スペイン・バルセロナで巡った沢山のガウディ建築、今回はそのラストとなる「コロニア・グエル教会」をレポートします!
これはバルセロナ郊外にあるColònia Güellという場所に建つ半地下の教会で、2005年にユネスコに世界文化遺産に登録。サグラダファミリア同様、見完成のままになっていますが、ガウディ独自の宇宙的な内部のデザインは健在です。
そんなコロニア・グエル教会へのアクセスや見所など、詳しくお伝えしていいたいと思います。
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目次
コロニア・グエル教会へのアクセス
コロニア・グエル教会ですが、場所はバルセロナ市街から10kmほど離れた郊外にあります。空港と同じくらい離れているので、観光で訪れるなら半日くらい見ておいた方が良いかもしれません。
アクセスは、鉄道を利用します。エスパーニャ広場から出ているカタルーニャ鉄道に乗っておよそ25分、Colònia Güellという駅が最寄駅です。この駅は郊外のZONE 2に当たるので、バルセロナ市内のZONE 1の切符では行けないので注意が必要。
エスパーニャ駅は沢山の路線が乗り入れていますが、Colònia Güellへ行くのはS3、S4、S8、S9の4つ。列車本数は概ね安定している様ですが、時たま30分以上間隔が空く事もあるので、運が悪いとかなり待たされます…。
今回はS4に乗りましたが、近郊型列車なので車内は広々!日本でも見かける様なセミクロスシートですが、シートピッチも広いので快適です。
Colònia Güell駅からは、歩いて丘の上を目指します。無人駅で案内所も何もありませんが、駅前に設置されたMAPに従って進んで行けば問題ありません。
インフォメーションでチケットを購入
緑の生い茂る道を通って、丘の上へ。
コロニア・グエル教会へ行くには、先ずチケットを購入する必要があります。チケットは「i」の表示のあるインフォメーションで販売されているので、先ずはそこへ向かいます。
「i」のマークが書かれたインフォメーションの建物。この対面には公衆トイレも設置されています。
建物の中へ入ると、正面にチケットカウンター。ここにはギフトショップもありますが、絵はがき程度のものしか置かれていません。
チケットは€7。オーディオガイドも借りられますが、その場合はパスポート(コピー可)が必要です。この時対応した受付のおばさんが、めちゃくちゃ愛想悪かった…。
チケットと共にMAPも貰えますが、日本語のもあるので便利!ちょっと分かり難い日本語ですが、詳しい概要も書かれています。
エウゼビ・グエイが築いた繊維の街
ところで、このコロニア・グエル地区ですが、ガウディの設計した地下聖堂以外にも様々な建物が建っていて、それぞれ観光スポットとしてMAPにも記載されています。
元々この場所は、スペインの実業家エウゼビ・グエイ(Eusebi Güell 1846~1918)が1890年に設立させた、繊維産業の工業団地です。当時バルセロナでは内戦が起こっていた為、その紛争から退避させる為にバルセロナ市街からこの地へ移転させたのだとか。
繊維工場で働く人々の生活の為の学校や病院、住居等が建てられ、そしてその中の礼拝堂として造られたのが、今回の目玉の地下聖堂という事になります。
上記のMAPを参照しながら一通り巡ってみましたが、赤茶色のレンガ造りで統一された建物の数々は、建築美があって魅了されます!しかし殆どが私邸なので、観光客が立ち入れる建物はありませんでした。
エリアの一番奥には学校がありますが、もちろん入る事は出来ません。しかしまぁ、私も一度で良いからこんな立派な建物で教育を受けたかったものです…。
ガウディ建築、未完の半地下聖堂
さて、本題のコロニア・グエル教会は、上記MAPの⑬番。ここだけはフェンスで囲われていて、無料では観られない様になっています。入口横にスタッフが座っていて、ここでチケットチェック。
