衝撃のニュースが飛び込んで来ました。成田とウィーンをデイリーで結ぶオーストリア航空が、今年の9月4日をもって日本路線から撤退するそうです。
※この記事は2016年4月執筆のものです。オーストリア航空の日本路線はその後2018年5月に復活!その模様はコチラ→オーストリア航空ビジネスクラス搭乗記/成田行き運行再開!シートとアメニティ
オーストリア航空は今回の日本撤退に対して、日本市場における将来のマーケットを見据えて撤退を決め、替わりに上海、香港線を新たに開設して、急上昇する中国の需要に応える為としています。これまで同路線は、B777-200という大型機での運行で、決して需要が少ないとは思えないのですが、それ以上に急進する中国路線へのシフトを一番の理由に掲げている様です。
また、円安での不採算による事も撤退の理由の一つだそうで、政府による過剰な円安誘導がこういう所にも弊害として表れていると思うと、残念でなりません。
国立歌劇場の日本語アナウンス
日本人のウィーンに対する高い需要を表すものと言えば、ウィーン国立歌劇場(シュターツオーパー)での開演前アナウンスに象徴されますよね。「携帯電話の電源をお切り下さい」というアナウンスが、ドイツ語、英語に続いて日本語で流れるのには、初めて訪れた時は大変驚きました。
まぁ言い換えれば、日本人のマナー厳守に対して釘を刺されていると言えなくもないですが、それだけ訪れる人数が多いという事でしょう。しかしこれが中国語に取って代わるのも、時間の問題かもしれませんね。マナー云々に関しては、恐らく日本人以上に考慮する必要があるでしょうから、尚更その時はすぐ来るかもしれません。
オーストリア航空Yクラスの座席は座りにくい
オーストリア航空の日本撤退は大変残念な事ですが、しかし日本人の利用者にとっては、必ずしも快適な機内ではなかった様に思えます。私は以前、オーストリア航空を使ってウィーンへ飛んだ事がありますが、座席の快適性に関しては不満の残るフライトとなりました。
オーストリア航空のエコノミークラスの座席は、長身のドイツ民に合わせて座面がとても高く設定されており、普通に座ると、日本人男性の平均身長である私でも踵が浮いてしまい、これが長時間の腿の圧迫に繋がります。唯一の救いとして、エコノミーと言えどもフットレストが付いているのでまだ耐えられましたが、10時間を超えるフライトでは、披露感が増す要因の一つとなり得る事でしょう。こうした点が重なって、日本人利用者の需要に陰りが見えていたのかもしれませんね。
ANAは混雑増加か?
オーストリア航空と同じスターアライアンスに加盟しているANAでは、同HPからANA便名のコードシェア便でウィーンへ行く事が出来、またウィーンから欧州各都市への乗り継ぎ需要が確立されています。しかしこれが撤退となりますと、その分の需要が他の路線へシフトし、搭乗率が上がって時期によっては混雑するかもしれません。
ただ、元々ヨーロッパには強いANAですし、またスターアライアンスでも他にルフトハンザ等が多数揃っていますから、それ程大きな影響は受けないかもしれませんね。何と言っても一番の痛手は、“音楽の都”と結ばれていた糸が切れてしまう事でしょう…。
今やJAL信者の私からすると、これを機に来年あたりJALが直行便を就航させてくれないかと、穂のかな期待を寄せていますが、スターアライアンスのメッカであるウィーン国際空港へ飛んだとしても、そこからの乗り継ぎ需要が見込めないので、まずあり得ないでしょうね。
そう考えると、逆にANAの方がウィーン直行便を就航させる可能性の方が高いかもしれません。実現の可否は、ANAが今回の撤退をどの程度重要と捉えているか、それにかかっていると思います。27年の歴史に幕…、バブルに沸いた80年代とは随分状況が変わっていますから、ある意味仕方ない事なのかもしれませんね。