【電動キックボード】が日本の公道を走れる日は来るか?実証実験に期待!

キックボード(キックスケーター)と言えば、スケートボードの様な板にハンドルがついた地面を蹴って進む乗り物ですが、これの電動式タイプがあるのをご存知ですか?「電動キックボード」と言って、足で漕ぐ必要が無く、坂道も楽々な未来型の乗り物です!

欧米諸国をはじめ海外では既に広く普及していて、私もこれまで幾つもの国で人々が乗っているのを見てきましたが、残念ながら日本では法律の問題があって公道を走る事が出来ません。

しかし先日、そんな電動キックボードについて日本での普及に向けた取り組みがスタートしたという大変嬉しいニュースをキャッチ!今回は、電動キックボードの利便性等について、海外での状況を元にお伝えしていきたいと思います。

海外では広く普及!電動キックボード

海外では既に広く普及している電動キックボード。私がこれまでに渡航した国では、フランスやオーストリア、スペイン、またアジアではシンガポールでも見かけました。

電動キックボードが欧州で利用されている

日本でキックボードと言うと、スポーツでの利用や子供のおもちゃとしての利用が一般的ですが、欧州では普通に通勤中のサラリーマンや若い女性が乗っているので、ちょっとビックリ!

自転車の姿も見かけますが、場所と時間によってはその差が殆ど無いほど、電動キックボードを多く見かけます。

一輪セグウェイ

キックボードの他にも電動式の乗り物は幾つかあって、比較的よく見かけるのはこちらの一輪タイプのセグウェイ。キックボードよりもタイヤが大きい為か、見ているとかなりスピードが出る様です。

electric-scoote/キックスケーターの電車内持ち込み

尚、フランスやスペインでは電車の中への持ち込みも可能。これなら、駅から遠く離れた所へのアクセスも楽で良いですね!

法律の壁…日本の公道は走れない

キックボード(車輪付きの板)に取り付けられた電動式のモーター(原動機(定格出力0.60キロワット以下))により走行するいわゆる「電動キックボード」(座席が取り付けられている場合には、「電動スクーター」と呼ばれているものもあります。)については、道路運送車両法上の原動機付自転車に該当すると解されます。原動機が内燃機関(エンジン)でなく、電動機であっても、原動機付自転車に当たります(電気を動力とする電気自動車が自動車に当たるのと同様です。)。

 よって、いわゆる「電動キックボード」や「電動スクーター」は、前照灯、番号灯、方向指示器等の構造及び装置について道路運送車両の保安基準に適合していなければ、運行の用に供することができません(歩道、車道を含め道路を走行することはできません。)。この保安基準に適合しないものを運転した場合には、道路交通法第62条の違反として処罰される場合があります(3月以下の懲役又は5万円以下の罰金)。

警察庁交通局より(抜粋)

そんな便利な電動キックボードですが、残念ながら日本の公道での利用は不可。現在の日本の法律では、電動で動くものは全て“原動機付自転車”の扱いになってしまう為、方向指示器やサイドミラー、ナンバーの取得が無い電動キックボードは公道を走る事が出来ません。

それでも何とかして電動付のコンパクトな乗り物に乗りたいという需要はあるらしく、Amazonで探したらこんなミニバイクが出てきました!

ナンバー取得で公道を走る事が出来、折りたたんで持ち運べるという手軽さがウリの商品ですが、キックボードと比べたらかなり重装備になってしまいますね…。

因みに、電動“アシスト”キックボードというのもあって、こちらは地面を蹴って時速5km以上になると5秒間だけエンジンがかかるというもの。電動アシスト自転車と同じ様な仕組みのはずですが、これも公道での走行は認められていないらしい…。

日本の公道走行に向けた実証実験がスタート!

もはや絶望的な日本の電動キックボード事情。しかしそんな中、先日キャッチしたのがこちらのニュース。

ベンチャー企業の「LUUP」は、電動キックボードのシェアリング事業に関する実証実験に向けて、浜松市や奈良市など5つの自治体と連携したと発表。同社が挑む日本社会の課題をまとめてみた。

多摩市や横瀬町など複数の市が提携して、公道による電動キックボードの実証実験に向けた連携協定を締結したとの事。

これは「シェア型パーソナルモビリティ」という位置づけで、位置や速度が規制されながらの利用とはなりますが、これが実現すれば公道での走行にグッと近づく事になりますね!

福岡市は、国家戦略特別区域会議において、スタートアップ支援策として、シェアリングサービスの提供に向けた電動キックボードの公道走行など3つの提案を実施した。ラストワンマイルを埋める移動手段の実現を目指す。

また、福岡市でも同様のシェアリングサービスに向けて動き出したというニュースを発見!法律の壁があるのでまだまだ道のりは遠いですが、こうした動きが全国で広がっていく事を願いたいものです。

欧米のシェアリングサービス「Lime.S

lime-s

尚、電動キックボードのシェアリングサービスは海外では既には始まっていて、欧米で昨年から話題になっているのが「Lime.S」というサービス。アメリカ発祥のサービスですが、ヨーロッパ各国の他、オーストラリアやニュージーランド等でも普及しているそうです。

lime-s (3)

利用するには専用アプリのDLおよびユーザー登録、また利用金額のチャージが必要で、アプリの専用MAPからLimeの電動キックボードの位置を探し出し、当該の固体にあるQRコードをスマホで読み込むと、車輪がアンロックされて使える様になるという仕組みです。

electric-scooter/Lime-S乗捨て

私も昨年フランスのリヨンへ行った際に街中で見つけましたが、歩道のど真ん中に置きっぱなしになっているのを何台も見かけました。これは“ステーションフリー”と言って、特に専用置場が決まっている訳ではなく、どこでも自由に乗捨てる事が出来るシステムなんだとか。

倒れたキックボード

中には、こんな風に乱雑にホッタラカシになっているものも(笑)。日本の狭い道路事情ではちょっと難しいとは思いますが、使い勝手は良いかもしれません。

ちなみに利用料金は都市によって異なり、例えばパリでは1分走るごとに€0.15(≠20円)、この他に基本料金が1回ごとに€1掛かるとの事。10分走行でおよそ330円、20分で530円…、まぁタクシーに乗るよりかは安いでしょう。

法規制をどう解いていくべきか?

もはや世界標準となりつつある電動キックボードの公道走行。これが実現すれば、数キロ離れた所にも楽々行ける様になりますし、自転車の様に上り坂で汗水垂らして漕ぐ必要もなし!行動範囲が一気に広がる事と思います。

問題なのは法規制、そして「電動キックボードなんて危険だ」と決め付ける人達をどう説得するか。

electric-scooter/ルール

海外で利用する人々を見ていると、人で混雑する繁華街等では押して歩くなどルールは厳守されていますし、走行も基本的には自転車専用レーンに限られています。それこそ、日本の歩道を自転車で爆走するおばちゃんの方がよっぽど危ないと思うのですが…。

タクシーの利用

また、電動キックボードが普及すると、バスやタクシーを利用する人が減って経済が停滞するとか、数キロの移動が楽になる事によって駅前物件の需要が減って地価が下がるとか、そういう勝手な事を言い始める人も出てきそうな気がします。

普段から自転車を利用する事の無いセンセー方を説得し、法律を変えるというのがどれだけ大変な事か…、まだまだ時間は掛かりそうですね。

是非とも日本の公道で解禁を!

セグウェイ

自転車なんて19世紀からあるアンティークな乗り物に未だ依存している日本、そろそろ思考を変えていかないと、海外にますます置いていかれますよ!上記の自治体の方々には、是非とも早期実現に向けて頑張って頂きたいものです。