東海道新幹線は、セキュリティー強化を目的として2017年度末までに、全車両の9割の客室に防犯カメラが設置される様です。昨年起きた焼身自殺事件を受けての対策であるとは思いますが、海外からの観光客誘致が進む中、こういった防犯カメラの設置はある意味急務であると、私は考えています。
この様な案件は、セキュリティー向上とプライバシー保護の間で、意見が大きく割れる事と思いますが、防犯カメラ設置による効果は、何も暴力事件への防止に繋がるだけではなく、日々の通勤・通学においても大きな安心・安全へと繋がり、やがては人生における大きなリスク回避にも繋がるものと思っています。
※この記事は2016年執筆のものです。2019年現在、東海道新幹線N700系統の全車両に防犯カメラが設置されています。詳しくはコチラ→JR東海公式PDF
痴漢防止と冤罪防止
私もサラリーとして勤めていた時期がありますが、男の私は通勤電車内における「痴漢冤罪」へのリスクに、日々大きな不安を感じていました。卑劣な痴漢事件が後を絶たない中、女性の「触った」の一言で吊るし上げられ、一瞬にして職も家族も失う男性の体験談を見ると、その度に恐怖心が湧き上がってきます。普段から「若い女性に近づかない」「つり革を両手で持つ」など、常に神経を尖らせて乗車していましたが、満員の通勤電車では限界もあります。その様な時、無実の証明をしてくれる「防犯カメラ」の設置を切望している男性は、多いのではないでしょうか?
有事の際の閲覧に限定
防犯カメラ設置に関して、一番問題視されているプライバシーの侵害についてですが、東海道新幹線の件では「使用目的や扱う社員を限定」としています。つまり、常に誰かが監視している“監視カメラ”だから問題なのであり、有事の際に閲覧する事を限定した“記録カメラ”であれば、何も問題無いのではないでしょうか?
そして、例えば“1ヶ月間”など一定期間が過ぎると記録映像が自動的に削除される仕組みにし、故意の閲覧などによる違反の場合には罰金や懲役を含めた罰則を設けるなど、きちんとした仕組みを作れば難しい事ではないと思います。
電車の車内は“公共の場”であり、元々完全なプライベートは無い訳ですから、過剰に「プライバシーの侵害」を議論するのは如何なものかと。犯罪に使われるかどうかは“管理”の問題である訳で、「マイナンバー」の導入に比べれば断然“安全”だと思うのですが…。
要は経費の問題か
要するに、防犯カメラの設置費用、および管理・運営にかかるコストを、鉄道会社は嫌がっているのでしょう。今後2年程で東海道新幹線への9割の設置が実現するのも、営業係数(100円稼ぐのに掛かる経費)がトップのJR東海だからこそ為し得る事なのかもしれません。
それならば、同じく営業係数トップクラスのJR山手線や、大阪市営地下鉄の御堂筋線などにおいて、早期に実現しても良いのではないでしょうか?
また、こういう公共性の高い事業に関しては、国が率先して補助金を出し、鉄道会社の負担を軽減して、多くの路線への設置を促す働きかけを、もっと積極的に行うべきだと思います。日々の通勤における“安心・安全”は、サラリーマンのモチベーション向上にも繋がり、経済の活性化に繋がるのではないでしょうか?
防犯カメラの設置が進んでいく事を、心から願っています。
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