入口を入るとすぐに教会の建物が現われます。何だかこれまで見てきたガウディ建築とは、姿形が随分と異なっていますね。朝一で訪れたため人は殆どいませんでしたが、やたらと日本人をよく見かけます…。
このコロニア・グエル教会は、エウゼビ・グエイからの依頼によってアントニ・ガウディが1908年に建設開始。元々その10年前となる1898年にはすでに依頼されていたものの、ガウディが独自の研究に専念していた為、着工が10年遅れてしまったのだとか。
その後6年に渡って工事が行われるも、1914年に依頼者であるエウゼビ・グエイの体調が悪化。その後の建設指導を後継者に託すも、後継者が建設に消極的な姿勢であった事から、ガウディ自らがプロジェクトから離脱。結果、未完の状態で終わってしまったそうです。
手元の資料によると、本来この教会の上の部分にはグラダファミリアにも見られるヤングコーンの様な塔が建つ予定だったそうで、その高さは40m。さぞ壮大な教会になった事と思います。
独特なデザインの内部
教会の中へ入ると、楕円形をした講堂があります。縦60m、横25m、半地下という事もあって掘り下げた分、外観からは想像もつかないほど大きな空間になっています。
講堂内には、レンガで出来た無数の柱が乱立しています。ハンドメイド感万歳で、ちょっと頼りない柱もありますが…。
レンガには様々な種類の石が使われていますが、安価で手に入るレンガを使う代わりに、基礎の部分には強度を高める為の玄武岩が使われているらしい。
天井は、サグラダファミリアにも応用したとされるアーチ状の梁。元々、天井は漆喰で塗り固められる予定だったそうです。
講堂内に並べられた椅子もガウディがデザインしたもので、鉄製の骨組みと木製の座面がついたもの。背もたれ部分が、後ろの席の為のテーブルになっています。
ステンドグラスもかなり独特!これは十字架と花柄模様をモチーフにしたデザインなんだとか。
祭壇と祭壇裏のスペース
祭壇は、ステージ上に小さな金色のモニュメントがあるだけの質素なもの。従来ガウディの考えでは、祭壇は身廊の中央部分に置かれる予定だったそうですが、後に彼のアシスタント達が現在の位置に設置したとの事。確かに、このステージだけ後から取って付けた様な感じがしますね。
この祭壇の横には階段があって、祭壇の裏側へ行ける様になっています。ここには教会施設に関連した小部屋が設けられているそうで、幾つか扉がありました(中へは入れず)。
ここは高台になっているので、教会内が見渡せます。こうして見ると、なんとも独特で不思議な空間。これが未完のまま終わってしまったなんて、勿体無いですよね。
屋上にある鐘楼
最後に、教会内から外へ出て屋上へと行ってみましょう!本来、ヤングコーンの塔が何本も建つはずだった教会の上層部ですが、行ってみるとコンクリで固められた広い屋上になっていました。
だだっ広い屋上のスペース。こうなるともはや歴史感ゼロですよね…。
ただ、ここでは教会で一番高い所にある鐘楼を間近で見る事ができます。ベルの様な形の鐘は、金具で固定してあるだけの簡単な造り。
それもそのはず、この鐘は暫定的に設置されただけで、元々この部分は塔の一部として設計されたものだったそうです。
その他、教会上層部の基礎と思われるむき出しのレンガや石も見られます。サグラダファミリアの様に、ここも時間を掛けて完成させれば良かったのに、ほんと残念です…。
見学は時間に余裕を持って
と言う訳で、コロニア・グエルの半地下聖堂を観てきました。ガウディの中ではかなり晩年の作品ではありますが、ある意味人知を超えた宇宙的なデザインは健在!バルセロナ郊外とあって人も少なく、ゆったりと見学できるのも良いところ!コロニア・グエルの広い敷地内を歩き回る事になるので、訪問の際は時間に余裕を持って訪れる事をおススメします。
コロニア・グエル教会の営業時間
- 夏季(5月~10月)…10:00~19:00(土日祝日は15時迄)
- 冬季(11月~4月)…10:00~17:00(土日祝日は15時迄)
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