JALよりプレスリリースが発表され、4月以降の燃油サーチャージが廃止になる事が決定致しました。
先日の記事で、今年1月までのシンガポール・ケロシン価格の推移から、4月以降発券に課される燃油サーチャージを予測していましたが、予測通り廃止が決まってホッと胸を撫で下ろしています。そこで、このまま無事に燃油サーチャージが廃止になれば、航空運賃はどのくらい安くなるのか、一例を見てみる事にします。
こちらは東京発フランクフルト行きの運賃で、エコノミークラスの最安値(ダイナミックセイバー・タイプF)を表示しています。現在の総支払額は¥95,190と出ていますが、ここから燃油サーチャージ(¥14,000)を引くと¥81,190となります。ヨーロッパ行きの同運賃は、一時期12万円を超えていましたから、およそ3分の2まで値下がりする事になります。
続いてシドニー行き。こちらも欧州同様¥14,000のサーチャージを引くと¥75,480。シドニーも一時は10万円を超えていましたので、随分お手ごろになったなという印象です。
もう一つ、シンガポール行きを見てみると、現在の¥51,010から往復のサーチャージ(¥6,000)を引くと、総支払額は¥45,010にまで下がります。これは一昔前の台北行きやソウル行きの水準ですから、下手をすると国内線を往復する感覚で赤道付近まで飛ぶ事が出来る様になります。
運賃体系の改定が行われない事を祈るばかり
これまで再三に渡り記載してきた運賃体系の改定について、やはりこれが大きな懸念材料として残ります。
この様に、JALの運賃額のみ(サーチャージや税金を差し引いた額)の値は、サーチャージが高額だった頃にくらべて値上がりしています。これはサーチャージ値下げによって徴収しきれなくなった収益を「運賃」に転化しているもので、航空会社の減収を抑える目的であると考えられます。
また、原油価格がまだまだ高額だった昨年上半期までの間、JAL、ANAとも2ヶ月ごとに行われる燃油サーチャージの発表時期は、確定となる偶数月の初旬にはプレスリリースとして出されていました。しかし“サーチャージ廃止”が囁かれる様になった昨年の8月以降、その発表は以前より1週間から10日程遅くなっています。この様な発表の遅れは、強かな運賃体系改悪への検討が水面下で進められている事の証明なのではないか、との疑いの念を持っていましたが、今回の発表は2月の9日と早く、これが何を意味するのか、気になる所です。
どの様な改悪が考えられるか?
今後考えられる改悪要素は次の通りです。
- 運賃(サーチャージや税金を差し引いた額)の値上げ
- サーチャージ対応表の値上げ
- サーチャージ対応表の適応基準変更
- サーチャージ込みの運賃表示に変更
この内①と②に関しては、これまでも幾度となく行われてきました。しかし②の様に個別のサーチャージの金額を上げたとしても、シンガポール・ケロシンが¥6,000を下回る4月以降の水準では意味がありませんから、それよりも③の方が可能性としては濃厚な気がします。
仮にサーチャージ適用基準がこれより¥1,000引き下がったとすると、今度改定される基準は5,000円を超えていますから(JAL燃油サーチャージ(2016年4月~5月発券分)を予測参照)、その瞬間にサーチャージ廃止は見送られる事になります。
しかし今度の4月~5月分に関しては「サーチャージ廃止」とハッキリ発表している訳ですから、万が一変更されるにしても6月以降である事は確実でしょう。また、サーチャージを運賃に組み込んで初めから総額表示にする事により、サーチャージや運賃の個別の値上げを曖昧にする事も考えられます。もしそうなれば燃油サーチャージが導入された時以来の大改定となりますが、原油価格が今後も低い水準で推移する事が予測されている事から、こうした可能性は否定出来ないでしょう。
今後もJALの動向に注視して行きたいと思います。