全日本ピアノ指導者協会が主催するピティナ・ピアノコンペティションの全国決勝大会。毎年のべ40,000人以上が参加する日本最大のピアノコンクールですが、その最終ラウンドで真の実力者を探し当てるべく、各会場をハシゴして演奏を聴いてきました!
非常に狭き門となっている全国決勝大会ですが、級によってその実力はマチマチ。そこで今回は、真の実力者が居るのはどの級か?など、神がかった演奏を聴く為のポイント等についてお伝えしていこうと思います。
ソロ部門の各級参加人数
ピティナ(PTNA)ピアノコンペティションは、「ソロ部門」の他「デュオ部門」や「コンチェルト部門」など多彩な参加方法がある事で知られていますが、今回ハシゴしたのは「ソロ部門」。ソロ部門は小学生から高校生まで2学年おきに級分けされていて、各級ごとに第1位(金賞)~第3位(銅賞)が決定されます。
- 特級…年齢制限なし(約150名)
- G級…22歳以下(参加人数不明)
- F級…高校3年以下(約900名)
- E級…高校1年以下(約1100名)
- D級…中学2年以下(約2900名)
- C級…小学6年以下(約5400名)
- B級…小学4年以下(約7300名)
- A1級…小学2年以下(約5800名)
各級とも〔地区予選〕→〔地区本選〕→〔全国決勝〕と勝ち上がって来る所を見ると、吹奏楽コンクールと似ている所がありますよね。
飛び級の実力者たち
ピティナのコンクールは、出場可能な学年を限定しない級分けが特徴です。2学年ごとに分かれている級ですが、規定の学年“以下”であれば誰でも受ける事が出来ます。
例えばF級は基本的に高校2年生と3年生が対象ですが、それ以下の中学生や小学生でも参加可能という事になります。
E級やF級を聴いていると、大人びた高校生に混じって補助ペダルを使用するくらい小柄な小学生が出てきたりしますが、大人顔負けの良い音と華麗なテクニックによる演奏でビックリします。毎年の結果を見ても、この様な“飛び級”の出場者が多く入賞を果たしていますから驚きです。
ずば抜けた才能はB~D級に多い
ピティナの全国決勝大会の出場者は、各級とも数千人の中から数十名へと絞り込まれただけに実力者が多いのは事実ですが、その中でも参加人数の多いB級~D級の決勝大会では、驚くほど洗練された演奏に出会う事がこれまでに何度かありました。
例えば今年のC級決勝進出者は94名。これを全国の出場者数で割ると僅か1.7%という事になり、いかに狭き門なのかが分かります。
C級の決勝を聴いていると、皆あの小さな体から何故こんな豊かな音色が作れるのか不思議に思うくらい。その中でも入賞を果たす子の演奏は、プロのピアニストでもなかなか出さない様な重みと響きのある音で、その演奏が聴ける事を毎年楽しみにしているくらいです。
一方、全国の参加人数が1000人にも満たないF級の決勝大会を聴くと、確かに皆洗練された演奏ではありますが、「う~ん」と唸らされる程の演奏にはなかなか出会えないのが正直な感想です。
F級の決勝出場者数(35名→3.8%)は、C級の1.7%に比べると遙かに多い事も関係しているのかもしれません。
“数千人に一人の逸材”出現の可能性
統計学的な考え方でもありますが、やはり絶対数が多ければ多いほど真の実力者が含まれる確率も上がる訳で、ピティナのコンペティションにもそれが当てはまる様な気がします。
毎年数千人が参加するB級やC級は、“数千人に一人”の逸材が毎年現れても不思議ではありませんが、出場者が1000人にも満たないF級などでは、その様な逸材は数年に一度しか現れない事になります。既に優秀なプロフィールを持ってして臨む出場者が多い「特級」は別として、やはり類稀な才能を発見するには出場者数の多い級の演奏を聴く事が一番なのだと感じました。
ピティナ・ピアノコンペティションの決勝大会は今日(21日)まで行われ、その結果が明日発表されます。
5年に一度ポーランドのワルシャワで行われる「ショパン国際ピアノコンクール」の出場者の中にもピティナでのタイトル保持者は多く、幼い内から有望な演奏家に唾をつけておく(失敬!)のも面白いかもしれませんね。注目してみたいと思います。
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