ロシア・モスクワの地下鉄(メトロ)と言えば、美術館の様に美しい駅構内がある事で有名ですが、現在ではテロ対策による厳重警戒によって物々しい雰囲気に包まれていて、利用するにはちょっと躊躇してしまうところ。
今回は、そんなモスクワの地下鉄へスムーズに乗車する為のコツを、私の体験を元にレクチャー!切符の買い方から車内、また美しい駅構内の様子まで詳しくお伝えしていきたいと思います。
目次
路線MAPと運賃
モスクワの路線図はコチラ。メトロ・バスそれぞれのMAPはmoovitapp.comというサイトからPDFがダウンロード出来ます。モスクワトランスポートの公式HPではルート検索も出来ますが、あまり使い勝手は良くないです。
- 1回券…55RUB
- 2回券…110RUB
- 60回券…1,900RUB
- 24時間券…230RUB
- 3日券…438RUB
運賃はご覧の表の通り。メトロもバス・トラムも金額は一緒で、どこまで乗っても均一料金です。「歩き方」ガイドブックによると回数券は20回券や40回券、また7 daysパスもあると書かれていますが、現在では無くなった模様(駅窓口の係員も無いと言っていました)。
これらのチケットは紙製のICカード乗車券になっていて、改札機の読み取り部分にタッチして使用します。
便利でお得なICカード「トロイカ」
尚、モスクワでは東京のSuicaの様にチャージ(Top Up)して使えるICカード「Тройка(トロイカ)」が普及していて、このカードを使うと運賃が大幅に割引になるのでお得です!
デポジットは50RUBで返金にも対応、カードの有効期限は5年間。
- 1乗車…38RUB
- メトロ(地下交通)とバス・トラム(地上交通)の90分以内の乗継…21RUB
- 30日券…2,170RUB
- 90日券…5,430RUB
- 365日券…19,500RUB
このトロイカを使った場合の運賃はご欄の通り。1ヶ月や3ヶ月等の長期滞在チケットもありますが、旅行者が使うケースは殆ど無いでしょう。
地下鉄の乗り方→チケットの購入方法
それでは実際にチケットを購入して、地下鉄に乗ってみたいと思います。地下鉄(メトロ)の乗り場は、赤い「M」のマークが目印。どの駅も周囲の建物に溶け込んで場所が分かり難いので、よく探して下さい。
木目調の扉から入って駅構内へ。入口と出口は一方通行になっているので、注意が必要。また、バリアフリーになっている駅は殆ど無く、改札口まで階段しか無い場合が多いです。
チケットは、窓口または券売機で購入します。窓口の担当者は英語が話せない様ですが、簡単な英単語なら通じる模様。
私は「トロイカ」を窓口で購入しましたが、「ワン トロイカ アンド トップアップ」と言って、お金と一緒にスマホの電卓で200を表示させて見せた所、200RUBがチャージされたトロイカを買う事が出来ました!
トロイカは券売機でも買えますが、券売機には新型と旧型があって、旧型はチャージのみでカードの購入は出来ません。駅によっては新型が設置されていない所もあるので、その場合は窓口で購入する必要があります。
券売機は新旧ともにタッチパネル式で、それぞれ英語切替対応。赤い紙のチケットを購入する場合は“Tickets”、トロイカをチャージする場合は“Top-up”または“RECHARGE(旧式の場合)”を選択します。
チャージの場合は、予め手持ちのトロイカを挿入してから操作。投入した金額だけトロイカにチャージされる仕組みです。チャージ可能な金額は最大で3,000RUBまで。チャージには1,000RUB札までの紙幣や、1RUB等のコインも使えるのでとても便利!東京のSuicaの様に最低チャージ金額という制限も無いので、無駄に余らせる心配が無いのも嬉しいところ!
決済が完了すると、レシートが発行されます。尚、券売機にはクレジットカード(VISA、Master)のリーダーもありますが、私の持っているクレカは何れもエラーが出て使えず…。
恐らく日本で発行されたカードはまだ対応していないのだと思いますが、こういう時の為にも、現金は少し多めに用意しておいた方が安心です。
改札を通ってプラットホームへ
チケットを入手したら、改札口を通ってプラットホームへ。改札機のリーダーにICカードをタッチし、チケットが有効であれば緑のランプが点灯してゲートが開きます。
トロイカの場合、差し引き額とカード残高がディスプレイに表示されます。尚、降車駅で外に出る時は、ゲートが自動で開くのでチケットのタッチは必要ありません。
改札口からは、この様な長い長いエスカレーターに乗ってプラットホームへ。ロシアの地下鉄は、どの駅も地下深くに造られていますが、これは防空壕の役割も果たしているからなんだそう。
サンクトペテルブルクの地下鉄と比べると若干浅い気もしますが、それでも上から下まで2~3分は軽くかかってしまいます。
ホームへ着いたら、掲示板で路線と行き先を確認。駅名はロシア語と英語で表示されています。路線名はイメージカラーの付いた番号で表記されているので分かり易いです。
列車の運行時間、本数、車内の様子
地下鉄の運行時間は、概ね5:30~翌1:00過ぎまで。どの路線も日中であれば3~4分おき、深夜・早朝でも5~6分おきに運行されているので、待たずに乗れるのは嬉しいところ!
