2ヶ月に一度更新される燃油サーチャージ。国際線の航空運賃に付加される諸税のひとつで、ジェット燃料の基となる石油成分「シンガポールケロシン」の価格と米ドルの為替レートによって、その金額が決定されるのですが、原油高の局面では航空運賃よりも高額となる場合もあり、海外旅行の大きな懸念材料となっています。
当ブログでは2ヶ月に一度、JAL(ANAも毎回同額)の燃油サーチャージを公式発表の前に、独自の観測から算出する試みを行っています。
6月~7月のケロシン価格とドル/円の動き
シンガポールケロシンは、今年2月11日に37ドル台の安値を付けた後、夏場に向けて右肩上がりの上昇を続け、6月8日には60ドルの大台に乗せました。その後は上昇が一服、最近の7月29日には50ドルを割り込む水準まで下落しています。
一方ドル/円は、7月の終値が102円7銭。6月の初値は110円を超えていましたが、“ブレグジット”等を経ておよそ8円の下落。昨年の同時期に1ドル=125円を付けてからは下落トレンドが継続、最高値より2割ほど円安が是正されました。
燃油サーチャージは、本来シンガポールケロシンの価格のみで算出されていましたが、円安による経費圧迫を理由に昨年の4月から「米ドル/円」の為替レートを乗じる方法に変更されました。これは“1ドル=100円”を±0の基準とする為、100円より円安の水準では以前よりサーチャージが値上がりします。JALおよびANAは、この算出方法の変更を1ドル=120円水準の時に決定し、しかもこれが原油価格が下落基調に入った時期と重なった為、サーチャージ下落による利益圧迫を見かねた策略だとして、多くの批判を浴びました。今後、1ドル=90円も視野に入ったとされる中、各社の対応が注目される事でしょう。
10月~11月発券の燃油サーチャージ
それでは、JAL燃油サーチャージ(10月~11月発券分)の価格を、6月~7月のシンガポールケロシン価格の推移と、米ドル/円の動きから予測していきます。
6月~7月「シンガポールケロシン」平均値…56.49ドル(a)
6月~7月「米ドル/円」平均値…104.78円(b)
(a)×(b)=5,919円(※筆者独自観測、端数切捨)
2016年10月~11月発券の国際線航空券に課される燃油サーチャージ
適用なし(継続)※ギリギリセーフ?
正にギリギリです!実際に公式発表される値とは若干異なる為、場合によっては6,000円を超えてサーチャージ適用と成り得る可能性もあります。しかしこれまでの所、公式発表との誤差は29円以内に収まっているので、恐らく大丈夫かと…。
運賃の値上がりが懸念材料
2月から4ヶ月に渡る原油価格の上昇が一服し、加えて過度な円安も是正されつつある事から、個人旅行者にとって追い風となりつつある様です。しかし国際線の航空運賃をよく見てみると、サーチャージ等の諸税を差し引いた「運賃」部分の価格は、サーチャージが高額だった頃と比べておよそ3割も値上がりしていますから、総支払額は2割程度しか安くなっていないのが現状です。
こんな時にこそ、諸税だけで発券できる特典航空券を積極的に使っていきたいものですね。