本日4月1日より、JALやANAの国際線に付加される燃油サーチャージが値上がりし、昨日までの2倍徴収される様になりました。今日は2ヶ月に一度の燃油サーチャージを予測する回という事で、今後の原油価格やドル円為替相場の動き等を見ていきたいと思います。
下抜けに失敗したWTI原油
原油価格に関しては、昨年12月に行われたOPEC減産合意によって今後の大幅な値下がりが絶望的になりましたが、WTIのチャートを注視しているとテクニカル的にも下値が堅くなってしまっています。
これはWTI原油の週足チャートですが、昨年の4月からおよそ4ヶ月ごとに一時的に下落して下ヒゲをつける局面があって、それらを結ぶトレンドラインが綺麗に出来ているのがわかります。
これら計4回とも、下落基調の中でOPECが原油の減産について何かしらの発言をした事がきっかけでトレンドが変わったポイントなのですが、昨年12月の原産合意以外は正式な決定が為されたものではなく、今後の減産を示唆しただけの“口先介入”です。この4回目のポイントとなる先週も、せっかくチャートが下落基調にあってこのトレンドラインをいよいよ下抜けするか!?と期待していたのですが、OPECが減産延長を示唆した事によってまた下抜けに失敗。今年最大の上げ幅となって、WTI原油はまた50ドルを超えてしまいました。
この様に、サポートとなっているトレンドラインを下抜けしそうになるとOPECが口先介入によって値を吊り上げてくる、そんな意図的な価格操作によって、WTI原油はいよいよ50ドルを下回らなくなる様な勢いです。
そんな今後の値下がりが厳しい原油価格ですが、この2ヶ月間のみの値動きだけに注視すると大きな変動は無い模様。それに伴ってシンガポールケロシンの価格も、60ドル台中盤での動きに終始する形となりました。燃油サーチャージ発生の基準となる60ドルを下回らない事が、何だか当たり前の様になってきてしまいましたね…。
ドル円は方向感なし
一方、米ドル/円のチャートを見ると、こちらも110円台前半での動きに終始していて方向感が無くなっています。麻生大臣による先の発言によって120円を越えて行く様な可能性は低くなりましたが、先週初めの下ヒゲが示している様に110円ラインは底堅く、ここを突破するのは容易では無いですね。
もし下落したとしても、100円台には本邦勢によるバリバリの買いが待ち受けていますし、また是が非でも100円割れを防ぎたい政府日銀による口先介入も出て来るでしょうから、今の水準は当面の間続くのではないでしょうか?
2017年6月7月の燃油サーチャージを算出
それでは、2017年2月~3月のシンガポールケロシンおよびドル円の平均価格から、2017年6月~7月発券の国際線運賃に付加される燃油サーチャージを予測していきます。
2月~3月「ケロシン」平均値…63.9ドル(a)
2月~3月「米ドル/円」平均値…112.9円(b)
(a)×(b)=7,214円(※筆者独自観測、端数切捨)
2017年6月~7月発券の国際線航空券に課される燃油サーチャージ
→ゾーンB(継続)
前回より200円ほど値下がりしましたが、まだまだゾーンBは堅いです。今後、原油価格が50ドルを下回らずに上昇トレンドが続けば、ゾーンCやDは免れないでしょう。
となれば、望みの綱はドル/円のみ。願わくば、日銀によるQE(量的緩和)がそろそろ限界に来て、その縮小が示唆される事です。過去の「黒田バズーカ」の逆の様な事が起これば、米ドルが大幅に下落して原油上昇分のサーチャージ値上がりを緩和してくれるはずです。兎にも角にも、トランプ大統領就任以前の水準に、先ずは戻してもらいたいものですね。
過去の燃油サーチャージ予測や算出方法などについては「燃油サーチャージ」のカテゴリーをご覧下さい。