JALやANAにおける、来月4月1日からの燃油サーチャージ廃止が決まってから1ヶ月程経ちました。海外旅行へ頻繁に行かれる方の中には、来月からの集中発券に向けた準備を進めている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
昨年より長らく続いていた原油価格の下落トレンドは、今年1月20日まで順調に続いていたものの、WTI原油は1バレル20ドル台後半で足踏み。その後は30ドル台前半を中心としたレンジでの推移に留まっています。ガソリン価格の安値と共に、更なる下落を期待している方もいらっしゃるかもしれませんが、1バレル25ドルを割り込めば市場はパニックになるとも言われており、取り急ぎ目先の下落基調は止まったと見るのが有力でしょう。
燃油サーチャージの復活はあり得るか?
燃油サーチャージの基準となる「シンガポール・ケロシン」は、WTI等の原油価格と連動しており、大体WTIの+10ドルくらいの価格になります。2月は概ね40ドル前後で推移していました。
以前【JAL燃油サーチャージ(2016年4月~5月発券分)を予測】の記事で、「ケロシン価格が49ドルを超えると燃油サーチャージ復活の恐れがある」と述べましたが、ここ最近のやや円高基調によって、その水準は少し下がりました。2月の「米ドル/円」の平均値はおよそ114円でしたので、このままの水準ですと52ドル付近までは耐えられるものと思います。
米ドルの更なる下落はあり得るか?
燃油サーチャージの適用基準に「米ドル」の価格も含まれる事から、米ドル/円の為替推移も気になる所です。ここ最近は、中国景気減速や原油価格下落等を筆頭とする世界景気減速懸念に伴って、リスク回避の円買いが進んだ事により、通貨によってはアベノミクス政策以前の水準にまで落ち込んだもの(豪ドル)もあるくらいです。
ただ、それは日本の円安政策の一方で、アメリカの異常なまでの“ドル高”が原因であり、米ドルだけが全ての通貨に対して圧倒的な強さを誇っている為、その他の通貨が相対的に弱くなってしまっています。
これによって、黒田バズーカ第3弾以降、未曾有の急落に苛まれたドル円ですが、それでもまだまだ“円安ドル高”基調である事には変わりなく、これが燃油サーチャージの適用基準を引き下げてしまう事への大きな懸念となっています。
3月は日銀の会合に注目
次の日銀金融政策決定会合は3月14日、15日です。15日の正午ごろ金融政策が発表されますが、大企業の企業収益レートが“1ドル=118円”に制定されている事から、是が非でも円安に仕向ける何かしらの政策が成されるのではないでしょうか?何故ならこのまま110円台前半での推移が長く続けば、企業は業績見通しを下方修正せざるを得ませんし、それによる景気減速懸念は、更なる円高を生む要因にもなり兼ねます。毎年3月4月はリスクオン相場になり易く、今後次第に市場が落ち着きを取り戻せば、絶好のチャンスと捉えて“サプライズ”があるかもしれませんね。
2月のケロシン価格が4,680円(筆者独自観測)と、燃油サーチャージ適用基準となる6,000円まで余裕がある事から、このまま3月も急激な相場変動が無い限りは、その先の6月~7月発券に関してもサーチャージの適用は免れるのではないかと思っています。
ますます目が放せない原油とドル円相場に、これからも注目していきたいと思います。