“fourplay”(フォープレイ)は、ピアノのBob James、ベースNathan East、ドラムスHarvey Mason、ギターChuck Loebの計4名から成るSmooth Jazzの巨匠グループです。米国に拠点を置くグループですが、日本にも度々来日し、「ブルーノート東京」でライブが開催されれば、連日チケットSold oudは必至の人気グループです。
私も彼らの音楽にハマッている一人なのですが、最近彼らの演奏に陰りが見え始めた、と言いますか、年々弱々しくなっていく演奏に、少し心配しています。それもそのはず、1980年代から世界的に活躍していただけに、Bob James氏は今年で76歳、Harvey Maoson氏も68歳、残る若い2名ですら今年の12月で還暦を迎えますから、体力の衰えに関しては避けられないのも無理はありません。
今日は、彼らの音楽が一日も長く聴く事が出来るよう、労いと尊敬の意味も込めて記事を書きたいと思います。
東京Jazz2015での歴史的なセッション
fourplayは、今年9月に有楽町の国際フォーラムで開催された“東京Jazz2015”にも出演し、聴衆を沸かせましたが、このステージで歴史的なスペシャル・セッションが繰り広げられた事は、ファンの方にとっては記憶に新しい事と思います。
というのも、fourplayのギターChuck Loeb氏は3代目のギタリストで、初代Lee Ritenour氏と2代目Larry Carlton氏がこのステージの途中から飛び入り参加し、fourplayと歴代ギタリストとの夢のコラボが実現しました。
私がfourplayを知った時には既に現在のメンバー構成であった為、特に初代Lee Ritenour氏がBob James氏やHarvey Mason氏とセッションする姿はDVDでしか見たことが無かった為、このステージは天にも昇る心地で見届けておりました。
数々の名盤を残す巨匠グループ
彼らの曲で最も有名かつ人気の曲といえば《CHANT》や《101 EAST BOUND》を思い浮かべますが、DVD「AN EVENING fourplay」にはこれらの曲の他、名曲《MONTEREY》や《BALI RUN》も収録されており、特別ゲスト・ヴォーカルが成す美しいコーラスも相成って、最高の一枚(2枚組みですが)となっています。
収録は1993年との事で、まだLee Ritenour氏がギタリストを務める他、Harvey Mason氏もホッソリとしている頃で、各位とも脂の乗った最高のパフォーマンスを繰り広げています。その他の人気曲としては《Westchester Lady》が挙げられますが、これはfourplayの曲というよりはBob James氏の曲で、グループ結成前から各所で演奏されています。
このDVD「Bob James Live At Montreux」には、上記より更に前の1985年の映像が収録されており、Bob James氏の他、若きHarvey Mason氏のパワー溢れるパフォーマンスを見る事が出来ます。ここに収録されている《Westchester Lady》は、後の映像ではあまり見られないアップテンポで非常にノリが良く、豪快な演奏で私のお気に入りの一つとなっており、このDVDを勧める理由となっています。
後者は既に絶版となっている様で、今ではなかなか手に入りにくいかと思いますが、以前TSUTAYAで見つけた事がありますので、是非とも探して聴いてみて頂きたいと思います。
近年の演奏に不安要素
彼らの演奏に不安を感じ始めたのは3年前、この年の9月に発売された「ESPRIT
DE FOUR」というCDを聴いた時の事です。
特に2曲目《FIREFLY》を聴いた時、ドラムスにキレが無いというか、前項で紹介したDVDでのHarvey Masonの演奏からは想像つかない程“打点のタイミングが甘い”という印象を持ちました。ですが、レコーディングの都合など、CDならではの問題も有るかと思い、特に大きな心配はしていませんでした。
しかし、Harvey Mason氏への不安は現実のものとなってしまいます。翌2013年2月、アキレス腱の怪我によって、ブルーノート東京のライブに出場する事は適いませんでした。当日は、彼の代わりに若いドラムスが新たなる旋風を巻き起こしてくれましたが、4名揃ったfourplayを一目見たかったファンにとっては非常に残念である上、今後のグループへの心配も沸きあがったに違いありません。
Harvey Mason復帰後の演奏
しかしその後直ぐに復帰を果たし、翌2014年9月のブルーノート東京でのライブには、4名揃ったfourplayの姿がありました。私も心を躍らせてライブへと足を運び、彼らの演奏に聴き入っていましたが、やはりどうしてもリズムの衰えは隠せない様で、音楽に張りが無く勢いに欠ける、そしてリズムや音に所々空白が生まれる、そんな印象を持ちました。そして今年の東京Jazz、遂にはBob James氏のピアノにも衰えが感じられる様になっていました。彼のインプロヴィゼーションを聴いても、見事なタイミングや和声感が伝わってくる一方で、速いパッセージを極力控える様な音の運びや、力の乗らない打鍵が見られ、76歳の年齢を少しずつ感じる様になってきました。
まだ若い2名の音からは衰えはさほど感じられませんが、「旋律」「和声」「リズム」という音楽の重要な要素をつかさどる2名が最年長とあって、fourplayもいよいよ晩年を迎えつつあるのかと、少し寂しい気持ちになります。 それでも、今年にNewアルバムをリリースする等、まだまだ精力的に活動を続けているfourplayを、これからも応援し続ける事は言うまでもありません。時に、彼らがこれまでに残した名作を聴き続け、自身の音楽への糧になればと思っています。