
氷河期の頃から残る天然の岩盤の中をくりぬいて造られた教会は、1968年竣工という事で、もうすぐ50周年を迎える様です。教会なので静かにしている必要はありますが、ヘルシンキ市内観光途中に休憩がてら立ち寄るのも良いかもしれませんね。次に機会があったら、ここでのコンサート鑑賞に是非足を運んでみたいと思います。
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