ブルネイの首都バンダル・スリ・ブガワンには「カンポン・アイール」と呼ばれる世界最大の水上集落があるのですが、行ってみるとこれが想像以上に怖かった…!
今にも崩れてしまいそうな腐りかけた桟橋、人がすれ違うのもやっとなくらい細い道で、いつ足を踏み外して水辺へ落ちてしまってもおかしくない程。まるでどこか公園のアスレチックを体験しているかの様な、非日常の光景が広がっていました。
そんな高所・閉所・桟橋恐怖症の人は絶対NGの超危険な水上集落がどんな所なのか、レポートします!
目次
ブルネイ川に広がる水上集落
水上集落「カンポン・アイール」があるのは、ブルネイの首都バンダル・スリ・ブガワン市街の南側。ブルネイ川の向こう岸に沿う様な形で集落が形成されています。
世界最大の水上集落としても知られていて、集落全体の人口は4万人弱。ブルネイ政府によって電気・水道などのインフラも整えられて、交番などの公共施設も揃っているとの事。
数百年という長い歴史もあり、一時期は”東洋のベニス”と称された時代もあったそうですが、イタリアのそれと比べたら流石にちょっと無理がありますね…。
水上タクシーで向かう
このカンポン・アイールへ向かうには、水上タクシーを利用します。ブルネイ川に面した歴史博物館の前に船着き場があり、ここが水上タクシーの主な発着場になっている模様。
水上タクシーは10人乗り程度の小さなボートで、テント素材の屋根付き。乗船手続き等は特に無く、船主に乗りたい意志を伝えて(伝えなくても向こうから客引きしてくる)船に乗り込むだけです。
対岸までの所要時間は1分ほど。こう見えてかなりスピードを出すので、初めて乗る時はびっくりします!
船主は陽気で気さくな人ばかり。それは良いのですが、「〇〇ドルで周遊ツアーをやっているけどどうだ?」等とやたら観光案内を押し勧めてくるのでウザいです。
「対岸までダイレクトに!」と念を押しておかないと、変な所へ連れていかれそうで怖い…。
運賃は路線バスと同じ、一人片道$1。シンガポールドルでもOKで、おつりもちゃんと貰えます。
それにしてもこの水上タクシー、よほど観光客に飢えているのか、とにかく客引きが激しい…。桟橋も何も無い所でちょっと川を眺めているだけで、たちまち何隻ものボートから声を掛けられてしまいます。
逆に言えば、乗りたい時にちょっと川岸に出れば30秒と経たずに捕まるので、便利と言えば便利なのかもしれません。
コンクリートの遊歩道がある
集落側の発着場はいくつもあるのですが、私が降ろされたのはJETI 2(Port 2)と書かれた船着き場。
ここは集落の北端に位置する所ですが、どういう訳か噂に聞いていた木造の桟橋とは全然違って、辺りは真新しい立派なコンクリート造り。
どうやらこれは後になって新設された遊歩道らしく、環状道路の様な形で集落の各所へピンポイントでアクセス出来る様になっています。
所々で小高くなった箇所があり、そこから集落を見渡す事も可能。こうして見ると、なんだか不気味なほど静まり返った集落でちょっと戦々恐々…。
今にも崩れそうな危ない道
さて、集落の方へ入って行ったのですが、これが思っていた以上に怖い…!
幅1メートルあるか無いかの狭い桟橋、常にギシギシと軋む音、左右に小刻みに揺れる所もあって、まるでどこか公園のアスレチックに挑んでいるかの様な気分です。
歴史ある集落とあって桟橋はかなり古く、接ぎ木や腐食は当たり前。常に木の密度の高いところを選んで足を置いていかないと、マジで危ないです。
中にはこんなガタガタになった桟橋も!流石にここは足がすくんで進む事が出来なかった…。
中には基礎がむき出しになった所もあり、ひょっとしたら修繕工事すらままならないのかもしれません。
街灯もあって無い様なものなので、夜はおろか雨の日は絶対に行かない方が良さそうです。
ほぼ誰も居ない集落
それにしても、この集落の静かな事…。歩けど歩けど人っ子一人おらず、まるで廃墟の中を歩いているかの様な感覚です。
生き物で見かけるのは所々で飼われている養鶏、それと野鳥の声くらいかな…。家の中から聞こえてくるはずの声すら無く、不気味なほどひっそりと静まり返った集落。
各民家にはこういった船着き場があって、恐らく船を車代わりにして使っているものと思われますが、だからこそ集落を出歩く事が少ないのかもしれません。
ただ一度だけ、遭遇したのはこのムスリムらしき家族のみ。まぁ何とも平穏な日常風景ですね、治安の良さを物語っています。
開いている店が無い
そんな中、せっかく来たのだから集落にあるカフェにでも入ってお茶でも…と思っていたのですが、そんな洒落た店などどこにも見当たらず。
そればかりかGoogle Mapで飲食店のマークを目当てに訪ねてみても、営業中はおろか店らしい店すら一軒も見つける事が出来ません。
まぁこれだけ人が出歩かない地域なので仕方ないと言えば仕方ないですが…。
ただ一つ夜のみ営業の飲食店らしき店があったので、恐らく個人経営で地元民向けの飲食店は何軒かあるのでしょう。
夜になって地元民が帰ってくれば集落もまた違った雰囲気になるかもしれませんが、こんなアブナイ所を夜に歩くなんて…観光客にはハードルが高いです。
カンポン・アイール博物館
そんな水上集落の中で唯一営業していたのが、こちらのKampong Ayer Museum。集落の北側に位置する博物館です。
オープンは2009年。集落が見渡せる展望所も併設されています。
集落からは橋桁で繋がっていて徒歩でアクセス可能ですが、時間帯によって博物館へ繋がる2本の通路のうち片方が通行止めになる様なので、向かう際は注意が必要。
受付で名前と国と日付を記入して入場。料金は無料です。
内部は2つのフロアに分かれていて、一つは集落の紹介や観光の喚起、その奥に民芸品等が展示されたもう一つのフロアがあります(奥のフロアは撮影禁止)。
特にめぼしいものは無いですが、クーラーが効いて涼しいしベンチやトイレもあるので、休憩には丁度良いです。
最初のフロアにも幾つか展示品があって、ブルネイの民族衣装や集落の風景画など。値札が貼ってあるので販売もされている様ですが、絵画一つ$100前後と結構良いお値段しますね!
是非一度は訪れてみたい!
と言う訳で、世界最大の水上集落カンポン・アイールを散策してみましたが、超退屈なブルネイの観光スポットの中で唯一ここだけは行くべきだと感じる程、なかなか良い体験が出来ました!
それにしても、あんな人っ子一人で歩かない所で水辺に落ちてしまったら、恐らく誰にも助けて貰えないだろうな…。