ピティナの“賞”は多すぎる?特級グランプリの演奏と受賞制度について

第40回ピティナ(PTNA)コンペティションの結果が発表されましたね。「ショパン国際ピアノコンクール」にも多く輩出している日本最大のピアノコンクールなだけに、注目している方も多いかと思います。

特級ファイナルのWeb中継

私は先週末、都内主要の各ホールで行われる全国決勝大会をハシゴして色々な級の決勝大会を聴いてきましたが、「特級」の会場は他の級と違って「全国決勝大会」の共通チケットでは入場できないばかりか、毎年かならずチケットが事前に完売してしまうので、特級のファイナルに関してはピティナのHPからWebで中継された映像を見ました。

最上級クラスとなる特級のファイナルでは4名が熱のこもった演奏を繰り広げていましたね!グランプリを獲得された尾崎未空さんの演奏は、PC付帯の簡易スピーカーで聴いても分かるほど他のコンテスタントから秀でていた様に思えます。クッキリ明快な音と安定感は、今後世界でも戦えるほどの実力の表れなのではないでしょうか。

Web配信の映像はカメラワークが少なくてちょっと臨場感に欠けますが、その分音質が上々で回線も安定していて良かったです。

ピティナの“賞”は多すぎる?

ピティナの結果(特級以外)を見ていると、金賞~銅賞以外にも【ベスト●●賞】という様な形で多くのコンテスタントが表彰されているのを拝見します。所謂“努力賞”や“奨励賞”という意味合いなのだと思いますが、下手をすると出場者のおよそ半分が何かしらの“賞”を貰う事になるのではないかと思い、ちょっと違和感を覚えます。

PTNA指導者賞

その他にも、ピティナは「指導者賞」という制度を設けていて、ピティナコンペティションの全国大会へ多くの生徒を輩出した指導者を表彰しているのですが、その受賞者数が毎年およそ450名と大量にいて驚きます。授賞式の映像には、溢れんばかりの受賞者たちがステージに上がる姿が見られ、あれはちょっと滑稽にすら感じます。

競技人口維持の為の措置か?

つまり受賞への敷居を低くして大方の人間に「賞」を与え、モチベーションの維持に繋げたい考えなのでしょう。それが即ちピティナ有料会員の維持に繋がるかどうかは不明ですが、誰でも目先に身近な目標が出来る事は良い事かもしれません。

しかしその様な「賞」の大量発行は裾野が広がる一方で、実際にトップの成績を収めた者にとっては、腑に落ちない気持ちになるのではないでしょうか?偉大な功績は我が物だけにあって欲しいと願うのは当然の事で、それが数名と一緒では価値も数分の一です。

私も昔、数百名規模の某ピアノコンクールでトップの成績【優秀賞】を獲得した事がありますが、該当者が2名いたので嬉しさが半減したのを覚えています。やはり第1位なのか第2位なのか、ハッキリしてもらいたい所。

ピアノコンクール

賞の叩き売りは、やがてその価値の低下にも繋がりかねませんので、あまり大盤振る舞いをするのは如何なものかと思います。下手をすると、トップの成績を収めた優秀な人材がシラを切って、そっぽ向いてしまっては本末転倒です。

とは言え、ピティナが日本のピアノ業界を先頭で引っ張ってくれているのは事実。いつの日か「ピアノ」が中学高校の部活動と同等の市民権を得てくれる事を祈って止みません。