ホームの先端の所には、次の列車までの時間が表示されます。
車種は路線によってマチマチですが、一部の路線(4号線など)を覗いて年季の入った車両も多いです。ブルーに白のラインの入った車両は、サンクトペテルブルクの地下鉄ともかなり似ています。
車内は多少の古さは目立ちますが、落書きや窓のヒビ割れも無く、またゴミ一つ落ちておらず清潔で、治安の悪さは感じません。
ベンチはプラスチックの簡素なものですが、一応固めのクッションが付いています。シートピッチが日本の鉄道よりも広いので、定員で座っても隣の人と肩や肘が干渉せずに済みます。
ドア上には停車駅の案内が表示。これから停車する駅にランプが付いています。車内アナウンスもあって、ロシア語の後に英語が流れます。
目的の駅へ到着したら、出口へ向かう場合は出口の番号(黒地に黄色の数字)を、他線へ乗り換える場合は路線のナンバリングを目安に進んで行きます。
他線への乗り換えの場合、同じ駅であっても路線が変わると駅名が変わる場合があるので、予めMAPでよく確認しておくと良いでしょう(例:Pushkinskaya=Tverskaya=Chekhovskaya)。まぁ東京で言うところの“新御茶ノ水=小川町=淡路町”みたいなものですね。
いつも空いていて快適な「4号線」
尚、モスクワの地下鉄の中でも特におススメなのが4号線。これはクレムリンの最寄駅でもあるAleksandrovsky Sad駅からキエフ駅を通って郊外へ抜ける路線なのですが、この4号線は運行区間が短い為か、中心部の区間はいつも空いていて快適です!
また、他の路線では見られない最新式車両が使われているのも魅力の一つ!編成の一部には、セミクロス車の様なシート配列の車両も見られました。
尚、この4号線に限っては、ドアの開閉はヨーロッパ式。終点駅を覗いてはボタンを押さないとドアが開かないので注意が必要です。
そしてこの4号線の最大の利点は、プラットホームが地下の浅い所に造られている事!その為エスカレーターも無く、改札口から階段を十数段降りるだけでホームに着いてしまいます!
地下深くまで行く必要が無い為、地上との行き来がとても楽チン!キエフ駅方面へ用のある場合は、是非この4号線を積極的に利用したいところ。
リュックはNG?写真撮影はOK?
ところで、モスクワの地下鉄で最も懸念されるのが警戒警備。ロシアの地下鉄ではテロ対策による厳重警戒が敷かれていて、改札口からホーム上まであらゆる所に警備員がうようよいて目を光らせています。
別に悪い事をしなければ全然問題ありませんが、リュックなど少しでも大きな荷物を持っていると、改札口前で警備員に呼び止められ問答無用に別室送り…。私も滞在中は自前のリュックが餌食となり、エックス線での検査を何度も受ける葉目になりました…。
ただ、スーツケースを持った旅行者は黙認されているらしく、空港へのアクセスで地下鉄を利用した際は、リュックを背負っていてもお咎め無し。
また、各エスカレーター前に監視員室が設置されているのもロシアの地下鉄の特徴の一つ。サンクトペテルブルクでもそうでしたが、毎回地下鉄に乗る度に彼らと目が合うのはあまり良い気分じゃないです…。
ここ最近までは写真撮影もNGだったそうですが、2018年のワールドカップを契機に駅構内での写真撮影が解禁されたのだそう。まぁその方が、逆に治安の維持には繋がるのかもしれません。
駅構内は美術館の様な美しさ!
そんなモスクワの地下鉄ですが、巷で話題になっているのが駅構内の美しさ!どの駅もプラットホームを中心に絵画や銅像が多数展示されていて、まるで美術館の様なインテリアです!
デザインは駅によって様々ですが、私が訪れた中ではダントツに美しかったのは3号線のキエフスカヤ駅。出口へ向かう階段付近には、大きな絵画も設置されています。
各駅とも、大理石の柱や壁に埋め込まれた絵画は、立派な額縁に収められたモザイク画。ロシアっぽい宗教画ではなく、主に家族を描いた様な暖かみのある構図が多いです。
銅像は、主に軍人を象ったものが多く、特に若い兵士をモデルにした物が目立ちます。
駅構内には、団体ツアーの観光客の姿も。厳重警戒でピリピリしたモスクワの地下鉄ですが、こういう所を見ると少し安心できますね。
バス・トラムの乗り方
最後に、バスやトラムの乗り方について。乗車の際は、道路上に立つ看板や路線名の書かれたボードを頼りに停留所を探します。
目的のバスやトラムが到着したら、開いた扉から乗車。トラムの場合、歩道から離れた所に止まるので、車の往来には要注意です。
乗車したら、入口付近にあるリーダーにトロイカをタッチ。トロイカやメトロと共通のdayチケットを持っていない場合は、運転手に運賃を支払う必要があります。これまで訪れたロシアの他の都市では車掌が必ず乗車していましたが、モスクワのバスやトラムには車掌は居ません。
トラムは各駅停車なので、停車ボタンは無し。バスはボタンがありますが、中心部はほぼ必ず全ての停留所に止まります。
尚、バスのルート検索はGoogle Mapを活用すると便利ですが、私が使ってみた所、どういう訳か乗車したバスが検索したルートから外れてしまいました。大きく外れて反対方向へ行く様な事は無かったですが、正答率は7~8割程度という風に考えておいた方が良いかもしれません。
と言う訳で、モスクワの地下鉄・バス・トラムの乗り方についてお伝えしました!他国とはちょっと事情の異なるモスクワの交通機関ですが、安い運賃を生かして多いに活用していきたいものですね。
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