JAL燃油サーチャージを予測(2016年2~3月発券分)

本日12/1発券より、各航空会社の燃油サーチャージが変更となりました。これまでの「ゾーンC」から「ゾーンB」へと変わり、これまで21,000円かかっていた欧州往復にかかる燃油サーチャージの額は14,000円へと値下がりしました。

値下げは喜ばしい事ですが、ご承知の通り今年から“$1=\100”を基準とする何とも身勝手な制度を設けて大幅な値上げが行われました。シンガポールケロシンの値はとっくに1バレル=$60を切っていますから、本来であれば「ゾーンA」を下回って燃油サーチャージ廃止となっている筈です。


さて、この10月~11月のシンガポールケロシンの値から、2016年2月~3月発券の燃油サーチャージを予測していきます。

10月~11月「シンガポールケロシン」平均値…58.5ドル(a)

10月~11月「米ドル/円」平均値…121.4円(b)

(a)×(b)=7102円(※筆者独自観測、端数切捨)

 JAL燃油サーチャージ対象表

2016年2月~3月発券の国際線航空券に課される燃油サーチャージは

ゾーンB(現状維持)

この期間のシンガポールケロシンは、思ったほど下がらなかったという印象を持ちます。10月初頭の急騰に加え、最近はパリの同時テロを筆頭に地政学的リスクが高まっている影響で、原油がなかなか下がりません。

ドル/円の為替動向は相変わらず膠着していましたから、その平均値も前期間とほぼ同じ値となりました。今回もギリギリでゾーンAへの下落は望めないでしょう。

今後の予測

米ドルの為替動向に関しては、今月半ばの「米国の利上げ」を目処に、その後は下落に転じると予想しているアナリストを多く見かけます。しかし、日銀の追加緩和が年明け早々に行われるかもしれない、という観測もある事から、ドル/円は下げ渋り、今後暫くは“横ばいかやや上昇”と予想します。

とは言うものの、今後の方向感を見定めるには、今週3日のECB政策金利、および4日の米国雇用統計の発表を受けた値動きを見極める必要がありますね。原油価格に関しては、パリやベルギーの厳戒態勢に一定の目処がつけば、また少しずつ下落していくのではないかと思いますが、近年下落を続けて来た「豪ドル/米ドル」が、米国の利上げをきっかけに上昇に転じる可能性があり、それと連動して原油、ケロシンが上昇する事が考えられます。

「ドル/円」も下げ渋る事から、翌4月~5月発券の燃油サーチャージは、1段階程度の値上げ(ゾーンC)は覚悟する必要があるかもしれませんね。

燃油サーチャージが下がっても総支払額の下落は期待できない

この12/1よりサーチャージが1段階値下げとなったにも関わらず、方面にもよりますが、航空券の総支払額が全く値下がりしていないケースがあります。

例えば東京発シンガポール行き、最安値となるダイナミックセイバー/タイプFの運賃(サーチャージや空港税等を除いたもの)は39,000円ですが、去る11/25までは36,000円でした。燃油サーチャージがゾーンCからゾーンBへ変更に伴い、東南アジア線は往復3,000円の値下がりとなりましたから、これに合わせての値上げでしょう。他にも、オーストラリア線では7,000円の値上げが成されていますから、ここ最近の原油値下がりの恩恵は受けられない事になります。

これまでにも「運賃」と「サーチャージ」は、同様の相対関係であった事は事実ですが、結局は航空会社が儲かる仕組みになっているのですね。一時期よりは安くなったとは言え、航空各社は“現在の「総支払額」が最低水準”と認識しているのかもしれません。