ベルギー・ブリュッセルで行われている「エリザベート王妃国際音楽コンクール2016」は、24日(日本時間)よりファイナルが行われています。注目の日本人コンテスタント:今田篤さんが初日に演奏され、既に演奏動画が公開されています。→【Final 2016 : Atsushi Imada】
審査はいずれも現地時間の午後8時ですから、日本においてはどうしても録画映像の視聴に頼る事になるのですが、セミ・ファイナルの時と比べると、動画のUPが少し遅いですよね。前日の映像は、午後まで待つ必要があります。
初日の今田さんの演奏を聴きましたが、貫禄のあるパフォーマンス。同日に弾いたYoonji
Kimさんと比べても、明らかに音の厚みがあってズシンと聴衆の体にまで響き渡る音、それでいて丁寧な職人技で最後まで安定した演奏を聴かせてくれました。
出来れば今後の各奏者の演奏を聴き比べたい所ですが、映像の音源のビットレートが低いのか音質の細かなニュアンスまではなかなか聴き取り難く、優勝者の予想はちょっと難しいかなと…。それと実際の結果との異差を考察するのがとても勉強になるのですが、今回はなかなか難しそうです。
Finalの課題曲について
私がファイナルでの楽しみの一つにしていたのが、このファイナルの審査の為に書かれた新曲≪Ledoux Claude / A Butterfly’s Dream≫です。第一印象としては、無調ながらも調和のある和声と神秘的な曲想があって、比較的聴き易い作品に仕上がっていると思いました。
曲中には、同型モチーフの繰り返しによる情景描写的な表現が多く見られましたが、拍子がどうなっているのか気になるところ。映像に楽譜がチラチラと映るのですが、流石に音符までは見えません… また同音連打の部分も多くて、高度なメカニックが要求されるでしょう。他にも、途中「テンプルブロック」の使用があったりと、興味深い点が幾つもありました。それにしても、この曲を隔離された環境で一週間もの間塩漬けにされるというのは、なんとも耐え難いものですよね。それ以上に、たった一週間で弾ける様になる事の方が凄いかも…。
ところで、映像を見ているとステージギリギリにまで観客が入っているのが見えました。あんなに近いと演奏中にお客さんと目が合って、気が散ってしまうのではないかと思うくらいです。歌科の人はいつも正面を向いて歌うので慣れているかと思いますが、ピアニストはそうでない人も多いはず…?
ショパンコンクールの時は「1番」ばかりで飽きましたが、エリザベートでは色々な作曲科の協奏曲を聴けるのが良いですよね!時間の許す限り、他の方の演奏も聴いてみようと思っています。