JALやANA国際線の航空券運賃に付加される燃油サーチャージの価格は、原油価格と連動したシンガポールケロシンの値と、米ドル/円の為替レートよって算出され、2ヶ月に一度更新されます。2014年中頃まで続いていた原油価格の高騰が是正され、昨年には1バレル30ドル以下の水準にまで下落、それに伴って燃油サーチャージも無料となっていました。
しかしここ1~2ヶ月の間に潮目が変わり、徐々に燃油サーチャージ再徴収への不安が高まる中、トランプノミクス、そしてOPEC減産合意…、海外旅行を計画している者にとって、最近は溜め息の出るニュースばかりですね。
この記事では、今月10日ごろに発表される2017年2月~3月発券分の燃油サーチャージを、独自の算出によって導き出し、以下の通り予測しています。
まだまだ止まらない米ドルの暴騰!
トランプノミクスによる米ドルの暴騰、未だ勢いが止まる気配を見せませんね。ヒラリー氏勝利を誰もが予想した米国大統領選、その予想を覆すサプライズによってリスク回避の円高が進むものと思いきや、これまた真逆の円安ドル高。しかも僅か半月で13円という歴史上類稀に見る暴騰は、1995年以来の事なんだとか。
しかし呆れてしまうのは麻生財務大臣の発言。以前、ドル円が瞬間的に100円割れした際には「為替の急激な変動は経済に悪影響を及ぼす」なんて言っておきながら、今回僅か半月で13円上昇という歴史的な暴騰にも関わらず「大分為替が落ち着いて来た」との何とも的外れな発言をしていました。
今回のトランプノミクスは輸出企業にとっては“棚ぼた”でしょうが、原材料費の高騰で苦しんでいる小売業者の目の前で同じ発言が出来るのでしょうか?
OPEC総会で遂に減産合意
円安ドル高に追い討ちをかける様に、原油価格に関しても嫌なニュースが入って来ました。昨日開かれていたOPEC総会で、遂に原油の減産が合意に至り、これによって昨日はおよそ10%値上がりしています。11月30日の出来事なので、今回の燃油サーチャージ算出には影響ありませんが、今後ますますの原油価格上昇が危惧されます。
今回の減産合意は原油価格の低迷を脱する事が主な目的との事ですが、そもそも今世紀初頭まで原油価格は20~30ドル台で推移していた訳で、それに比べると今の水準でも十分高値ですよね。あの投機が投機を呼んだ2008年の1バレル140ドル台というメチャクチャな相場と比較されても困ります…。
2017年2月~3月発券 燃油サーチャージを予測
それでは、2016年10月、11月のシンガポールケロシンおよびドル円の平均価格から、2017年2月~3月発券の国際線運賃に付加される燃油サーチャージを予測していきます。
10月~11月「ケロシン」平均値…58.7ドル(a)
10月~11月「米ドル/円」平均値…106.3円(b)
(a)×(b)=6,238円(※筆者独自観測、端数切捨)
2017年2月~3月発券の国際線航空券に課される燃油サーチャージ
→ゾーンA(適用再開)
遂に燃油サーチャージ適用再開となる見込みです…。今年4月に廃止になって以来9ヶ月ぶりの悲劇到来!この燃油サーチャージ適用表を見るとまだまだ安い水準ではありますが、そもそも無料であるはずの特典航空券に数万円もの付加運賃を課すなんてオカシイですよね。
止まる気配を見せないトランプノミクス、そして減産合意に至った原油価格。海外旅行には冬の時代がやって来そうです。オセアニアや欧州、米国行きの特典航空券の発券を予定されている方は、是非とも来年1月までに済ませておく事をおススメします。