クラウドファンディングで注目が集まっていた商品の一つ「Muzo(ミューゾー)」。周囲の騒音を除去・軽減させる効果があるとして、私も以前から注目していました。
“ノイズキャンセル”と言うと、BOSEのヘッドフォンみたいに周囲の音を拾って逆位相の音を発生させるものを想像していましたが、実際に購入して使ってみると、どうやらそういった商品では無いらしい…。
そんなMuzoのノイズキャンセル効果はどれ程のものか、検証してみました!
クラウドファンディングの企画商品
そもそもMuzoとは何か?簡単に説明すると、2015年にクラウドファンディングで企画された商品の一つで、ボタン一つで身の回りの騒音をかき消す、或いは緩和する効果を謳う機械の事。
プロモーションによると、Muzoは高いノイズキャンセリングの効果を持ち、また環境に沿った音やBGMが流れる事で仕事の能率が上がり、また就寝時に使えば質の高い睡眠が期待できるのだとか。
作曲家の私は仕事柄、普段から身の回りの音に関しては異常なくらい神経質になっていて、自宅周辺の騒音にも悩まされているので、こういった商品は喉から手が出るほど欲しいものです!
クラウドファンディングと言うと、プロジェクトの半分くらいは失敗に終わってしまうそうですが、Muzoに関してはKickstarterやrakunewなどで出品されて以来、順調に資金が集まった様で、昨年辺りから出資者に随時商品が発送された様です。私も当初、出資しようか迷っていたのですが、躊躇している間に価格が26,000円にまで高騰していったので見送り…。しかし先月になってヤフオクで“新品未開封”が22,000円程で出品されていたので、思い切って買ってみました!
包装とケース、付属品
手元に届いたMuzo。ビニールの包装も付いた、正真正銘の新品未開封です。
開けてみると、中には黒い艶やかなケース。素材はプラスチックですが、ちょっと高級感漂っていますね。
ケースをパカッと開けると、Muzoがお目見え!Muzoのカラーはシルバーと黒の2種類あって、今回はシルバーが届いた様です。
ケースは2重構造になっていて、中フタを開けるとUSB充電コードと取り扱い説明書(英語のみ)、交換用の吸着パッドが入っています。この中フタはケースの底に磁石でくっつく様になっている等、ここまで見る限りではなかなか質の高い仕上がりになっていますよね。
Muzo本体を見る
Muzo本体、こちらも基本的にはプラスチックですが、表面はサラッとした肌触りの艶消しフォルム。中央のボタンは長押しでスイッチ、普通に押すとモード切替、回転させると音量調整となります。
本体の横には、音の切替や一時停止のボタン、およびiphone等のデバイスと接続する為のBluetooth切替ボタンがあります。反対側にはUSB充電の為の端子。本体表面とは違い、このボタン周りの質感はちょっとイマイチ…。
Muzoの使い方の一つとして、窓に貼り付けて使用する方法もあるのですが、本体裏の吸盤と吸着パッドはその場合に使用する事になります。
この吸着パッド、かなり強力で触るとベタベタする程です。窓ガラスにつけるには問題無いですが、化粧板などに付けるとMuzoを取るときに表面が剥がれてしまうかもしれません。吸着パッドにフィルムを貼っておけばべた付く事はありませんが、中央の吸盤だけでは窓にすら貼り付けておく事は難しいです。
Muzoの使い方とサウンドの種類
さてこのMuzo、使い方としては、中央のボタンを長押しして電源を入れ、同ボタンで以下の3つのモードの何れかにセットした後、本体横のボタンで好みのサウンドに切替えて使用します。
- Serenity mode
- Sleep mode
- Secret mode
切り替えると、ボタンがそれぞれのモードに合わせたカラーに光り、各モードに合わせた音やサウンドが本体から流れます。
同時に、音に合わせて背面の吸盤が振動し、Muzoを設置した場所を共鳴させて音を増幅。これにより、小さな本体からは想像もつかない様な臨場感を出す事ができるのだとか。
サウンドの種類ですが、Secret modeは4種類の風の音、Sleep modeはオフィスやカフェの騒音など14種類が用意されていますが、Serenity modeは何か弱い風の音がするだけで、用途不明です…。
また、Bluetoothを利用してスマホアプリと連動させると、Sleep modeでは複数のサウンドをミックスする事も可能。例えば“Rainy Day”と“Thunder”をミックスして雷雨を表現したり、“Summer Night”と“Campfire”を合わせて真夏のキャンプを再現するなど、様々なアレンジが可能となっていますが、実際にスライダーを動かしてやってみても反応しない音もあったりして、何だか使い勝手が悪いです。
ノイズキャンセリングの効果は…?
結局、このMuzoを使うと、どの様なノイズキャンセリングの効果があるのか?ただサウンドを選んで鳴らすだけならば、そんなもの、このご時勢スマホのアプリ一つで十分ですよね。
Muzoの商品解説を鑑みると、どうやら吸盤によって設置した場所を、任意のサウンドから来る音波によって振動させる事に意味がある模様。それはMuzoから出るサウンドを増幅させるだけではなく、場合によっては外部からの騒音を軽減する効果もあるらしい。
騒音をカットする技術に関しては、BOSEやSONYのノイズキャンセリングヘッドフォンにある様な、周囲の音をキャッチしてその逆位相の音を流して騒音を打ち消す効果を思い起こしますが、騒音の種類によってはMuzoでもそれに近い効果が得られるのかもしれません。
しかしMuzoから出せるサウンドの種類は限られており、騒音の逆位相にピッタリな音色を選んで鳴らせるケースが果たしてどれほどあるのか…。騒音軽減効果は、あくまで“場合によって”と考えるべきなのかもしれません。
ほとんどの場合、他の音を出す事によって騒音を“誤魔化す”だけであり、BOSEのヘッドフォン(QC25等)の様な効果は、一切期待できないでしょう。
期待はずれのMuzo、使用用途は…?
Muzoのプロモーションを見ていると、このMuzoの周りに波動が生じて、その周りだけ静寂が訪れるかの様な映像が見受けられます。私も初めはこの絵を見て、Muzoの周りだけノイズキャンセリングヘッドフォンを付けている時の様な効果が得られるのではないかと思っていたのですが、そんな夢の商品ではなかった…。ただ唯一の救いとして、本体の振動を抑えて設置した場所にのみ振動を与える技術は凄いですし、小さい箱ながら音の質は良いです。たとえ、全く同じサウンドが出せるスマホアプリがあったとしても、この様な臨場感は出せないでしょう。
使用用途としては、携帯性を利用して旅行等に持って行くのが良いかと。私は海外の安い4つ星ホテルに泊まる事も多く、そういう所だと部屋の壁が薄くて隣の部屋の騒音で眠れない事もあるのですが、そんな時にこそMuzoのサウンドで“誤魔化す”事ができれば、少しは快適な睡眠が望めるかも?
そんな訳で、過大広告に魅せられて購入したMuzo。一般には販売されていない事もあって、Amazonではとんでもない価格で売られている様ですが、この程度の効果ならば2万円でも高いなぁというのが正直な感想です。
まぁこれだけ悪口叩いてヤフオクに中古で出すのも気が引けますし、後学の為にも手放さずに持っていようと思います。これからオークション等で購入を検討される方は、以上を鑑みた上でよく検討される事をおススメします!