ベルギーのブリュッセルで行われている「エリザベート王妃国際音楽コンクール2016」ピアノ部門のセミ・ファイナル審査が終了し、日本人コンテスタント2名が見事ファイナル進出を果たされました!
セミファイナルでは「Recital」と「Concerto」に分けて演奏し、それぞれ別の日程で審査が行われましたが、2名とも貫禄の演奏で聴衆を魅了されていましたね。
特に最終日に「Concerto」を演奏された岡田奏さん。11日「Recital」の演奏では、やや固くなってしまって音が飛んでいなかった印象を持ちましたが、モーツァルトのコンチェルトでは抜群の安定感を誇る貫禄の演奏、明るいトーンで誰よりも華のある美しい演奏だったと思います。
PIANO 2016 Finalists
- Ms Yoonji Kim
- Mr Atsushi Imada
- Mr Alexander Beyer
- Mr Hans H. Suh
- Mr Aljoša Jurinić
- Mr Chi Ho Han
- Mr Larry Weng
- Mr Lukáš Vondráček
- Mr Dmitry Shishkin
- Mr Alberto Ferro
- Ms Kana Okada
- Mr Henry Kramer
今田篤さん共々、ファイナルでも素晴らしい演奏を期待したいですね。ファイナルは5/23(月)~28(土)、いずれも現地時間20時から(日本時間27時)の為、ライブストリーミングでの観賞は難しそうです…。アーカイブの映像を観て応援したいと思います。
クラスター奏法の弾き方
ところで今回のセミファイナルで課題曲となったFabian Fiorini氏作曲の≪Tears of Lights≫という作品。絵に描いた様な“無調・現代音楽”でしたが、この作品の終盤で、鍵盤をグシャっと押しつぶして弾く“クラスター奏法”の部分があったので、少し注目していました。
この部分を今田さんは“グー”で弾き、岡田さんは“パー”で弾かれていたのが印象的で、他にも工夫をこらした奏法が見られたのは面白かったです。カメラワークも上手い事やっていて、大概このクラスターの部分になるとトップから鍵盤全体が見渡せるアングルに切り替わっていました。幸いにして楽譜の一部が映っていましたが、残念ながら当該箇所がどの様な譜づらになっているのか判断するには至りません…。
これは、とある作品のクラスター奏法の部分ですが、ご覧の様にクラスターと言えども押さえる鍵盤が明確に指示されている場合もあります。コンクールの各奏者の映像を見ていると、白鍵を中心に押さえている様に見えたので、恐らくこんな感じの楽譜なのかなぁと、勝手に想像しています。
クラスターの中には、この様に範囲が塗りつぶされているだけのものもあって、ある意味“奏者泣かせ”ですよね。これは混声合唱曲≪原爆小景/林光≫の一部分ですが、定められた音程の中でクラスターを行って、更にそれが移り変わってゆくという、なんともハイレベルな譜づらです。エリザベート王妃国際音楽コンクールのファイナルでは、また新たな未発表曲が演奏されますので、“無調”にはあまり縁の無い私ですが、楽しみにしたいと思います。それ以上に、1週間この曲の為に隔離されたコンテスタント達がどの様な演奏を繰り広げるのか、そちらの方に興味がそそられます。