ヴァンクライバーン国際ピアノコンクール2017【結果発表】優勝は韓国のYekwon Sunwooさん

アメリカ・テキサスのフォートワースで行われていた「第15回ヴァンクライバーン国際ピアノコンクール2017」、現地時刻10日の19:00から結果発表が行われ、韓国出身のYekwon Sunwooさんが優勝となりました。この模様はTHE CLIBURNのHPでライブストリーミング配信され、私も先ほど午前9時から生映像を見ていましたが、司会者のジョークに会場が沸き立つなど、コンテスタント達の心境とは裏腹に和やかな雰囲気で進められていましたね。

各賞の受賞者と出身国

ヴァンクライバーン国際ピアノコンクール2017の結果は以下の通りです。

  • Gold(第1位)…Yekwon Sunwoo(韓国)
  • Silver(第2位)…Kenneth Broberg(アメリカ)
  • Bronze(第3位)…Daniel Hsu(アメリカ)
  • Audience Award…Rachel Cheung(香港)
  • Steven De Groote Memorial Award for the Best Performance of Chamber Music…Daniel Hsu(アメリカ)
  • Beverly Taylor Smith Award for the Best Performance of a New Work…Daniel Hsu(アメリカ)
  • John Giordano Jury Chairman Discretionary Award…Dasol Kim(韓国)
  • Raymond E. Buck Jury Discretionary Award…Leonardo Pierdomenico(イタリア)
  • Jury Discretionary Awards…Tony Yike Yang(カナダ)

1位、2位の演奏については後述しますが、第3位のDaniel Hsuさんの室内楽賞と新曲ベストパフォーマンス賞のダブル受賞は特筆に値する他、ショパン国際ピアノコンクール2015で5位に入ったTony Yike Yangさんの審査員賞にも注目。ですが、やはり驚くのは韓国勢の強さ!全体的に地元アメリカ寄りの審査が囁かれる中、韓国勢は予選から安定した強さを見せていましたよね。

1Yekwon Sunwooさんの演奏

THE CLIBURN (2)

第1位のYekwon Sunwooさんの演奏は私もライブ映像で聴きましたが、第一印象としては感情の浮き沈みが少ない無難な演奏。音幅も少なく、ファイナルの演奏を聴いた限りでは決して優勝には相応しくないと思っていたのですが、予想に反して優勝。いつもながら、国際ピアノコンクールの審査基準って本当に分からないものですね…。

ヴァンクライバーン国際ピアノコンクールは、タイトルを取った後に訪れる世界各国での演奏スケジュールが過酷である事でも有名ですが、恐らくそれを十分にこなせるだけの力を持っているかどうか、そういう点も含めて審査されるのでしょう。いずれ来日公演もあるでしょうから、是非とも生で聴いて見たいものです。

2Kenneth Brobergさんのラフマニノフ

THE CLIBURN (1)

第2位は地元アメリカのKenneth Brobergさん。彼は決勝のコンチェルトでラフマニノフ≪パガニーニの主題による狂詩曲Op.43≫を演奏されましたが、私自身お気に入りの曲という事もあって注目して聴いていました。

地元という事もあって演奏前から大歓声!また演奏後にはスタンディングオベーションで沸いていましたが、私としては彼の結果もまた疑問。アクセントの奏法が独特な鋭さを持っていて、時たま出てくるキツイ音。和声の調和が無く、和音を弾いても各音がバラバラに聴こえてきました。フレーズ最後の音処理も決して丁寧ではなく、また音数が少なくなると走る事もしばしば。

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国際コンクールにおけるラフマニノフのパガニーニ狂詩曲と言えば、2002年に上原彩子さんがチャイコフスキー国際ピアノコンクールで優勝した際に演奏されましたが、透明感のある音と絶妙なフレージング、本当に素晴らしい演奏だったと思います。そのライブ録音のCDが頭に染み付いているので、尚更上記の様な感想を持つのかもしれません。

若干地元アメリカ寄りの審査と、韓国勢の強さに圧倒されたヴァンクラバーン国際ピアノコンクール2017でしたが、こんな時代にこそ日本人の繊細な演奏をもっと沢山聴きたいものですね。今回は1名の出場に限られましたが、次回の国際コンクール(主な国際大会はチャイコフスキー2019?)を期待する事にしましょう!

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